あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお 願い申し上げます。
昔、名画座で観た この映画。
どこの映画館だったか どうしても思い出せませんが
むんむん、混んでいたのは覚えてます。
市川崑監督、やっぱりいいですね。
今観ても 凄く新鮮!
シナリオ、谷川俊太郎さん。
俊太郎さんは とっても市川監督を敬愛されていて
映画『東京オリンピック』でも 一緒に仕事をされてますね。
で、物語りは
どん底から這い上がろうと がむしゃらに突っ走る
チンピラ渡世人三人の 青春アウトロー&ロード・ムービー時代劇!
源太(小倉一郎)
信太(尾藤イサオ)
音楽担当が 九里子亭(くりすてい)とありますが
これは、市川監督と夫人(和田夏十さん)の
共同ペンネームだそうで。
画面の真ん中に 「股旅」の二文字
このクレジット・タイトルのシーンに
いきなり
たん、たん、たん、たん、たたたたた・・・、と
たたみかけるような アップテンポの太鼓の音
太鼓の縁を叩く こん、こん、こん、こん、こここここ・・・、
これが たまらなくいいの。
びんびん、くるのよ。
お話はあっさり、ですが
ラストはばっちり、書いてます、すみません。
よれよれの道中合羽に 身をつつんだ若い男が三人。
いずれも農家の食い詰め者で 生まれ故郷を飛び出し
渡世人の世界に入った 源太、黙太郎、信太である。
彼らの望みは 金と力のある大親分の盃をもらい
いっちょ前の 渡世人になることだ。
流れ流れて三人は 二井宿・番亀一家に草鞋を脱ぐ。
仁義をきる。
仁義を受ける人 (常田富士男)
「おひかえなせぃ」「おひかえなせぃ」
この応答を お互いに 3度も4度も繰り返す。
それから 三人がそれぞれ
姓名・出所など 出自を長々と 述べた後
やっと、一宿一飯の恩義を 受けることになる
出された飯は 二杯食べなくてはいけないが
食べきれないときは 真ん中だけ食べて
そこに 二杯目を足して貰う。
↓
一杯では 仏さまに出すようで 縁起が悪い。
アワとヒエの 飯である。
寝るときは 自分の荷物は きっちりと纏め
着の身・着のまま いつ奇襲をかけられても
一家の為に戦えるよう 長脇差を抱いて寝る。
源太はここで偶然、三年前に
母や自分、そして幼い兄弟たちを 置き去りにして
女と家を出て行った 父・安吉と再会する。
安吉(大宮敏充)
「故郷(くに)に帰えれ、
長男のお前が、家族の面倒を見なくてどうすんだ!」
「あんたに言われたくねぇ」
しかしこの後、賭場でのイカサマ事件を発端に
源太は この自分の実の父親を殺害し
凶状持ちの身となってしまう。
その帰り道、ふと目に留めた 百姓女・お汲を
無理やり 手籠めにしたあと
「俺と一緒に逃げねえか」
年寄りの亭主に 金で買われた嫁だから 無理もない。
その亭主とは加藤嘉さんである・・・無理もない。
それから道中は 四人旅となる。
・・・と、こんなふうで
小倉一郎さんも ショーケンも 尾藤さんも
みんないいんですよね、頼りなげで、可愛い。
市川監督は
テレビドラマ『木枯し紋次郎』の演出をされてますが
同じ渡世人でも こちらの三人は
「紋次郎」のような アンチ・ヒーローにもなれず
人別帳(戸籍)から外され 無宿人となり
凍てつく裏街道を 雨、風の中、
じりじり照りつける お天道様の下を
這いつくばるような生き方しか 出来ない若者たちです。
刀をめちゃくちゃに 振り回すだけの殺陣
浅く切られただけで あ、痛、タ、タ、・・と逃げ惑う。
一対一だと どちらかが死ぬまで 戦うことになるので
途中で切り上げ 他の敵を探す。
三人は最後まで カッコよく 立ち上がれず
尾藤イサオの信太も、小倉一郎の源太も
間抜けに、無様に死んでいく。
ひとり残された ショーケンの黙太郎は
さっきまで一緒にいた 源太を探して
「お~い、お~い」と 虚しく叫ぶ ほかありません。
市川監督、いつものことですが
美しい風景・映像が ふんだんにあります。