~『戦国自衛隊』は全部、フィクション?~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 今回はちょっと語るのが憚られるお話しを1つ……

皆さんは『戦国自衛隊』という映画、もしくは小説、もしくはマンガを御存知でしょうか?。原作は半村良さん…1933年(昭和8年)に東京都葛飾区に生まれ戦争中の1942~45年(昭和17年~20年)までを石川県で疎開生活をされていました。高校卒業後は幾つもの職業を転々としていましたが、1962年(昭和37年)『収穫』という短編小説が第2回ハヤカワ・SFコンテストで入選を果たし作家としての道を歩み始めます

彼の作家としての出発点はSFでしたが、その作品には自身が長らく経験してきた下積み時代の人間関係や人間模様が描かれていたり、また人情溢れるものや悲哀を感じさせるものも結構創作されています。加えて世相や社会問題なども織り交ぜた作品も多数執筆、『軍靴の響き』といった当時日本が抱えていた再軍備問題への警鐘を促すものも発表しています。

彼は1972年(昭和47年)に『石の血脈』で第3回・星雲賞を受賞!、この賞はアメリカSF界の権威ある大賞:ヒューゴ賞とネビュラ賞に由来して作られた日本SF作家界の栄誉ある賞の1つです。

…そして、その後も彼の小説は名立たる賞を受賞し続け、翌年の1973年(昭和48年)には『産霊山秘録』で第1回・泉鏡花文学賞を受賞!、その2年後の1975年(昭和50年)には、な、なんと!小説『雨やどり』が第72回・直木賞を受賞!、SF作家で直木賞を受賞したのは後にも先にも彼1人ということで、これまた凄いとしか言いようがありません。さらに1988年(昭和63年)には第9回日本SF大賞を受賞、そしてさらに、さらに、1993年(平成5年)には小説『かかし長屋』で第6回・柴田練三郎賞を受賞!……‘何?この人’ってマルチ小説家なん!?。

…しかしながら2002年3月4日、肺炎のために68歳という年齢で死去!、作家としては、まだまだ精力的に活動できる時期にお亡くなりになられ、SFファンの僕としては、当時残念でならなかったことを憶えています。

彼、半村良さんは本当にマルチな作家さんで、数々の授賞を見ても分かる通りにSF作家という肩書なのにも関わらず、直木賞に輝いた『雨やどり』などはホステスやバーテンといった人達の悲喜交々にスポットライトを当てた現代作品ですし、前後しますが第3回の星雲賞に輝いた『石の血脈』は‘伝奇ロマン小説’といった新たなジャンルを生み出した傑作でもあります。……泉鏡花賞にしても柴田練三郎賞にしても、半村さんがジャンルに捉われない自由な思考の持ち主だったことが伺えます。

ところで、ここまで書いて実は本日のブログのテーマは小説家:半村良さんのことではなかったのです(スミマセン)。冒頭にチョロっと書いたのですが、今回のブログの本題は『戦国自衛隊』という半村SFの中でも特に知名度・人気度が高い作品に関係するお話しなのです。

……『戦国自衛隊』といえば自衛隊員たちが過去の時代、戦国真っ只中へタイムスリップしてしまい、戦国武将たちと覇を争い天下取りを目指すという奇想天外な物語でしたね。もうちょっと詳細に書けば、新潟と富山の県境、日本海に面した地で演習を行うべく集結途中だった第一師団、第十二師団、海上自衛隊の一部、およそ30名あまりの隊員たちが突然巻き起こった嵐のような不思議な現象に巻き込まれ、戦車や掃海艇、ヘリコプターといった現代兵器と共に戦国時代に飛ばされるということから始まるのですが………。


実はこのお話しには少しだけ実話の部分があるのです。……おそらく今日でも自衛隊内部では口チャックのお話しなのだと思いますが、実際に1960年代に演習に参加するため陸路を走行していた部隊の一部が隊員と補給物資を載せたトラックおよび装甲車両、ジープ、六十一式戦車ともども跡形もなく消えてしまったという記録があるようなのです。詳細については僕も知らないのですが、とにかく自衛隊は捜索をしたのですが、隊員はおろか、戦車やトラックのビス1本発見されなかったというのです。

僕もこの話しを耳にしたのはもう20年以上前のことですし、あまりよくは憶えていないのですが、とにかくその部隊は現在にあっても行方知れずということみたいなのです。……昔は自衛隊内で演習中の事故などで亡くなることが間々あったようですが、そういったことが表に出ることは殆どなかったようです(それは今日でも同じかも……)。

それゆえ、派手な墜落事故や爆発事故などは隠しようもないので、ニュースなどになりますが、特に一昔前………ネットも無い時代には新聞やテレビ、ラジオと言った類が情報を繋ぐ中心であり、また十分な情報取得の方法も何も確立していなかった訳ですから、意外と知られざる大事件などが、表にでなかったケースもあったかも知れませんね。

半村良さんがこのお話しを知ってか知らずかは別として、彼の『戦国自衛隊』は日本SF界に残る傑作であることには変わりありませんし、別に故人の作品にケチをつけるつもりなど毛頭ありませんが…ただそういった不思議な…ミステリアスな出来事(事実かどうかは確認のしようがありませんが)を僕は聞いたことがあるというお話しでした。

「信じるか、信じないかは貴方次第です…………」