憑依役者 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン
頭の弱い役や妖怪は、上手い役者は絶対やりたい。
「レナードの朝」や「フランケンシュタイン」のロバート・デ・ニーロ。
「カッコーの巣の上で」や「ウルフ」のジャック・ニコルソン。
そして、「ヴォイツェク」や「ノスフェラトゥ」の怪優クラウス・キンスキー。




現在特集上映されてるドイツの現役監督ヴェルナー・ヘルツォーク。
その中で多くの作品に主演し、圧倒的な存在感を放っているのがクラウス。
娘は、その父親からは想像つかないナスターシャ。



「ヴォイツェク」は随分昔、黒テントの芝居で観ている。
斎藤晴彦さんが主人公を演じていた。
そう、シアタートラムのステージに池が出来たのだ。
クラウス演じるヴォイツェクの憑依は凄いが、何よりあのスローモーション。
彼が突き動かされる殺人。
涙がドワーッと出た。
理由なんてない。



「ノスフェラトゥ」これまたクラウスの演技は、ぎりぎりなんだね。
徹底し過ぎて、笑っちゃうんだ。
それもまたクラウスらしさなんだね。
問題も多々あった人らしいし、隣にいたら嫌だけど、スクリーンに映るあなたはどこまでもその作品の登場人物。
その人を生き、その人として死ぬ。



そうありたい。