東京にも夜空はある | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン



キネマ旬報邦画ベストテンの第一位は「夜空はいつでも最高密度の青色だ」。
最果タヒさんの詩集を石井裕也監督が映画化。
詩集を映画化するなんて、やるじゃないか!



そういえば詩集なんて随分読んでないな。
孤独に生きる看護師と、建設現場の日雇い労働者の東京での、恋のような孤独を埋め合う物語。



18歳くらいから自分も日雇いの労働者だった。
それこそここに出てくるような登場人物と沢山出会った。
常に飲んだくれた親父や、売人、ヤクザ、彼女へのプレゼントを日雇いで稼ぐ学生、小説家、濃い日々だった。



主人公の二人は、周りがスマホばかりを見つめてる中、違う景色に二人だけ気付き、二人だけで感動を分かち合える。
監督のインタビューがとても屈折してて面白いと思ったので抜粋。



「基本的には、東京というものは疑わしいものでしかないですよ。
倒錯してると思いますし、決して生活するのに適した場所ではないと僕は思っています。
東京で暮らしていて居心地がいいなとか、生きていて楽しいなと思う人がいたら、逆にその理由を聞いてみたいぐらいです。
誰もが確実に無理をしていて、息苦しさを含めて窮屈な気分を味わっていると思います。
程度の違いこそあれ、それは断定してもいいと思います。
ただ、何かがあるかもしれないという期待感だけはあるんですよね。
居心地がいいわけでは決してないのに、何かがあるかもしれないという気分はもちろん僕にもあります。」



半分は監督の言葉に共感する。
自分も上京して長いことそのうち俺は狂ってしまうのでは?と思っていたから。
そう、羽生結弦君と同じ仙台という街を出て、33年が経ち、今もしゅっちゅう狂った街だなと思うことはあるけれど。
それでも東京に拘っている自分もいる。
住みやすくはないが、楽しいこともある。
笑える日も増えた。