☆ おとなのけんか (2011) 仏・独・ポーランド | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。

 

ヤスミナ・レザ原作  ロマン・ポランスキー監督

 

 

 

この映画は リアル・タイムで 劇場で観ました。

 

 『ローズマリーの赤ちゃん』 『戦場のピアニスト』

などの ポランスキー監督のコメディ映画。


原題「Carnage」は 「虐殺」、「修羅場」とかの意味だそうで。

でも 何てったって 邦題の、ひらがなの

『おとなのけんか』が ぴったり。

 

そしてこの イカしたキャッチコピー。
   ↓

【 巨匠 ロマン・ポランスキー監督!
 アカデミー賞夫婦・二組の仁義なきバトル!

 衝撃! 幼稚! 虐殺! 大惨事!
 顔で笑って、心に殺意!
 ○月○日・おとなげないロードショー!】

 

元は 舞台劇ですから ほとんど全部のシーンが
アメリカ・ブルックリンの マンションの一室なのですが

 
ポランスキー監督が訳ありで 米に入国出来ず
ブルックリンのマンションを 

そっくり、パリに再現したそうです。

 

何故か、窓の向こうに ニューヨークの景色が見える。



お話。


公園で遊んでいた 男の子たちがケンカで
ひとりの子が 相手の顔を棒で殴り 

唇裂傷と 前歯2本を折ってしまった。

今日は その被害者の両親が
加害者の両親を自宅に招き 話し合いをすることに。


被害者の両親 (ジョン・C・ライリー & ジョディ・フォスター)

夫は金物商 妻は作家。

 

加害者の両親 (クリストフ・ヴァルツ & ケイト・ウィンスレット)
夫は弁護士、妻は投資ブローカー。


このように双方とも 知識人とみられますから
話し合いも良識を持って 社交的に、友好的にはじまります。

 

「穏やかに話し合えるよう お気遣い頂いて感謝しますわ」


しかし

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「そもそも 喧嘩の原因は?」


「発端は 不良仲間から ウチの子が外されたとか」

 

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「あら、ウチの子が不良ですって?」

「でも、不良からも仲間外れって・・笑える」

 

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「つまりお宅の子は 親にチクリを?」

 

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「息子がチクリ魔だと?」

 

まあまあ、

 

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「どうです、妻の自慢のゴブラーでも」

 

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「ゴブラーって、なんです?」

「ピザパイの生地のないようなもんですよ」

「美味しいですわ」

 

それでも 一度生まれた 険悪ムードは

 

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「ウチの子は 前歯を2本も失ったのよ」

 

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「義歯があるだろう、耳を失うよりマシだ」

 

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「言葉に気をつけろ」

 

時間は刻々と 過ぎて行き

窓からの日差しは いつのまにか翳り


時の経過と共に ますます壮絶な争いとなって行く。


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「あんたの子は まともじゃない!」

 

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「あんたの息子は ザマアミロ!」

 

 

そして この4人の他に 影の名脇役がいる。

 

今、裁判中の製薬会社の 顧問弁護士である

加害者側の 夫のケータイに 

 

再三再四、電話して来る

ウォルターという人物  (顔も声も、登場しない)

 

このウォルター、 口論が発熱したときに限って 

何度も 何度も 何度も 絶妙のタイミングで割り込んで来る。


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もしもし・・

 

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もしもし・・

 

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そのつど、言葉の矛先を失って 口論は中断 

気まずいまま シンと待たされる3人。

 

この加害者側・夫の クリストフ・ヴァルツが最高!

 


口論は 延々と続き 

いったん帰り支度をしてからも 何度もぶり返す。

 

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「道徳者ぶって 上から目線でネチネチと」


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「親がこのザマじゃ 息子も問題児だろうよ」

 

 

こうして 限りなく不毛な 議論・口論・ののしり合いが続き

いったいどんな決着になるやらと 不安になって来るころ

突然、パタッと終わる。
その終わり方の 見事なこと!

さすが、ポランスキー監督!

          リボン

脚本は、フランスの劇作家・小説家・脚本家・映画監督
そのうえ、女優さんでもある ヤスミナ・レザさん。
日本の演劇界でも 超人気のある方だそうで。

          リボン

 

バトルの時間は 上映時間とぴったり同じ79分。

この短さが 効いてるんですよね。


監督は この時間に合わせる為に

俳優さんたちに 早口で喋らせたそうです。

そして女優さんたちの なりふり構わぬ 怖いホラー顔。

      ↓ 
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しかししかし、それよりもっともっと 怖いのは 

          ↓
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「は、吐きそう・・」

 

そして文字通り、お腹の底から 怒りと不満をぶちまける!

 

ひぇー、

あまりに恐ろしい! あまりにリアル! あまりにバッチイ!
これほど凄い場面は 他にはあり得ないのでは?

何にも知らず 劇場で見た 私たち観客は、
思わずその瞬間、ウワッと大きな声が出た。 

【警告】
くれぐれも、優雅なひととき
ゆっくりランチでも食べながら・・、なんて

DVDを見ませんように。

 

食前・食後も要注意ですわ。

 

 

 

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