~地球物理学者・故:竹内均氏~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 1973年、東宝映画「日本沈没」が公開され、日本中で大ヒットした。

もともと小松左京の原作本がベストセラーとなり、それが映画製作へと繋がった訳だが、この映画「日本沈没」の中で日本を代表する地球物理学のオーソリティーが名立たる名優達と共に出演している。

                        (竹内均氏↑)
日本沈没は言わずと知れた大地震による列島崩壊の一大スペクタクル映画である。そんな映画のワン・シーンに登場するのが故:竹内均・東京大学名誉教授その人なのである。

                    (日本沈没・竹内氏シーン↑)
彼は映画の中で、地震のメカニズムについて政府閣僚・高官たちにレクチャーする役どころで出演している。竹内氏はこのシーンで地球内部の構造とマントルの動き、地殻と大陸プレートの連動による地震発生のメカニズムを説明するのだが、当時中学生だった私にもその原理がよく理解でき、後に高校でプレート・テクトニクスという言葉に出会った時に竹内氏の解説を思い出したことを憶えている。

私はこの竹内均氏の科学解説の解り易さに物理や地学といった不得意分野だった理系学習に面白さを見出した1人である。


そして私が彼と再び相まみえるのはNHKの高校講座「科学と人間」という教育番組であった。内容は物理の基礎知識を学習するものであったが、実験を通じて竹内氏が解説する物理学の講義は、あの日本沈没で感じた印象と同じもので、解り易くそして同時に科学という学問をとても身近に感じるものだった。

高校講座であるから勿論、学校教育(高校:物理Ⅰ)の現場で進められているカリキュラムを踏襲した番組進行であったが、間違いなく学校で聞く物理の授業より遥かに解り易く、また面白く学ぶことができ、やがて私は物理が好きな教科・得意な教科の1つとなっていった

また竹内氏は旺文社の大学受験のためのラジオ講座も受け持たれており、そちらの方も楽しく聞かせてもらった。

私は小学校の時にすでに算数で蹴躓き、数式や公式が多くを占める理数系教科が嫌いだった。大学進学に際しても芸術大学を選択している訳だから間違いなく文科系人間だろう
…しかし物理は竹内均氏との出会いがあったお陰で不得手にならずにすんだ。

いろいろ調べてみて分かったことだが、彼・竹内均氏は「正しい科学知識を日本国民に広め日本の科学水準を上げる」を活動の基軸に据えていたようである。

また「科学的素養は子供のうちにつけておかなければならない」という信念も持っておられそれが映画・テレビ・ラジオへの出演や、科学雑誌‘ニュートン‘の創刊に至っているのだということが理解できた。


…彼は私のような理系教科を苦手としていた学生を180度逆転させ得意で好きな教科に変えてしまった(…数学は今でも嫌いだが)。
この時点で1人ではあるが、彼の啓蒙活動は成果を上げている訳だ!

推測の域を出ないが、私のように科学を、理系教科を苦手とする方々の中に、竹内先生の講座や講義に触れ苦手意識を克服された方もいるのではないだろうか。

教育の要は導く者の人格と力量が全てである。
特に学校現場における教育者(教師)の果たす役割は多くの子供たち生徒・学生たちの習熟度を大きく左右する。

そういった意味で人格も力量も二流の教師たちは彼に学ぶべきである