犬の心を知った日 | マリリンの独り言

マリリンの独り言

ほんの些細な日常の出来事や、面白エピソード、我が家の動物達の話、ハンドメイド作品の話などを気ままに綴ります。

時々毒吐き。
クズ男やモラ男の話、人間関係についても書いています。

夫婦間だけの呼び名は
『プニ』『プニちゃん』


私がまだ小学校にも行っていない頃のこと。

幼馴染みのアッちゃんと公園へ遊びに行くと、1匹のミックス犬が木に繋がれていた。

近くに飼い主はいない。

物心ついた時から動物好きだった私は、直ぐ犬に近寄り話し掛けた。

おとなしい犬で、初対面なのに尻尾を振ってくれるし、体も撫でさせてくれた。

試しに『お手』をしてみると、ポンッと私の手の上に右手を乗せて来る。

私もアッちゃんも嬉しくなった。

2人で代わる代わる犬に『お手』を続ける。


余程しつこかったのだと思う。


愛想良く尻尾を振っていたのに、次第に様子が変わって行き、ウーッと低く唸り声をあげた。


そして大きく口を開けた次の瞬間、犬はガウウ!と鳴いて私の手に噛み付いたのだ。




親指と人差し指の間の柔らかい箇所をガブリとやられて、2cmほどデロンとめくれてしまった。


ほぼ上皮だけで済んだからか、想像していたよりは流血しなかったものの、パカッと開け閉め出来る肉の扉みたいで、アッちゃんは恐怖で固まり犬にも私にも近寄れなかった。



痛かった。

噛まれた手ではない。


心が痛かった。


それまでの私は、動物が好きと言っても、子ども特有の動くオモチャ感覚で楽しんで接していたのかもしれない。


しかしその時、犬にも人間と同じ心が、喜怒哀楽があるのだと痛感したのだ。


まるでサーカスの動物に芸をさせるが如く、何度もしつこくお手をさせたことを後悔した。

そして私は、泣きながら犬に土下座をして謝ったのだ。

「ごめんなさい、ごめんなさい·····えーん




アッちゃんは引いていた。
=͟͟͞͞(꒪⌓꒪;)ガーン

元々は穏やかな性格だったので、一瞬カッとなったけれど、犬はその後に唸る事はしなかった。


それどころか
噛まれて怪我をした
私の手を
そっと舐めてくれたのだ。

(今思えば、めっちゃナウシカ感だな)

その優しさに触れて、私は更に泣けて来て涙が止まらなかった。

痛いとか悲しいとかではなく、心に熱いものを感じた。


他の大人や、飼い主さんに見られなくて良かったと思った。

私の落ち度なのに、下手すれば犬に罰を与えられるかもしれないと思ったからだ。


犬と私が和解したのを見て、安心したのかアッちゃんが葉っぱを沢山ちぎって持って来た。

「これ貼っといたら治るで」

歳上のアッちゃんの言う通りにした私だったが、本当に直ぐ傷口がくっ付いた笑い泣き


子どもならではの治癒力の強さだったのかもしれないが、怪我したことを親にも知られずに済んだのは良かったと思う。


それ以降、私は犬や猫に対しても、人間と同様に機嫌をうかがうようになった。

動物が嫌なことをしないように、嬉しいことをしてあげるように。


せっかく同じ時代に、同じ世界に生まれたのだから、心を通わせ幸せを与え合いたいと思っている。