現金に手を出すな (1954) 仏・伊 | ゆうべ見た映画

ゆうべ見た映画

懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。

 

 

ジャック・ベッケル監督

 

こちらも何度観たか判りません

フランス製ギャング映画は

メルヴィル監督やヴェルヌイユ監督作品が好きですが 

この作品は別格

 

「げんなまに手を出すな」と読みますね

 

いい邦題ですね

"Grisbi"はフランスの俗語で 

"せしめたカネ・お宝" だそうで

 

邦題「現金」に「げんなま」とルビを当てた 

名ライターが誰だったかは不明ですが

名邦題として 当時も非常に高い評価を得たそうです

 

原作は、自身が暗黒街に育ち

ギャングたちの実情を熟知した アルベール・シモナンで

この映画はフランスにおける

フィルム・ノワールの 代表的傑作と言われています

 

お話

 

ギャングのマックス (ジャン・ギャバン)と

相棒・リトン (ルネ・ダリー)は

初老にさしかかり 

 

やくざ稼業での 最後の大仕事として

オルリー空港から 

5千万フランの 金塊強奪に成功した

 

二人は ほとぼりが冷めるのを待っていたが

その秘密をリトンは、ある日 

惚れている踊り子・ジョジィ (ジャンヌ・モロー)に漏らしてしまう

 

しかし、実はジョジィは

麻薬密売組織の若きボス

アンジェロ (リノ・バンチュラ)の情婦で

 

ジョジィから金塊の話を聞いた アンジェロ一味は

この後、マックスとリトンを付け狙らう

 

リトンは自分の責任から 落とし前をつけようと

独断でアンジェロと対決しにいき

逆に拉致されてしまい

 

ほどなくして、アンジェロから

人質リトンと金塊の交換が 持ち掛けられてくる

 

リトンの間抜けさに苛立ちつつ 

アンジェロを倒し リトンを救うため 

マックスは旧友らの力を借り 取引の場へ赴く

 

 

 

サブマシンガン、手榴弾を使ってのこの後の銃撃戦は 

ハリウッドの大アクションとはひと味違う

リアルで、迫力満点!

 

 

しかし、激しい闘いの末に待っていたのは

勝利と呼ぶには あまりにも苦い結末

 

犯罪のやるせなさ、もの悲しい顛末

結局は なにも残らなかった 

 

 

       銃

 

『肉体の冠』『モンパルナスの灯』『穴』などの

ジャック・ベッケル監督作品

 

並の犯罪映画とは ひと味もふた味も違って

ギャングたちの生活感が滲み出ていて面白い

 

相棒リトンを 自分の隠れ家に泊めるマックスが

パジャマとタオル、歯ブラシを手渡し

歯磨き粉は棚の上だ、と教えて ゴシゴシと歯を磨く

 

こんなギャング見たことない

 

リトンに鏡を渡し

彼の甘さと、自分たちはもう若くはないのだ、

という現実を諭すシーン

 

「眼の下のシワを見ろ、見られた顔じゃねえ、

 まるでキャベツだ、おれも同じだ」

 

夜12時を過ぎると眠くなり

電話のダイヤル回すにも 老眼鏡をかけ

敵を追うのも、追われる動作も

重い体で まったくスマートじゃない

 

しかしジャン・ギャバンは なんて素晴らしい俳優だろう

そんな、どん臭い仕草を気がつけば

幾度となく、惚れ惚れと見入っているのだ

 

       銃

 

ジャン・ギャバン 50歳

ジャンヌ・モロー 26歳

リノ・バンチュラ 35歳

 

プロレスラーから 俳優に転身したバンチュラさんは

この映画がデビュー作

リノ・ポリニという本名で出ています

 

デビュー作というには 大役ですが

まだ、のっぺりした印象です

 

ジャンヌ・モローさんも、まだ初々しい

 

驚くのは、このたった4年後が

『死刑台のエレベーター』です

 

それから

『危険な関係』『雨のしのび逢い』『夜』・・

あれほどの大女優になるとは・・

ジャスミンには 片鱗も見つけられなかった

 

       銃

 

そして、主題曲『グリスビーのブルース』

 

映画の冒頭のシーンは 

ギャングたちのたまり場である 小綺麗なレストランですが

そこにかかっているBGMが 「アヴェ・マリア」

 

「アヴェ・マリア」ですよ

 

曲が終わったところで ギャバンさんが

「俺の好きな曲なんだ」と言って

店のジュークボックスで掛けるのが

『グリスビーのブルース』 

 

とろけそうに、いい曲ですよね

ラストもこのシーン

 

当時は、スリー・サンズのレコードがヒットしました

音楽を載せたいのですが

ジャスミンは出来そうもないのでYou Tubeで聴いてね