ジャブローから出た新造戦艦はサイド6へ向かうと見せて大回りからサイド7へ向かう…フェンリル隊の任務はその新造戦艦のダミーとしてルナツーとサイド7の中間ポイントでジオンに発見されそのまま実戦テストを行う。
当の新造戦艦の出航が予定より約1ヶ月遅れとなりフェンリル隊もその時間を無駄に消化する事となった…。
コロンブス改に4機のジムを載せ移動開始…2日後にはジムを出撃させコロンブス改は離れた場所から観測を始めると程なくジオンのムサイ級巡航艦が姿を現した。
『隊長ビックリマーク敵ですビックリマークこ、この反応は…も、MSだと思われますビックリマーク
部下の報告を聞くロンメル中佐は確認を急がせると共に近くを航行中の筈のシャア少佐に無線を繋げさせた。
『シャア・アズナブル少佐でありますビックリマークお久しぶりであります中佐ビックリマーク
『挨拶はいい…部下がMSらしき機影を発見したのだが…例の作戦だと思うか?』
『連邦のMSならば…』
『やはりそうか…どうだ一緒に来んか?』
『はっ…有り難いお誘いですが…我が隊は作戦行動の終了直後でして…それにこれは中佐のお手柄であります…横取りはできません…』
『そうか…ならばウチの手柄にするぞ音符
『はっビックリマーク御武運をビックリマーク
通信を切るとシャアは腹心たるドレンに呟いた。
『どうみる…ドレン?』
『はぁ…少々出来過ぎかと…』
『そうだな…デニムの隊にサイド7を偵察させてみるか…』
『はっビックリマークデニムを呼んでくれビックリマーク

『フン…シャアめ…詳細情報は?』
『はっビックリマーク機影からMSが4機…母艦らしき姿は見当たりませんビックリマーク
『MSが4機だけだと…ならば此方もザクを4機出せビックリマーク連邦のMSの性能特と見せてもらおう…』

『中尉ビックリマークかかったわ音符来るよビックリマーク
『了解です音符トーマ…折角の長距離用ライフルだ火蓋を切らせて貰えよビックリマークフレアとリィファはコンビネーションのテストだビックリマーク
ムサイから出撃して来るザクを迎え撃つフェンリル隊は各自が任務を背負っておりジムの性能テストは最終局面を迎えていた…。
『隊長ビックリマークターゲットスコープにザクが映りました…』
『慌てるな…あと10~20mはザクの射程圏外だ…慎重に狙え…』
ザクはマシンガンを構え接近して来る…。
マシンガンの射程距離にはいる直前に連邦のMSから射撃が始まった。
歴史上初めて連邦製MSとジオン製MSの実戦が始まったのだビックリマーク
初弾はザクのやや上方へ逸れたが次弾は命中ビックリマークザクは何もせぬままに火球と化した。
地球連邦軍宇宙要塞ルナツーでは他の全てに優先しジムのバランサー調整が進められていたが、連邦には新たな技術であり難航を余儀無くされていた。
フェンリル隊に与えられた機体は開発途中の不完全なモノでバランサーに難があり、出力系にも制御が完全ではなかった…その為に微調整の度にMSへの搭乗を要求され休む間も与えられない状態が続いていた。
また、ピローの機体には時間節約の為に錆止めのグレーしか塗装されておらずピローは好んでこの機体を選び以降ピローにはグレーの機体が与え続けられ…後の通り名グレーファントムの由来となった。
他の者達は出力制御系とバランサーの調整がなされ、ピロー機のみ本人の要望からバランサーの調整のみが進んだ…結果、ピローのジムはシャアのザクに遅れを取らない機体となっていた。
2ヶ月以上の調整とテストを経てフェンリル隊に新たな指令が下りた。
『ピロー…明後日の夜にルナツーを出るわよ?』
