竜馬暗殺 (1974) ATG | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
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そして「ちょっと休憩」など 入れてます。



 黒木和雄監督   モノクロ    118分


ATG(日本アート・シアター・ギルド)制作・配給の作品。
 

ATGは  『サード』や『家族ゲーム』『肉弾』など

話題作を次々に 世に送り出した

伝説の映画会社でしたね。


この映画は
坂本竜馬(原田芳雄)が

暗殺される直前の 三日間を描いています。


何と言うのか、まったく判らないのですが 
ザラザラしたキメの粗い モノクロの
スタンダードサイズの映像で

黒い部分は 輪郭をはみ出して 
墨が 滲んでいるように見える。
これが劇画みたいで 迫力があるんですよね。

そして時折 サイレント映画のように
字幕が出るのよ。



お話。

【慶応3年(1867)11月13日】


坂本竜馬は 雨の中 
妙(桃井かおり)に見送られて
海援隊の常宿から 「近江屋」の土蔵へと身を移した。

 


 妙 (桃井かおり)

 

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 この いでたち。

 


大政奉還を成功させたことで 竜馬は
幕府はもとより、薩摩藩や
土佐陸援隊率いる 盟友中岡慎太郎(石橋蓮司)からも
命を狙われていた。

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 中岡慎太郎 (石橋蓮司)

 


けれども そんな危険な状況にいても 
竜馬は根っからの性分で 悠然とかまえている。

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土蔵の窓から 外を覗くと
向かいの家には 遊女・幡(中川梨絵)がいて
さっそく屋根伝いに通って行って 仲良くなった。

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 幡 (中川梨絵)


しかし時々ここに出入りする 幡の弟・右太(松田優作)も
薩摩藩より送られた 竜馬の命を狙う刺客の一人だった。
 

 右太 (松田優作)


このへんがまた、とっても面白いのですが

もとは 質屋の倅である竜馬と 
庄屋の倅の中岡慎太郎は 大親友なのだが 

土佐陸援隊の隊長としての 慎太郎は
立場上、竜馬を倒さなくてはならない。


竜馬への友情を 棄てきれない慎太郎は
それなら、竜馬を自分以外の
男の手にはかけさせない、という気持ちだ。


一方、竜馬も 自分の命を狙う敵は 
慎太郎と言えども 倒さなくてはならないから


これまでふたりは 3回くらいづつ 
お互いを 殺し損ねている。
お互いの友情(愛情)が 腕を鈍らせているのだね。

そのうえ、刺客であるはずの 右太までが
竜馬に惹かれていき ぐずぐすして手が出せず 
一緒に行動したりしている。

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【11月14日】

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折しも京は 町民が鐘や太鼓で大騒ぎする
大イベント「ええじゃないか」で お祭り騒ぎ。

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 路上舞踏集団  ええじゃないか

竜馬と右太は おしろいを塗り、女の着物を着て
刺客の目をごまかし
「ええじゃないか」の一行に紛れ 
陸援隊屯所へ 慎太郎を救いに行く。

慎太郎は 薩摩藩に迎合しようとする
隊士らと反目し 監禁されていたのだ。

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 逃げ延びた3人。



【11月15日・最終日】

「近江屋」に隠れた 竜馬と慎太郎は所在なく 
妙のことで モメたりする。

妙は 以前は竜馬と恋仲だったが
今は 慎太郎の恋人である。


 


しかし慎太郎が 真から好きなのは 
女より 竜馬だ。
竜馬のことを 好きで好きでたまらないのだ。
 

 

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そこへ

竜馬は長崎に 鉄砲5千丁を注文していたが
品物が足りず お詫びの品として
写真機が送られて来た。

竜馬と 慎太郎と 右太と 幡の4人は
記念写真を撮ることにする。

 

 

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 シャッターを切る 野呂圭介

 

 

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 待つ。


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しかし、竜馬と慎太郎が 暗殺された後の
エンディングは この一枚の写真で終わる。



この場面が 泣きたいほどいいのだ。




「わしゃよう、ある時逆立ちして世の中見てみたんよ。
 おまん、これは奇っ怪な風景だぜよ。 
 権力の亡者どもが うじゃうじゃしちょるけえ」


これまで 坂本竜馬は 

二枚目やら とんでもないのまでが 

いろいろ 演じたけれども 

気がつくと いつのまにか
この、どうしようもなく 汚く、だらしなく、女好きの
原田バージョンこそが 竜馬に思えて来る。


原田さんも 蓮司さんも 優作も
イキイキしていて
まるで、今月封切りのように 新鮮ナマモノだ。


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幕末の青春グラフィティ♪
カッコいいぜよ!