懐かしドラマ 「響子」 1996 | ゆうべ見た映画

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懐かしい映画のブログです。
ときどき、「懐かしの銀幕スター」「読書」など
そして「ちょっと休憩」など 入れてます。

 

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 向田邦子原作  筒井ともみ脚本  久世光彦演出



ひと頃、向田邦子さんの本をよく読み
ドラマも好きで TBSで放送された 
演出・久世光彦さんとの コンビの作品も
ほとんど全作 観ましたが

今また観たくなって レンタルして来ました。

このシリーズの作品は 独特のムードが漂ってましたね。
今観ても、さすが久世さんだなあ、と改めて思う。

どの作品でも共通してそうですが 配役も独特。

このドラマでも 
町医者は 人形作家の四谷シモン
響子の夫が 作家の筒井康隆
石職人は 監督の藤田敏八と 柳ユーレイ


そしてこのシリーズ ほぼ全作出演されているのが 
小林薫・田中裕子・加藤治子さんですが

特に 薫さんと裕子さんは 
夫婦だったり、恋人だったり、愛人だったり、従兄妹だったり
なんと、親子も演じている。

どれもが昭和の香りが濃い 名作ぞろいですが

しかしこの作品群で 『響子』は極めて異色です。
飛びぬけて 官能的・エロチックな作品なのです。

新春ドラマですから
1996年(平成8年)の お正月早々のテレビに 
この作品が 流されたことに驚きますが
当時の久世さんの 絶大な力だったと思います。
しかし、素晴らしい。


ちょこっと、お話。

昭和13年。東京・愛宕町にある 老舗の石材店。


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 当主・常吉(森繁久彌)


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 常吉の息子(故人)の 妻・とき(加藤治子)


 ときの長女・響子(田中裕子) 

 

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 ときの次女・伸子(洞口依子)

 

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 響子の夫(筒井康隆) 胸を病んで引きこもり。

家族はこの5人。


他に石職人が3人

 

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 省三(小林薫) 

 

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 (藤田敏八) 

 

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(柳ユーレイ)




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「石は人と同じだ。親切な石もれば、邪険な石もある。
 すねる日もありゃ、笑う日もある、女のようだ」


実は、常吉は亡き息子の嫁である 

ときと 只ならぬ関係にあります。
もう、のっけから 息を呑むシーンあり。


やがて、当主の常吉が死ぬと 
母と娘たちは 店の行く末を考える。


店の看板を守れる腕があるのは 省三だけだったが 
彼は酒乱でだらしがなく 仕事にもムラ気があり不安が残る。 
 

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「酔った省三を見ると、暗い夜道で
 低いうなり声をあげる 野良犬を思い出す。
 省三には そんな怖いところがあった」


結局、現在引き受けている 
神社への石灯籠4基を 仕事納めとして
店をたたむことになる。


省三は響子たちの住まいの 離れの小屋に寝泊まりしているが
ときおり訪ねて来る 別居中の妻と
開けっ放しの部屋で絡み合い 金銭までねだる。 

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この頃の小林薫さんは 色っぽかったですね。
わたし、今でも好きですけどね。
 


響子は そういう自堕落な省三を嫌っていたが


ある夜、突然 彼に襲われそうになり 
そのときから 堰を切ったように
省三への愛欲に 溺れるようになる。


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 次第に響子は 毎夜、省三の小屋に通うようになる。


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 石を口に含む 響子。

 


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万年床の周りに 食べものやら 箸やら 紙屑やら
空き瓶やらが 散らかった
狭くて汚い省三の部屋での ラブシーンが実に官能的なのだ。

 

 

ラブシーンは なんたって 日本家屋の

畳の上に限る と、おばさん(←私よ) 思うな。

 

外国映画の だだっ広い ベッドなんて

マットレスの上での 器械体操だもん。

 

 

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 墓地での密会

 

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そしてまったく、意外な展開を見せる ラストシーン。

田中裕子さんは ほんとに凄い女優さんだ。
ほとんどすっぴんに近い あの個性的なお顔が

潔癖、寂しげ、無邪気、可愛い、ふしだら、妖艶・・
実にいろいろな 変化を見せる。


ラスト 呆然とする響子。

このお顔も 素晴らしい。


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劇中 イタリア民謡「カタリ・カタリ」 が流れ続けます。
もう、言うこと無し、なのです。