『はい少佐…皆には?』
『まだ何も…どう説明したらいいと思う?』
『…明日のミーティングで今回の作戦内容を説明するだけで良いですよ音符
『でも…』
『大丈夫ですよウチの連中なら納得します…させますよ音符
翌日…通常の宇宙空間での機動テスト終了後にミーティングルームへと集められたらフェンリル隊隊員達を前にアキは明日の夜にルナツーを発ち作戦行動に入る事を告げた。
『…その後、我々はルナツーとサイド7の中間ポイントでワザと敵に発見され実戦テストを行います…』
『…ビックリマーク俺達は…V作戦じゃあないんですか?』
トーマの質問にピローが答えた。
『V作戦がどうかしたのか?トーマ…お前はV作戦の為にここに居るのか?』
『いや…違います…違いますが…俺達のやってきた事は連邦製MSの開発の一環で…それこそがV作戦じゃあ…』
『俺達がV作戦なのかどうかは関係無いビックリマーク少なくとも俺達が集めたデータはV作戦に役立てられるし、明日の出撃以降は俺達もいよいよ実戦に配備される…ジオンのザクと対等の立場で戦えるんだビックリマーク
『すいませんでした隊長…』
『いや…分かればそれでいい…皆もそこに重点を置き考えてくれ…明日は出撃に備えて機動テストは無い…が、いつも通りに起床し備えていてくれ。』
【はっビックリマーク了解しましたビックリマーク
ピローの言葉で一丸となり進む…フェンリル隊の強さはその辺りにあるのかもしれない…。
ハワイ基地の直ぐ近くで海から現れたジムは岩場で脚を滑らせバランスを失う直前に膝を着き再び海へ落ちるのを免れた。
『ト、トーマ少尉…こいつちゃんと立ちませんよ…』
『文句を言うなフレア…むこうも同じ条件なんだぞ…』
『そうだよフレア音符
片膝を着くフレア伍長のジムの頭部に銃口を当てているのは同じくフェンリル隊に編入されたばかりのリィファ伍長だった。
『リィファビックリマークてめぇビックリマーク何時の間に?』
『アンタがよちよち歩きしてるからだよフレア音符
『しょ、少尉…』
『ダァメだフレア…こっちもホールドアップされた…』
ピロー機がトーマ機の背後を取っていた。
『さぁ終了だ…サユリ音符戦闘記録は取れたか?』
『はい中尉音符トーマさん達が格好悪く負ける所をバッチリと記録しました音符
『サユリ…格好悪くって…』
『だって格好良い負けって無いでしょ音符あっビックリマークそうだ中尉、少佐がお呼びでしたよ…』
『あぁ判った…トーマとフレアは1対1を5本してから上がっていいぞ音符リィファはもうシャワータイムでいいぞ音符
パイロットスーツのままでアキの元を訪れたピローは不満混じりの興奮した声で出迎えられた。
『遅いビックリマーク何してたのビックリマークピロー、アンタV作戦って知ってるわよね?』
『はぁ…俺達がやってるのがそうじゃあないんですか…?』
『アタシもそう思ってたわよ…そう思ってたのに…V作戦の囮となるために宇宙へ上がれって命令が来たのよ…』
苛立ちを隠さずに苦い顔をするアキにピローが云う。
『いいじゃあないですか音符俺達はV作戦なんかの為に戦ってる訳じゃあないし、そんな作戦の為に模擬戦だけの日々じゃあ…アッシュが浮かばれませんよ…』
『ピロー…アンタ…』
『宇宙に上がれば模擬戦だけの日々は終わります…俺達はシャアに借りを返さなきゃならんのですよ音符少佐ビックリマーク
『そうね…模擬戦だけで満足するような温和しい子達じゃあなかったわよね…アンタ達は音符
翌日、フェンリル隊はハワイ基地からカルフォルニアへ移動し宇宙へと上がった日に村とその周辺地域がジオンに占領された事をピローは知った。