~夏だ!怪奇映画だ!!その(1)ニコライ・ゴーゴリと『魔女ヴィー』~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 7月も上旬終了ぉ~!、全国的にはまだ梅雨明けじゃないけど、もう夏ですよねぇ~~…夏と言えば、やっぱしお化けや妖怪・幽霊さんの季節では………

まぁ~テッパンネタですが本日はソヴィエト(現:ロシア連邦)の怪奇映画『ヴィー』を紹介!…原作はなんと帝政ロシア時代の文豪:ニコライ・ゴーゴリ!!…ドストエフスキーを始めその後のロシアの作家たちに大きな影響を与え、またロシア・リアリズム文学の祖と位置付けられている人物です。

…なんかこんな書き出しすると、さも格調高い名作っぽい臭いがプンプンしますが……ところがドッコイ、そんな凄さは微塵もない映画なのでございまするぅ~~~
。もう、何処からどー見てもB級映画とし思えねぇ~作りでマジ、文豪ゴーゴリが原作なん!?……ってな仕上がり具合の作品でございます。

ではでは早速、その粗筋を紹介致しましょ~~
……中世のロシア、神学校に通う青年ホーマーは学校の休み(夏休みにたいな感じ)を利用し学友と故郷へ帰省します。途中まで一緒だった学友たちとも別れ尚故郷を目指すホーマー、日暮れを向かえ宿を探すのですがそんな中一軒の農家がホーマーを招き入れます。ところがこの家の主は老婆に姿を変えた魔女だったのです。魔女はホーマーをいたく気に入り、彼の背中へ飛び乗るとそのまま夜空へと舞い上がっていきました。魔女を祓おうと必死に抵抗するホーマー!、夜空を滑空しながらホーマーは何とか魔女を地上に引きずり降ろし、落ちていた木棒でメッタ打ちにします。そして、ついに魔女は息絶えるのですが……

ところが魔女を打ち殺したと思いきや、魔女は突如美しい娘へと姿を変えるのです。しかも娘にはまだ息があり、傍らに立ち尽くすホーマーを哀しい目で見つめるのでした。そんな姿にホーマーは言い知れぬ恐怖を感じ次の瞬間にはその場を駈け出していました。……無我夢中で神学校へと向うホーマー……そして何とか学校に戻り着いたホーマーでしたが、すぐさま学校長に呼び出されます。学校長はホーマーに少し離れた村に暮す富豪の娘が臨終の祈りをおまえに頼みたいと連絡してきたことを告げます。…その娘とはホーマーがメッタ打ちにした挙句打ち捨ててきた娘だったのです。ホーマーは学校長に断わるよう懇願しますが祈りを捧げに行かねばムチ打ちの罰を与えると言われ仕方なく娘の元に向かいます。

陰鬱な思いで富豪が暮す村に入ったホーマーですが、そこで娘の臨終に間に合わなかったことを告げられます。しかし富豪の父は娘が死の間際に残した遺言に従い娘の祈祷をホーマーに頼むのでした。ホーマーはこの強要にも近い富豪の頼みを断りきれず三夜の祈祷を引き受けます。

(礼拝堂にて……一夜目)
娘が収められた棺を前に聖書を開き祈祷を始めたホーマーに、突如棺から起き上った娘が襲ってきます。あわてて自分の周囲に結界である円を引くホーマー!、結界が邪魔をして周囲をグルグルと回り続ける死霊の娘…恐怖に気も狂わん思いで神の詔を唱え続けるホーマーの耳に一番鶏の鳴き声が届きます。夜明けの合図に死霊の娘は棺へと戻るのでした。

(礼拝堂にて……二夜目)
昨夜と同じく祈祷を始めると同時に死霊の娘が目を覚まします。そして今夜は棺桶を宙に飛ばしホーマーの結界へと体当たりを繰り返すのでした。…死霊と化した娘は棺桶からホーマーを威嚇しますがやはり結界に阻まれそれ以上手出しは叶いません!、そうこうするうちに一番鶏の鳴き声が……再び死霊の娘は棺桶と共に眠りに就くのでした。

(礼拝堂にて……三夜目)
いよいよ最後の夜が訪れました。二夜を過ごし今やホーマーの髪の毛は恐怖で真っ白になっていました。そんなホーマーに対し今宵の礼拝堂は騒めいていました。ホーマーは恐怖を誤魔化そうと酒を煽り祈祷に臨んでいましが……しかしそんなホーマーをあざ笑うかのごとく、礼拝堂のそこかしこから魑魅魍魎が湧きだしてきたのです。死霊の娘に付き従う化け物たち!、結界と聖なる言葉で対抗するホーマー!!……しかし最後に現れた化け物:ヴィーが塞がれた目を開いた時……結界は消えホーマーは四方から襲い来る無数の化け物たちの中に埋没していったのでした。そしていつものように一番鶏が鳴き夜が明けると…………魑魅魍魎達は姿を消し後に残されたものは、魔女に呪い殺された哀れなホーマーの姿と醜い老婆の遺骸だけでした。

制作されたのは1967年!、僕が観たのはたぶん大学生の頃だったと思うのですが……まぁ~そこら辺は曖昧ですが、とにかくソヴィエトという社会主義のお国にしては、何だか娯楽性の高い作品のよーな気がしたのと、以外に特殊技術・メイク等がしっかりしてるなぁ~って印象を受けました。

ソヴィエト映画と言えば『イワン雷帝』『戦艦ポチョムキン』『ソヴィエト版・戦争と平和』などが真っ先に思い浮かびますが、こういった怪奇モノも作られているんだということを知りましたし、この『魔女ヴィー』を見たすぐ後にアンドレイ・タルコフスキー『惑星ソラリス』(意思を持つ惑星のお話し)を見て、「ソヴィエト映画も侮れん!」と本気で思いました。

…ということで怪奇映画紹介の第1回目は『魔女ヴィー』…そして、これが日本名タイトルだと『妖婆・死棺の呪い』になっちゃい、そのセンスの無さに驚きつつ筆を置かせて頂きます。
(最後までお付き合い下さった方、本当にありがとうございました