お久しぶりです。Javaの香具屋です。
今回は申し訳ございませんが、
ドンパチの代理参戦報告はありません。
今回の記事は、
私が最近読んだ人食い系の漫画を2シリーズが両方完結になりそうであるため、
これらを紹介し、比べてみようと思い、書きました。
まず、1つ目は、「巨蟲列島」「大巨蟲列島」です。
原作者は藤見泰高先生、作画が廣瀬周先生(巨蟲列島1~5巻まではREDICE先生)です。
ジャンルはパニックホラー、サバイバルとなっております。
次に、2つ目は、「食糧人類」「食糧人類Re」です。
原案者は水谷健吾先生、原作者は蔵石ユウ先生、作画はイナベカズ先生です。 |
ジャンルはホラー、サスペンスとなっております。
人を食べるクリーチャーが登場するのは同じですが、
もう少し別の角度から見て比較してみたいと思います。
ただし、これ以降はグロ表現も引用しておりますので、
ご注意いただければと思います。
1.あらすじ
<巨蟲列島>
修学旅行に行く高校生達が搭乗した飛行機が墜落し、不時着しますが、
不時着した場所が巨大な昆虫が支配する島であり、島からの脱出を目指します。
<大巨蟲列島>
「巨蟲列島」の続編。
前作は廃墟のあった島が舞台でしたが、今回は港や商店街など街として機能している島です。
<食糧人類>
地球温暖化が進行する現代日本で、二人の男子高校生が下校時に乗ったバスで眠らされます。
人体を解体し、肥満化させる謎の施設に二人は連れ去られ、脱出を目指します。
<食糧人類Re>
「食糧人類」の続編。前作に描かれた時代の数百年後の日本を描かれています。
変わらぬ生活を過ごしていく中、クラスメイトの一人が出荷されることを知り、彼女の救出に奔走します。
2.クリーチャー
<巨蟲列島、大巨蟲列島>
幼虫、成虫問わず、人を餌とみなして襲いかかります。
普段、植物を食べる昆虫でも、巨大化すると人を食べようとします。
巨大化した昆虫の種類は約40種類もあります。(一部甲殻類も含まれています)
(c)藤見泰高/廣瀬周
<食糧人類、食糧人類:Re>
施設内で支配する巨大生物です。「Re」では天人(あまひと)と呼ばれています。
(「無印」では巨大生物やあのお方など呼び方が統一されていませんが、「無印」でも彼らを「天人」と呼ぶことにします。)
巨蟲列島と同じく、幼虫→蛹→成虫へと成長しますが、質感は人の皮膚のようなものです。
「無印」はカマキリに似た形状、「Re」では二足歩行できる姿になっており、共通であり最も印象な点は口はヒトのを90度回転させたようなものが特徴です。
(c)水谷健吾/蔵石ユウ/イナベカズ
知能が高く、習得する機会があれば人と同じ言語で会話することができます。
また、巨大生物では有りませんが、施設の治安を守るために人体改造されたヒトも存在します。
(c)水谷健吾/蔵石ユウ/イナベカズ
3.人間の特徴
<巨蟲列島、大巨蟲列島>
突発した異能力はありません。
頼りになるのは昆虫の生態・特性における知識のみです。
それに精通しているのが一人の女子高校生というわけです。
<食糧人類、食糧人類:Re>
何の変哲もない普通の人間のほか、部位欠損が再生される、複数の動物の遺伝子を持つ、能力を有した人物が登場します。
「Re」になると、生耳(?)で盗聴したり、指からピアノ線を射出する能力を持った人物が登場します。
(c)水谷健吾/蔵石ユウ/イナベカズ
4.ストーリー展開
<巨蟲列島、大巨蟲列島>
島→港町→小都市と、舞台が変わっていきます。
迫りくる巨大生物を撃退すれど、別の巨大生物が襲いかかる。
一難去ってまた一難なお話になります。
大抵の場合は、複数の人物の身勝手な行動が原因で
事態を悪化させるということがパニックホラーらしいです。
また、登場した巨大昆虫にはト書きで対象の生態、特徴が解説されています。
(c)藤見泰高/廣瀬周
<食糧人類、食糧人類:Re>
食糧人類では、天人が人を食べる場面がある他に、社会問題を縮図化した描写が多いです。
例で挙げると、
①施設の環境がブラック企業
常に業務は死との隣り合わせであり、従業員も餌とみなされます。
また、外部への情報漏洩対策として辞職しようとする従業員は処分される末路に至ります。
更に最も恐ろしいことは、天人を死なせたり、従業員・実験体・餌となるヒトが脱走したりした場合は、
「大粛清」と呼ばれる大勢の従業員が生き餌として差し出される大きなペナルティを受けます。
(c)水谷健吾/蔵石ユウ/イナベカズ
②多数派同調バイアス
「Re」では特にこの現象が見受けられます。
人類は天人を神として讃え、天人に血肉を捧げることを一番の幸福、誇りにしています。
自分の肉片の一部を提供するように勧められたり、病弱者や独身者などを一般住民達の手で処刑したりするなど、
そういった行動は正当だという認識を持っているそうです。
(c)水谷健吾/蔵石ユウ/イナベカズ
