
「ハート・ロッカー」が「アバター」を破って劇的にアカデミー賞を受賞したのは、2008年のことである。
当時、元夫婦対決ということでも話題になったが、勝利したのはリアルに拘ったキャスリン・ビグローであった。

その後、ビンラディン殺害計画を映画化した「ゼロ・ダーク・サーティ」でもお得意の緊迫感でギリギリの状況をリアルに描いたビグロー。
「デトロイト」は、1967年の実在のアルジェ・モーテルでの殺人事件を生々しく映像化した衝撃作である。

この映画を観て、多くの人は何故この作品がアカデミー賞にノミネートされなかったのかと疑問を持つだろう。
実際、自分が手にしている「デトロイト」のチラシには「本年度アカデミー賞最有力!」の文字が踊っている。

去年作品賞を受賞した「ムーンライト」が、黒人の貧困地区を描いた作品だったからか?
それにしても作品賞も監督賞もノミネートすらしてない状況は、どうも腑に落ちない。
少なくとも「ゲット・アウト」よりは…

罪のない黒人に対して不当な扱いをする、差別主義者の警官を演じているのがウィル・ポールター。
「リトル・ランボーズ」の憎たらしい少年が今やこんな鬼気迫る演技をしているのだ。
感慨深い。


