④ インテンシティ(プレイ強度)の高さ

 

はじめての方はこちらもどうぞ!

 

サッカーをはじめて5年、先々週遂にトーナメントで優勝カップを掲げることができた息子は、その勢いのまま今週末参加したトーナメントでも優勝。これまでずっと決勝で敗れ続け、悔し涙と共に「勝ち切る」ことの難しさを痛感してきた息子は、今勝つことでしか味わえない喜びを体感しています。

 

(何度も決勝で敗れ、その度に泣きじゃくる息子)

 

今までずっと「この年代では試合の勝ち負けはそこまで重要ではない」というスタンスで息子を見守ってきましたが、この2週間の息子の躍動感や練習への思い入れ、サッカーへの熱量をみると、年齢が下であってもやはり勝つことでしか得られない大切な何かがあるんだろな、と考え直しているところです。

 

(サッカーを始めてから5年目にして念願の優勝カップ!2週連続!)

 

今回はアメリカでジュニアサッカー年代を過ごすメリットの一つについて。

 

日頃からアメリカジュニアユース年代を観察していて私が強く感じることのひとつに、試合中のインテンシティ(プレイ強度)の高さが挙げられます。一発勝負のトーナメントではこの点は特に顕著で、どのチームのプレイヤーもインテンシティのギアをさらに一段あげて試合にのぞんでいるように感じられます。

 

 

私はSNSを通してでしか日本のジュニア年代のサッカーの現状を知ることができないのですが、SNSに登場する日本のサッカー少年少女達を見て感じることは、「とにかく上手い!」その一言に尽きます。この「上手い」はボールを扱う技術のことを意味するのですが、息子を含め息子のまわりにも、そしてレフリーとしてたくさんの試合を観ていても、日本の「上手い子」ほどのレベルでボールを扱える同年代の子どもたちをこちらで見たことがありません。

 

実は日本人の子どもたちの高いボールコントロールテクニックは、ソーシャルメディアの影響もあってか、こちらのサッカー通の間ではけっこう知られているようです。コロンビア出身の今のコーチは、私達が日本人であることを知ると息子のプレーを見る前から「He must be technical.(彼は技術が高いだろ?)」と言いました。チームメイトの親御さんも、日本の子どもたちのドリブル練習をSNSで探して家で練習していると言っていました。彼らが日本の子どもたちの技術に驚嘆していたのは説明するまでもありません。

 

自分の息子を客観的に見てみると、息子のボールを扱う技術レベルは、チーム内や私達の地域の同年代の子供たちの中では確かに高い方だと感じます(あくまでこちら基準であって、日本の上手い子どもたちには足元にも及びません)。それは日本のSNSで発信されているようなボールタッチの練習や、サッカー経験者の自分がサッカーの基本中の基本として習得しておくべきテクニックを、小さな頃から遊び感覚で徹底的に繰り返していた成果だと思います。しかし息子が、その技術力を実際のゲームの中で自由自在に駆使できているかといえばそれは違います。なぜか?インテンシティの高いプレー状況の中で、息子はまだそれらの技術を発揮しきれないからです。

 

 

こちらでは小学生年代からかなりインテンシティが高い中で試合が行われているように感じます。ゲーム前の練習や圧倒的な実力差のあるゲームの最中には、優れたテクニックを披露する子どもたちもちらほら見かけますが、がちんこのゲームが始まれば「使える選手」はあくまでフィジカルコンタクトが多い中で泥臭くボールを奪える、守れる、運べる、繋げる、そして点数をとれる選手なのです。息子はまだ8歳、小学校2年生ですが、ファウルを何度も受けプレーが止まったり、時にはアメリカンフットボールと間違えているのではと思うほどの激しいタックルを見舞われたりする環境がすでに日常茶飯事です(怪我の心配も尽きません。)。はじめはサッカー経験者として、また膝の怪我が原因で夢を諦めざるをえなかった者として「まだ小学校低学年だろ?!」と面喰いましたが、試合を重ねていくうちにそんな環境にも慣れ、今はインテンシティが低い環境で技術力を磨くよりも、このような環境の方がプレーヤーの育成には有意義だと感じています。

 

この「インテンシティの高さ」という点では、アメリカ国外にも通じるものはあるようです。SNSを通して、日本人として日本国外でサッカーに携わっていらっしゃる方たちとつながる機会に恵まれていますが、ヨーロッパの某サッカー大国在住で9歳のお子さんがU10のカテゴリーでプレーしている方が、息子さんの試合の動画をシェアしてくださった時、それを見て真っ先に感じたのもプレーの激しさでした。意見を交換している中でこのお父様は、「サッカーはテクニックを披露するスポーツではなく、ゴールを取り合うスポーツなので、そこを忘れてテクニックに寄った指導をすることは目的が違う」と意見を述べられていました。また、息子さんが中南米にあるプロチームのU9アカデミーに所属している方も、技術力云々よりも「自己主張や自己表現力の差は特に大きく、子供の頃から強いリーダーシップが無いと淘汰されてしまう世界」だと仰っています。

 

先週私達の住むダラスで、国際的にも有名なユース年代のトーナメントが開催され、日本の関東地区にあるチームがU15のカテゴリーで参加していました。グループリーグ3戦は全勝で勝ち上がりましたが、決勝トーナメント一回戦でダラスの地元のチームに負け大会を終えました。長距離移動や時差、慣れない環境で試合をする難しさは多分に影響したと思いますが、あれほど技術力で優れている日本のチームが、アメリカのプロ下部組織でもない町クラブに負けてしまう現実がここにあります。昨年開催されたU17やU20年代のワールドカップの成績でも、U17の大会は日本代表もアメリカ代表も決勝トーナメント一回戦敗退と同じ結果でしたが、U20の大会では日本代表はグループリーグ敗退、アメリカ代表はベスト8まで勝ち進みました。昨年行われたU23(パリ五輪世代)のアメリカ代表と日本代表の親善試合はアメリカ代表が4-1で勝利しています。

 

小学生年代では圧倒的ともいえる技術力の差がある中で、なぜ年代が上がるにつれて勝敗という結果で差が縮まっていく、あるいは逆転してしまうのでしょうか。ボールを扱う技術力は、カテゴリーやレベルが上がれば上がるほど勝敗を決める決定要素としては小さくなっていくのではないか、というのが私の意見です。それは上へ行けば行くほどインテンシティがあがっていくからです。その高いインテンシティの中でも発揮し通用する技術力が真に求められているテクニックであって、プレー強度が高くない中で身につけた技術は高いインテンシティの中では沈黙してしまうのでしょう。

 

そういった意味では、アメリカのジュニアサッカーには技術力を真の意味で高められるインテンシティの強さが幼少期からあるように思います。怪我(そしてそこに付随する超高額な医療費)の心配こそあれど、この点を私はポジティブに受け止めています。

 

今回はアメリカでジュニアサッカー年代を過ごすメリットとして試合中のプレー強度(インテンシティ)の高さについて考えてみました。ご意見・ご感想などをコメント欄やDMから頂けると嬉しいです。

 

 

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