~筋ジストロフィーが治療可能に!?~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 今朝、ニュースで京都大学IPS細胞研究所の堀田秋津(ほった あきつ)助教授らの研究グループが、難病・筋ジストロフィーの遺伝子治療が可能になるかも!?……と言う一報を知りました。

                   (京都大学・IPS細胞研究所↑)
ところで筋ジストロフィーとは……
筋線維と呼ばれる筋肉を構成する繊維状の細胞の破壊や筋壊死(筋肉細胞の一部が死ぬこと)と再生を繰り返しながら、少しずつ筋肉が痩せ、それに伴い筋力低下が進行していく遺伝性の筋疾患です。
筋ジストロフィーには様々な種類の発症例があり、死に至る場合と死に至らない場合のものがあるようです。しかし筋肉組織が侵され本来の機能を果たせなくなる訳ですから、命が助かる場合でも大変不自由な生活を余儀なくされることは自明の理だと思います。

このように今もってこの難病はその病の治療はおろか進行を食い止める方法すら確立されていないため、不治の病、死に至る病として存在しているのです。

僕は教員時代のかなり早い時期に、この筋ジストロフィーにかかった生徒を見ています。彼が高校に入学した時には、すでに足の筋肉組織が病魔に侵され始めていて、松葉杖で登下校していたのを憶えています。
…やがて2年に進級し2学期を向かえた頃には、自力での歩行は困難となり車椅子通学に変わっていました。
さらに3年に進級した時には手にも不自由さが目立ちはじめ、卒業時には顔の表情や会話も困難な状態となっていました。

僕は直接授業で相見えることはありませんでしたが、時々廊下で話しをしたりしていたので、彼のことは気にかかる存在でした。
彼自身は自分の病気のことを知っていたようで、普通の生徒より遥かに限られた時間(人生)を全力で生きようと頑張っていた姿が、今も心に深く残っています。

彼と出会ったのはもう20年以上も前のことですが、彼の場合は進行性の筋ジストロフィーだったと聞いていたので、おそらく今日まで存命はしてはいないでしょう。

…そのような出会い・経験があるからでしょうか、今朝のニュースでの筋ジストロフィーの治療に可能性が見出せたという一報には、何だか心打たれるものがありました。

                      (堀田秋津:先生↑)
今回、この
堀田秋津助教授率いるグループが成功した研究とは、筋ジストロフィーの中でも最も発症が多い「デュシェンヌ型」と呼ばれるものを対象にしたものです。

ではデュシェンヌ型とは……

進行性の筋ジストロフィーで重症なもので、少年期(10歳ほど)で車椅子生活になる人が多く、以前は20歳前後で心不全や呼吸不全で死亡していました。
しかし今日では医療技術の進歩により人工呼吸法が確立されたことで、5年から10年は延命できるようにはなりました。

しかし、あくまでも延命処置であり何ら根本的な治療方法がある訳ではなく、文字通りの難病として現在も多くの発病者の命を奪い続けているのです。

そんな重度の筋ジストロフィー・デュシェンヌ型に治療可能の光を当てた研究成果とは、患者の体細胞(身体を構成する各組織・各臓器を作っている細胞)から作ったIPS細胞を使いこの病の原因となっている遺伝子を修復することに成功したということなのです。

あまりにも専門的なことなので僕などには、よく分からない点がほとんどですが、おそらく異常をきたしている細胞を正常な細胞と取り替えることで、病気を治そうということなのでしょう。

それにしても現代医療の最先端は人体を構成する最小のゲノム修正まで可能なところまで来ているのですから驚くばかりです。

…昔、羊を使ったクローン再生技術が人に応用できるという研究発表がなされ称賛と共に「神の領域に手を出すのか!」などといった意見が声高に叫ばれていましたが……僕にはあの教員時代に言葉を交わした、おそらくは存命していないであろう教え子のことを思い出すと、神の領域と言えども人の命には変えられないと思う今日この頃です。