~マンガ家・真崎守①~ | 自炊・電子書籍化応援ブログ

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 小学生の頃、学習研究社(学研)科学学習という雑誌がありました
当時、クラス担任の先生がホームルームなどで月始めに購買する人をチェックし代金も先生が集められ、雑誌が届けられると購買した生徒に手渡すと言う形でこの雑誌の販売が行われていました。

まだまだ経済的に厳しい家庭がそこそこあった時代ですから、当然買えない生徒も幾らかいた訳で、家庭の経済事情が浮き彫りなることで、それに伴う差別意識が芽生えていたことも確かでした(…今なら大問題になりかねない雑誌の販売・購読方法です)。

僕の家は決して裕福ではありませんでしたが、母が家計をやり繰りして科学の購読はさせてくれていました。そのお陰で僕は科学(理科)に興味と関心を持つことができ、同じ理系教科の算数は平気で0点を取っていたりしましたが理科は得意な教科の1つとなっていました

そんな学研の雑誌科学には毎回実験道具と称した組立キッドや器具が付録として付いていました。…手作り望遠鏡や顕微鏡、ミニ野菜の栽培セットや自家製コンニャクやお豆腐を作る道具など……本を読みながら実践と理論で基礎科学を学んでいくという、今思ってもなかなかに優れモノな雑誌でした。
(ちなみに学習の方は社会や国語といった文科系の要素が詰まった雑誌で女子に人気がありました)。

…ところで、かなり前置きが長くなってしまいましたが、この
科学に連載されていたマンガの1つに真崎守氏のホモ・ウォラントと言うものがありました(他にも故:園山俊二氏のはじめ人間ギャートルズがあった)

1971年の「5年の科学」に連載されていた科学マンガで、主人公の少年が謎の老人に導かれ飛行機の発達と発展の歴史を、過去の世界の中で体現していくというお話しです。
タイムマシンなのかどうなのか判断のつきかねるマシンで過去に送られた少年は、飛行機開発の歴史を辿りながら科学の素晴らしさと共に科学が引き起こす悲劇や愚かさなども学んでいくというシリアスなドラマです。

なんせ43年も前の記憶なので曖昧な部分が多く、最終回はたぶん現代の空港に戻ってきた・と…思うのですが……………………
(画像等の資料は何とか見つけたのですが、内容全般は検索しても分からず薄ら憶えの記憶のみです……すみません)。
…ただ毎回のタイトルは分かったので一応明記しておきます。
(1)-リリエンタールの巻(前編)
(2)-リリエンタールの巻(後編)
(3)-ライト兄弟の巻(前編)
(4)-ライト兄弟の巻(後編)
(5)-アルプス越えに挑んだシャベスの巻
(6)-リヒトホーヘンの巻
(7)-ゼロ戦の巻(前編)
(8)-ゼロ戦の巻(後編)
(9)-ジェット機の歴史
(10)-最終回

この中で特に記憶に残っているのはグライダーの開発者オットー・リリエンタールの話しと、(9)話のジェットの歴史でのドイツ軍技術者のエンジン開発での話しです。リリエンタールの回では歴史上グライダーの飛行実験で死んでしまうリリエンタールを、歴史を知る主人公の少年が止めようとする内容だったと思います。…しかしリリエンタールは少年の忠告を有難く感じながらも歴史が指し示す通り飛行実験を行い事故死するのです。またジェットエンジン開発の回では、開発者の青年が戦争の道具としてエンジンが使われることに苦悩する姿と、主人公の少年が科学の残酷な一面を見知るという、誠に悲しいドラマが描かれています(…たぶんそうだったと思うんです…が……)。

…11歳だった僕は、このホモ・ウォラントに歴史の中の偉大な開発者・探究者達のすばらしさを知ると共に、飛行機開発につきまとった悲しい出来事や人間模様も始めて知り、何か人として大切なことを学んだように感じたことを今も憶えています。

真崎守氏のホモ・ウォラント、マンガが僕に大切な‘何か‘を教えてくれた最初の1冊です。