また、「無印」「Re」でも主要人物の一人ひとりにスポットを当てた回想が
数話分で描き上げられており、その人物の人格形成の過程が分かるようになっております。
更に「無印」では友人や親子との絆を再認識させて、感動を与えるシーンもあります。
(c)水谷健吾/蔵石ユウ/イナベカズ
5.性的描写
<巨蟲列島、大巨蟲列島>
ソフトなお色気サービスがあります。
女性の乳首はもちろん、性交(百合要素含む)に見える描写もあります。
<食糧人類、食糧人類:Re>
序盤のみありますが、巨蟲列島ほど多くはありません。
男同士が性交する場面が2回ありました。
「Re」は滅多にありません。
6.クリーチャーの正体、発生理由
<巨蟲列島、大巨蟲列島>
まだ明確ではありませんが、とあるインフルエンサーが立ち上げた企画、
「全世界まんぷく計画」の副作用だと私は思います。
人類が食べる部位や量を増やすため、
エビや魚などの海産物を薬物か何かで大きくしたのですが、
その薬物が流出して自然界に行き渡り、昆虫が影響を受けて巨大化したと考えられます。
(でもその説が正しいと昆虫のみならず鳥類、
爬虫類なども巨大化するという矛盾も生じますが)
体が大きくなると、基礎代謝、つまりエネルギーの消費が大きくなります。
そうなると、植物だけを食べてはエネルギーの供給が追いつかず、命を長らえることができません。
エネルギーを効率よく摂取するためには、肉食に切り替える必要があったのです。
2025/03/27追記:最終話が出ましたが、アレが原因だと判明します。
<食糧人類、食糧人類:Re>
天人と呼ばれる巨大生物の正体は地球外生命体であり、
人類が誕生する前から存在しております。
彼らはもともと彼ら自身の母星に住んでいましたが、母星の資源を使い果たしてしまいます。
資源問題に解決するべく、宇宙に飛び立ち、その過程で地球を見つけました。
地球の生態を調査していく中、残虐性のあるチンパンジーを選び、
より高い知能を得るために大きな脳や、二足歩行を出来るように遺伝子操作をします。
こうしてできた種がヒト、いわば人類です。つまり、天人はヒトを誕生させた神と呼ばれる存在です。
そして世界人口が十分に増えたところで、「収獲」と称して地球に侵入してヒトを食べることが目的だったのです。
7.アニメなどのメディア展開
<巨蟲列島、大巨蟲列島>
2020年にアニメ化され、OVAとアニメ映画化はされました。
国内アニメ制作会社のパッショーネさんと、海外のアニメ制作会社さんがクラウドファンディングを開設、集まった制作費で完成されました。
(C)藤見泰高・REDICE (秋田書店)/巨蟲列島製作委員会
<食糧人類、食糧人類:Re>
食糧人類は、2025年現在もアニメ化されていませんが、
アニメ化を望む声も上がっておりますので、将来的にアニメ化される可能性も否定できません。
私も「食糧人類」もアニメ化してほしい、むしろすべき作品だと望んでおります。
「食糧人類」に興味を持ってくださるアニメ制作会社さんがいて、
そのアニメ化を講談社が承諾してくれればいいのにと思います。
ちなみに、有志が手掛けた静止画MADを見つけましたのでご覧いただければと思います。
(一部モーションがあります)
8.最後に
少々ネタバレしてしまいましたが、いかがでしたでしょうか。
「巨蟲列島」も、「食糧人類」も、どちらも私にとっては魅力的のある作品です。
「巨蟲列島」はもしも昆虫が巨大化したときに人類や社会に
どんな影響を及ぼすのかを藤見先生が考案しながら、ストーリーを構築している漫画です。
(間違っていたら、申し訳ございません)
北野武監督の「アウトレイジ」のように、人を拷問したり殺害したりする方法を数点挙げ出し、
それに対しストーリーを後付けしている、そういう流れに似ていると感じました。
一方、「食糧人類」はホラー、サスペンス要素があると共に、
ところどころ現代社会が抱えている問題も盛り込まれている漫画です。
(これも間違っていたら申し訳ございません)
特に「Re」は藤子・F・不二雄先生のSF短編作品の一つである、
「ミノタウロスの皿」をオマージュにして作られております。
2つの作品の中で両方とも知っている人もいれば、片方は知らない人もいるでしょう。
「巨蟲列島」しか読んでいない方は「食糧人類」を、
逆に「食糧人類」しか読んでいない方は「巨蟲列島」も読んで、
視点を変えてみてはいかがでしょうか。
きっと、新たな発見を見いだせると思います。
最後になりましたが、藤見泰高先生(@fuzimiken)、
蔵石ユウ先生(@kuraishi_yu)の両名の許可を頂いてから
この記事を書き記し致しました。
藤見先生、蔵石先生、本当にありがとうございました。
今後のご活躍、ご健闘を心よりお祈り申し上げます。
【変更履歴】
2025/03/22 新規作成
2025/03/27 発生原因の追記
2025/05/17 変更履歴の追加