~マンガ家・真崎守②~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 前回に引き続き、マンガ家:真崎守氏について書きたいと思います。

彼の作品、ホモ・ウォラントに感動した小学生時代……それから5~6年が経った高校1年の頃です、当時週刊少年チャンピオンを愛読していた僕は、そこで再び真崎守氏のマンガと出会うのです。

その頃の
少年チャンピオンは蒼々たる作家陣が連載する週刊マンガ誌でした。
横山光輝マーズ藤子不二雄氏のブラック商会変奇朗あすなひろし氏の青い空を白い雲がかけてったふくしま政美格闘士ローマの星、その他にも望月あきら氏や影丸譲也氏、吾妻ひでお、萩尾望都女史などなど……とにかく豪華な布陣だったんです。

                       (原作:田中光二↑)
そんなゴージャス作家陣の一角に
真崎守氏の連載が加わったのです……原作:田中光二(今やSF小説の世界では大御所!)・画:真崎守、作品タイトル【エデンの戦士】

                       (マンガ:真崎守↑)
《その概要は………》
地球の地軸が大転倒し人類が大災害の果てに滅亡した2000年後
……そこには人類文明の痕跡を残すのみの変わり果てた地球の姿がありました。しかし人類は大転倒による世界の崩壊を予測し事前の予防策として人類の種を残すためのコールドスリープ計画を発動させていたのです。
その計画とは優良な男女を地底深くに冷凍睡眠させコンピューターが地上の安全を確認した時、再び男女を地上へ解き放ち人類再生を始めさせるというものでした。
そんな人類の希望の1人である少年‘タケル‘がハワイ・マウイ島近辺で眠りから目覚めます!そして同時期、パリ近郊の地底でもコールドスリープから目覚めた少女‘ノヴァ‘がいました。
二人はそれぞれにオートマトンとサイボーグと言う自動機械の守護者を伴いまるでお互いが魅かれるように、まだ見ぬ、まだ知らぬ約束の地へと歩み続けるのでした。
タケルとノヴァ…それぞれに幾多の苦難を乗り越えながらお互いを探し続ける二人の旅は、やがて奇跡的に地上で生き残った人々が何世代にも渡り守り続けた都市:アトランティスへと繋がっていくのです。
そして二人が結ばれた時……止まっていた人類の歴史が再び動きだすのでした。

                     (マンガ:冒頭の部分↑)
…このマンガが連載されていた当時、相も変わらず世界はアメリカを中心とした自由主義陣営とソビエト連邦を盟主に仰ぐ共産勢力とがせめぎ合う時代でした。人々はそんな2大勢力の争いにいずれ近い将来、核による第三次世界大戦が始まるのではないかと心底怖れを抱いていました。……それはある意味、人類が恐怖心に苛まれていた時代でもあったかも知れません。それゆえに核戦争の前後を描いた映画やドラマ・小説などが大量に作られていました。……もちろんその頃学生だった僕も、例外なくそんな社会不安、世界情勢を信じる1人だったのです。

そこに、戦争ではないにせよ人類社会崩壊・世界滅亡を出発点とした
真崎守エデンの戦士が登場した訳ですから、僕などは興味と関心に加え、現実世界のリアルな東西緊張を重ね合わせ不安な未来を想像してもおかしくはないでしょう。

マンガでも活字でも映像でも、常に社会や時代の影響を受けないで創造されるものは皆無に他なりません。
当時の日本は第二次経済成長期を迎えていましたが、世界の政治・経済事情は不安定極まりないものでした。
豊かさが多くの国民に享受されようとしていた日本で、僕にはこのマンガが何がしかの警鐘を促すものであったように思えてなりませんでした

真崎守氏のエデンの戦士、僕には過度な豊かさが人類の心を蝕み、その結末が描かれたマンガでは…と思えてならないのです。