姫路城とポーランドのバベル城、戦禍免れた2城が「姉妹」に…
「命のビザ」縁で親日家多く
ポーランド南部の古都クラクフにあるバベル城と姫路城(兵庫県姫路市)が、姉妹城提携を結ぶことになった。
二つの城はともに第2次世界大戦で奇跡的に損傷を免れたことから話が進み、同国関係者が今年中に姫路市を訪れ、協定書に署名する。
姫路城との姉妹城提携はフランスのシャンティイ城(1989年)、英国のコンウィ城(2019年)に続き3例目となる。
(田村創)
バベル城は10世紀に建設が始まり、歴代ポーランド王の居城になった。
14世紀に大幅な増改築が施され、王宮や大聖堂も造られた。
ゴシックやルネサンス、バロックなど中世からの建物があり、大戦で国が全土で惨禍を被る中でも城は残った。
城を含むクラクフ歴史地区は1978年、世界遺産第1号の一つとして登録。
現在は博物館として公開されている。
姫路市も大戦末期、空襲で中心部が焼け野原になったが、姫路城は無事だった。
2017年、当時の駐日ポーランド大使が市を来訪した際、姉妹城提携について提案。
コロナ禍を挟んで昨年11月に清元秀泰市長がクラクフを訪問し、本格的な協議を始めた。
提携後は観光や文化面に加え、平和交流も視野に入れている。
姫路市によると、現地は治安も良く「古き良き時代の面影を残す」という。
大戦中、「命のビザ」で多くのユダヤ系避難民を救った日本人外交官・杉原千畝の存在もあり、親日家が多いという。
市文化国際課の担当者は「提携の詳細な中身はこれからだが、城だけに限らず市民同士の幅広い交流を考えたい」と話している。
◆ クラクフ=ポーランド南部にあり、ワルシャワに遷都するまでの11~16世紀は首都。
中央ヨーロッパ最大の商業都市として栄え、特に芸術や工芸品が盛んだった。
同国は近隣諸国から侵略を受け続けたがクラクフは破壊を免れ、13世紀にゴシック様式で建てられた「聖マリア教会」や同国最古の総合大学・ヤギェロン大などが残る。
アウシュビッツ強制収容所跡(オシフィエンチム)に近く、ナチス・ドイツによるホロコースト(ユダヤ人大虐殺)を扱った映画「シンドラーのリスト」(1993年)の舞台にもなった。
<記事引用>