股旅 (1973) ATG | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。

 

 


谷川俊太郎脚本  市川崑監督

 

 

あけましておめでとうございます。

今年もよろしくお 願い申し上げます。

 

 

昔、名画座で観た この映画。

どこの映画館だったか どうしても思い出せませんが

むんむん、混んでいたのは覚えてます。


市川崑監督、やっぱりいいですね。

今観ても 凄く新鮮!
 

シナリオ、谷川俊太郎さん。
俊太郎さんは とっても市川監督を敬愛されていて
映画『東京オリンピック』でも 一緒に仕事をされてますね。

 


で、物語りは 
どん底から這い上がろうと がむしゃらに突っ走る
チンピラ渡世人三人の 青春アウトロー&ロード・ムービー時代劇!


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源太(小倉一郎)


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黙太郎(萩原健一)


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信太(尾藤イサオ)


音楽担当が 九里子亭(くりすてい)とありますが
これは、市川監督と夫人(和田夏十さん)の 
共同ペンネームだそうで。

画面の真ん中に 「股旅」の二文字
このクレジット・タイトルのシーンに


いきなり
たん、たん、たん、たん、たたたたた・・・、と 
たたみかけるような アップテンポの太鼓の音
太鼓の縁を叩く こん、こん、こん、こん、こここここ・・・、

これが たまらなくいいの。

びんびん、くるのよ。


お話はあっさり、ですが
ラストはばっちり、書いてます、すみません。



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よれよれの道中合羽に 身をつつんだ若い男が三人。

いずれも農家の食い詰め者で 生まれ故郷を飛び出し 
渡世人の世界に入った 源太、黙太郎、信太である。

彼らの望みは 金と力のある大親分の盃をもらい
いっちょ前の 渡世人になることだ。

流れ流れて三人は 二井宿・番亀一家に草鞋を脱ぐ。

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仁義をきる。 

仁義を受ける人 (常田富士男)     


「おひかえなせぃ」「おひかえなせぃ」
この応答を お互いに 3度も4度も繰り返す。

それから 三人がそれぞれ  

姓名・出所など 出自を長々と 述べた後
やっと、一宿一飯の恩義を 受けることになる

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出された飯は 二杯食べなくてはいけないが

食べきれないときは 真ん中だけ食べて

そこに 二杯目を足して貰う。

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一杯では 仏さまに出すようで 縁起が悪い。

アワとヒエの 飯である。

 

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寝るときは 自分の荷物は きっちりと纏め 

着の身・着のまま いつ奇襲をかけられても 

一家の為に戦えるよう 長脇差を抱いて寝る。

 


源太はここで偶然、三年前に
母や自分、そして幼い兄弟たちを 置き去りにして
女と家を出て行った 父・安吉と再会する。

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 安吉(大宮敏充)
「故郷(くに)に帰えれ、

 長男のお前が、家族の面倒を見なくてどうすんだ!」


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「あんたに言われたくねぇ」

しかしこの後、賭場でのイカサマ事件を発端に
源太は この自分の実の父親を殺害し

凶状持ちの身となってしまう。

(凶状←犯罪の経歴)

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その帰り道、ふと目に留めた 百姓女・お汲を

無理やり 手籠めにしたあと
「俺と一緒に逃げねえか」

 

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お汲 (井上れい子)は こくん、とうなづく。

 

年寄りの亭主に 金で買われた嫁だから 無理もない。 

その亭主とは加藤嘉さんである・・・無理もない。

それから道中は 四人旅となる。

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・・・と、こんなふうで 
小倉一郎さんも ショーケンも 尾藤さんも

みんないいんですよね、頼りなげで、可愛い。


市川監督は 
テレビドラマ『木枯し紋次郎』の演出をされてますが

同じ渡世人でも こちらの三人は
「紋次郎」のような アンチ・ヒーローにもなれず


人別帳(戸籍)から外され 無宿人となり
 

凍てつく裏街道を 雨、風の中、 

じりじり照りつける お天道様の下を
這いつくばるような生き方しか 出来ない若者たちです。


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刀をめちゃくちゃに 振り回すだけの殺陣
浅く切られただけで あ、痛、タ、タ、・・と逃げ惑う。

 

一対一だと どちらかが死ぬまで 戦うことになるので

途中で切り上げ 他の敵を探す。


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三人は最後まで カッコよく 立ち上がれず

尾藤イサオの信太も、小倉一郎の源太も

間抜けに、無様に死んでいく。

ひとり残された ショーケンの黙太郎は 
さっきまで一緒にいた 源太を探して 

「お~い、お~い」と 虚しく叫ぶ ほかありません。


市川監督、いつものことですが
美しい風景・映像が ふんだんにあります。


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予告編です。
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