
「殺し屋のプロット」
マイケル・キートンが主演・監督で、そこにアル・パチーノとマーシャ・ゲイ・ハーデンが絡む、それなら観たいと思った。
記憶を失う病に襲われた殺し屋が主人公。

マーシャ・ゲイ・ハーデンは元妻の役。
彼女は「ミスト」で、どんな怪物よりも人間が怖いことを教えてくれた。
今回も2シーンのみでたったの数分間の出演だが、主人公の過去を明確に伝える凄い芝居を見せる。

アメリカの女優の中でも、最上級に上手い女優だ。
贅沢な時間だった。
記憶の映画と言えば、「メメント」を思い出す。

クリストファー・ノーラン監督の出世作で、強烈に覚えてる方も多いはず。
マイケル・キートン演じる主人公も記憶を失いながら、自分の息子が犯した過ちに加担する。
記憶が曖昧になりながらもメモを取り続け、最後の仕事に乗り出していく。

プロとしての仕事と記憶の病、その匙加減が見事だ。
事件を追う有能な刑事にスージー・ナカムラ。
アメリカのテレビシリーズで活躍する日系の女優だ。

格好いい刑事やワイルドな刑事でなく、彼女が頭脳を駆使して事件に深入りしていくのが良い。
マイケル・キートンとの対決は、いぶし銀の味だ。
アル・パチーノも主人公の協力者であり、これも言わずもがな。
名作「許されざる者 」でも、イーストウッドは老いと殺し屋の凄味を演じてみせた。
こちらも静かな犯罪映画だが、大人の鑑賞に十分に応えてみせる。
マイケル・キートン、次はどんなチャレンジをしてくれるのだろうか?