~ 広島・中学3年生の自殺に見る教育現場の劣化~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 広島で亡くなられた中学3年生の生徒に際し、まず「心よりのご冥福をお祈り申し上げます」。

…昨年の12月に広島県府中町にある町立府中緑ヶ丘中学校の3年生・男子生徒が自ら命を絶つという大変痛ましい事件が起こりました。これまでも全国の中高などで自殺をする生徒の訃報が報道されたりしてきましたが、その都度に思うことは、ただ、ただ、残念でならないという思いです。

このような悲しい出来事が起こる度に昨今の学校組織、教員の資質についての是非が論じられてきましたが、今回の事件はいよいよもって教育現場の劣化が著しいことを社会全般に知らしめることとなったように思います。そして日々報道される事件の経緯が紛うことなき事実だとすれば、これは由々しき事態であると考えざるを得ません。

皆さんもよく御存知だと思いますが、この生徒が自殺するに至った経緯は高校受験に際して学校推薦が得られなかったことですが、その事実内容が学校組織としては考えられない杜撰さにあったことです。僕も30年近く教職に就いていましたし、進路指導を20年近くやっていたので事実経緯を知った時には「えっ!!」と絶句しました。

この中学校では公立高校受験において不合格が出た場合を考慮し私立高校を専願推薦させることで、生徒が高校へ進学できない事態への予防線を張っていました。このことは多少の進学指導の違いはあるにせよ恐らく殆どの中学校が取組みとして実施していることであり、特に問題とはならないと思います。

また学校長が認め発行する専願推薦書は人物評価に一定の条件があることも中学間で多少の違いを除けば基本のガイドラインは同じだろうと考えます。…問題は推薦書発行の為のガイドラインを実際に発動する時点で起こっているということです。

今回、生徒さんが亡くなられた原因はその推薦書の発行に際し彼の素行に誤ったデータ(万引き履歴)が付加され、それにより専願受験ができないという事が彼を死に追いやったという事実です。これは明らかな人災であり、業務上過失致死という刑事罰に相当するといっても過言ではないかも知れません。

「万引き」という不適切な行為を行った生徒の記録を自殺した生徒の履歴に記載し、しかも最初の段階から記載ミスが分かっていたにも関わらず修正もせず2年間も放置。…こんな組織管理が行われていたことに1つ目の驚き!。そして2つ目の驚きは進路相談(進路面談)での環境設定および、そのやり取りの不自然さや矛盾……少子化が進む今日、廊下で面談を行うという不親切さ、教室も確保できないほど手狭な学校だとはとても思えませんし、またその面談の内容も意味がわかりません。

報道された教師と生徒のやり取りでは「万引き履歴があるので推薦はできない」という教師の言葉に亡くなった生徒は「はい」と答えています。しかしこれは考えにくい(考えられない)事実経緯です。やってもいないことに対して、どんなに気弱な、どんなに口べたな生徒でも疑問を呈するはずです。身に覚えのないことで自身の将来が左右される重大事にこんな矛盾した応答がなされたとは到底思えません。

5回行われた進路相談(進路面談)……学校側が提示した面談内容には自分達の組織、そして教員としての責任回避と保身に走る姿しか思い浮かばないのは僕だけでしょうか?

さらに3つ目の驚きとして、これらの面談内容を補足するように学年主任だか進路主任だか忘れましたが「なかなか自分の思いを口にできない生徒もいるようで…」などとふざけた事を語っていますが、この責任回避がにじみ出ている迷言には驚きを通り越して怒り心頭です。

確かに自己表現が不得手で内向的な生徒もいますが、それこそ教員がしっかりサポートして、幾らかでもコミュニケーション能力向上のために手助けすることが努めでしょう。それに今回亡くなられた生徒に対するクラス仲間や友人たちは、彼の性格は明るくて勉強もできたと答えていますし、また運動部(陸上部)にも所属していたということで普通に活発な生徒だと見うけられます。そんな生徒が自分の思いを…やってもいない万引きを認める受け応えをするでしょうか??……。

組織としてもダメ!、そこに勤める人材も多くがダメ!……そんな教育施設がこうして厳然と存在することはある意味恐怖と同義語です。僕は学校が持つ隠蔽体質を少なからず見てきました。また責任の所在についても回避することに腐心する姿も目の当たりにしたことがあります。僕自身はケンカした形で教育現場に見切りをつけたので(やってられねぇ~と思った!)、あまり偉そうに講釈を垂れるつもりはありませんが、それでも少なからず全国にはこういった体質の学校、そして自己保身に汲々とする教員が潜んでいることは留意しておくべきかと思います。

…それにしても全容を知る担任の嘘偽りない事実説明が必要だと思うのですが、相も変わらず体調不良で発言の場には出てきませんね。ひと一人の命が損なわれているのですから「這ってでも出て来ないと!」と言いたくなります