14ヶ月の地下生活 | 映画ブログ 市川裕隆の燃えよ ヒロゴン
第二次世界大戦中、14ヶ月間地下生活を送っていたユダヤ人がいた。
金目当てで彼らを匿っていたのは、コソ泥で詐欺師のソハ。
スクリーン3館で同時に上映されている「最強のふたり」に隠れ、ひっそりと上映されてるのが「ソハの地下水道」である。

過呼吸の自分には、観るのもシンドイ。
この撮影は俺には無理だと思った。
絶望的状況でユダヤ人達は罵り合い、憎しみを募らせる。
それがますます危険を生むというのに。
ソハもまた決してヒーローではなく、自分の利益のために行動する。
このソハが人間臭く、行動線が読めない点が物語の魅力でもある。
ナチスは地下にユダヤ人が隠れているのではと、常に疑っている。
死を目の前にして、自分の身は自分で守るしかないのだ。

思い出すのは、ポーランドのアンジェイ・ワイダの傑作「地下水道」。
こちらも地下水道でのレジスタンスの戦いを描いているが、ワイダの脚本も手掛けているアニエスカ・ホランド監督がこの作品を意識しないはずはないだろう。

ここからはネタバレ。
ラストに助かる女の子クリシャ。
監督は撮影前、登場人物の中で今も生存している人は一人もいないと聞かされていた。
ところが、完成後に生存者が一人いたと連絡が入るのだった。
それが、クリシャだった。
70歳になったクリシャは、あの悪夢のような日々を生き抜いて、どんな思いでスクリーンを見つめたのだろうか?



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