
「レンタル・ファミリー」
サーチライトピクチャーズ配給のアメリカ映画。
しかし、主演以外は日本人で、しかも全編日本での撮影だ。

ブレンダン・フレイザーの劇的な復活劇は記憶に新しい。
「ハムナプトラ」で主演を務め、順風満帆に見えたが、数々の問題で一線から遠ざかった。
特にセクシャルハラスメントの被害が大きく、鬱となった。

ブクブクに太った「ザ・ホエール(2022)」の主演で、彼の人生は変わった。
ブレンダン・フレイザー自身の苦悩を表したような主人公で、彼はアカデミー賞主演男優賞を受賞。
今回の「レンタル・ファミリー」でも、彼の人柄が滲み出る。

「ハムナプトラ」 の時はスタイルも良く、二枚目のアクション俳優だった。
ガラッと姿を変えたが、愛すべきキャラクターになった。
普通の芝居が必要な役で、濃い顔が浮くかなとも思ったが、彼は実はリアクションが上手い。
表情のない日本人との相性もバッチリ合う。
巨体で戸惑う様はユーモアたっぷり。
売れない俳優というのも、彼が共感した点だろう。

一度ブレイクしたものの仕事がない俳優、正に彼そのもの。
日本でレンタル・ファミリーという仕事を得て、関わる人々と心を通わせていく。
彼以上のキャスティングはない。

オスカーを獲得した後にこの役を選んだことも頷ける。
単なるハリウッド俳優ではないスタンスが、今の彼の魅力だ。
共演者とのアンサンブルも心地いい。

中でも、老優を演じた柄本明さんとのクライマックスは泣ける。
柄本明さんの腹の底から絞り出すような演技も凄まじいが、それを受け切るブレンダン・フレイザーも互角に渡り合う。
監督はアメリカを中心に活動するHIKARI監督。

人と人が触れ合うことの素晴らしさを映画は教えてくれる。
「ザ・ホエール」にも負けないブレンダンの渾身の演技を見よ!
挫折を経て、誰よりも輝いているではないか!
