5時から7時までのクレオ (1961) 仏 | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。

 

 

アニエス・ヴァルダ監督  

 

アニエス・ヴァルダさんは

『シェルブールの雨傘』の ジャック・ドゥミ監督の奥様

『幸福』『歌う女、歌わない女』などの監督さんです。

 

 

オープニング。

カードで 占ってもらうクレオ。

このシーンだけが カラーです。

 

 

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しかし、不吉なカードが・・・

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クレオ(コリンヌ・マルシャン)はポップシンガー。

 

すれ違う誰もが 

振り向かずにはいられない 美しい娘ですが

 

しかし今は、大きな悩みを抱えている。

 

このところ、体調が悪く

病院で検査を受けたのだが

その結果が今日の夕刻7時に 出ることになっている。

 

自分が癌ではないかという 不安に取りつかれたクレオが

検査の結果を待つ 午後5時から7時までの行動を

 

ほぼリアルタイムで描いていて 

お話の終わりは 7時より前なので

ざっくり、上映時間と合っています。

 

こんなふうに ときどき小刻みに時間が出ます。

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クレオは心配のあまり、いてもたってもいられず 

街を歩き、カフェに入るが

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今は周りの すべての人の目が うっとおしい。

 

気晴らしに 帽子を買うと

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火曜日に モノを買っては不吉だと言われる。

 

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友達に会いに行くと

彼女がバッグを落として 鏡が割れた。

 

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不吉なことばかり・・・クレオはアパートに帰った。

 

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そこへ、恋人がやって来たが いつも忙しい彼は

病気を信じてくれず そそくさと帰って行った。

 

入れ替わりにやって来たのが 作曲家のボブ。

ボブ (まだ20代のミシェル・ルグラン)

 

でもいつも陽気な彼は クレオの気持を理解してくれない。

クレオは今ほど 孤独を感じたことはなかった。

 

彼女は着がえて また街に出た。

 

ここでは、路面電車、街中の雑踏や、細かい路地

満員のカフェ、木洩れ日の美しい公園・・・

初夏を迎えたパリの あちらこちらを見せてくれます。

 

そして、夕暮れの公園でクレオは 

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アルジェリアから休暇で 

帰還していた兵士 (アントワーヌ・ブルセイユ)と出会う。

彼はまた今夜、ふたたび戦場に戻ると言います。

 

クレオは 自分と同じように 

近い将来、死の可能性を持っている

この兵士に親近感を抱き 自分の不安を話します。

 

すると兵士は 一緒に病院に行ってくれる。

果たして、医師の宣告は・・・

 

 

でもクレオは思う。

もう、私は何も怖くない 

不思議に、なにか幸福な感じよ。

 

だって クレオには

芽生えたばかりの恋があった。

 

     黄色い花

 

劇中、クレオが女友達と観る サイレントムービーに

 

ジャン・リュック・ゴダール、アンナ・カリーナ、

ジャン・クロード・ブリアリなどが 友情出演しています。

 

     黄色い花

映画のはじまり

水玉のワンピースで 街を歩くクレオは

不安や苛立ちで、頭も胸の中もいっぱい。

 

すれ違う人たちは クレオが人気歌手でもある為

みんな振り返りますが、

見られることに慣れている彼女は

 

そんな人々は、街の風景の一部

まるで舞台の書き割りの 背景のようにしか感じられない。

 

けれど黒い服に着替えて 再び街に出たクレオは

徐々に、今度は自分の方から 

 

人々を、街の光景を 木々の緑を

今までとは違う視点から 眺めるようになり

少しづつ気持ちが 前向きになって行く。

 

そして最後は、兵士と出逢い 

語り合ったことにより 勇気を持ちはじめる。

 

センスのいい映画です。