私の殺した男 (1932) 米 | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。

 

エルンスト・ルビッチ監督

 

古い古い映画

 

映画は 監督で選ぶことが多いけれど

エルンスト・ルビッチ監督もその一人

 

ルビッチ監督は 

ビリー・ワイルダー監督の お師匠さんで

コメディがお得意だけれど この映画はシリアスな作品

 

でも サスペンスじゃない

 

 

お話

 

1919年の この日

パリは第一次世界大戦の 終戦記念日の式典で賑わっていた

 

その賑わいをよそに

戦前はヴァイオリニストだった ポール(フィリップス・ホームズ)は

 

戦時中、自分が銃剣で刺して殺した 男のことが頭を離れず

苦しみ抜いていた

 

ドイツ軍の若い男は 死の間際

「パリに2年住んで フランス人が好きになったのに

 今は彼らを殺せと言われている。何のために殺すのか‥」

 

こう最後の言葉を 手紙に書き 

「もう書けない、大地が揺れている・・」と書いたところで 息絶えた

 

ポールはその後、男のコートから手帳を見つけ

彼の名が ウォルター・ホルダーリン・22歳だったことや

ドイツの住所を知った

 

 

ポールは 彼の両親の前に跪き 許しを乞おうと

ドイツを訪れる

 

ドイツのバーデン・62番地

そこは ホルダーリン医師(ライオネル・バリモア)の 医院兼自宅で

 

ホルダーリン医師は 妻(ルイズ・カーター)と 

亡き息子・ウォルターの婚約者だったエルザ(ナンシー・キャロル)と

一緒に暮らしていた

 

ポールが玄関のベルを鳴らすと

ホルダーリン医師は 患者だと思い 快く迎えてくれたが

 

しかしポールが フランス人であることが判ると

激しく怒った

 

「出て行ってくれ!

 息子はフランス国民全員に 殺されたと思っている!」

 

ポールが言葉を失っていると

 

そこへ ウォルターの眠っている墓地から帰って来た

エルザが入って来て

「あら」と 親し気に笑いかけた

 

先ほどウォルターの墓に

花を手向けている ポールを見かけ 

エルザは彼を ウォルターの友人だと思ったのだ

 

そこへ ウォルターの母親も加わり 

ポールをひと目見て ウォルターの友人と信じ込み

 

ホルダーリン医師も 

わざわざ息子を訪ねてくれた友人に

先ほどの無礼を詫びた

 

そして ポールは

その歓待ぶりに真実が言えず

 

つい、親友だったと偽ってしまい

作り話の 思い出など語り

乞われて ひととき村に滞在することになる

 

しかし、この小さな村の 村人たちは

誰もが執拗に フランス人を憎悪していた

 

村人たちは

かつて この通りを行進していく 自分の息子を

高らかな声援で 見送ったのだ 

死への旅立ちとも知らず・・

 

フランス人のポールと エルザの関係は噂になり

ホルダーリン医師は 

親しかった村の友人たちから 仲間外れとなった

 

ふたりの姿を見つけると

 

 

こんな具合

 

このシーンは ユーモラスで

ルビッチ監督らしいのです

 

そして

そんな村の雰囲気や エルザや ウォルターの両親の愛情を

痛いほど感じるポールは

改めて罪の意識を強く感じ 村を出ようと決心

 

驚いたエルザは 「あなたを愛しているの」

今では ウォルターの両親も そしてウォルターもきっと 

自分たちの結婚を 望んでいると言い

 

引き出しから出した ウォルターの最後の手紙を読む

 

「僕に何かあって それによって

 君が幸せを逃すのは 死よりも辛いことだ。

 僕はフランスに2年住んで フランス人が好きになったのに

 今は彼らを殺せと言われている。何の為に殺すのか・・」

 

すると、その手紙の最後の言葉

「もう書けない、大地が揺れている・・」をポールが暗唱し

驚くエルザに

自分がウォルターを殺したのだと告白する

 

これから

ウォルターの両親にも 許しを乞うというポールを

エルザは止める

 

「それでは ウォルターの両親は 息子を二人失うことになる

 両親の為にも生きて ここで一緒に暮らして」

 

そこへ入って来た ウォルターの両親

何かを察したように

父が ポールを抱擁して言う

 

「我が息子よ」

 

ラストシーンは清々しい

 

 

 「トロイメライ」を奏でるポール

          ピンク薔薇

 

いい映画でした

90年以上前の作品

 

2016年に フランスの

フランソワ・オゾン監督が

『婚約者の恋人』として リメイクしています

 

以前、そちらを先に観ましたが

ちょっと筋書きも 変わっていて

 

ルビッチ監督のほうが もちろん良かった

 

まあまあオゾン監督、そんなにしょげないでね・・