敵MSを避けてバズーカを握り直したザクは、やはり同じ新兵器たるクラッカーを放つとヒートホークを出し次々に破壊していく。
威嚇の為にMSへ1発、残った航空機と戦車隊へ向けて3発のクラッカーで攻撃を開始した。
『な、なんなの…あのザクは…?』
異様ささえ感じる程に素早や過ぎるザクに愚痴るクリスにライラが云う。
『中隊長ビックリマーク宇宙で見た赤い彗星に比べればまだマシだよ…落ち着けば大丈夫だよ…クリス…』
ライラの気遣いはすぐ解った…語尾に力が感じられずこのザクは赤い彗星と同等の危険な敵だとクリスは理解した…。
『ありがとうライラ…MS隊ビックリマークあのMSは私とライラが追います…後はビックトレーの護衛をビックリマーク
2台のビックトレーには各2機のジムが護衛に就くが…
『遅い…遅過ぎるぞ連邦のMSビックリマーク
クリスの指示が出る前にカズは航空機隊と戦車隊の半数以上を壊滅せしめビックトレーに襲い掛かっていた。
本来、戦闘司令車両たるビックトレーの自己防衛システムは極めて優秀であり、ザク1機での突破は至難の業であった…だがカズはそれを難無くやってのけて見せた。
『モ、MS隊ビックリマーク敵MSが防衛ライン…う、うわぁビックリマーク
MS隊全員が耳にした断末魔であった。
『ライアンは私達と合流して敵MSをビックリマークビーツはアテネ、ビスケツと共にトレド大佐のビックトレーをビックリマーク
たった1機のザクに因り、連邦の1個戦隊は既に半壊させられてしっていた。
『全隊に告ぐビックリマーク北の本部まで撤退せよ…』
トレド大佐の敗北宣言の中でマッケンジー隊の最終アタックが敢行された。
ライラ、ライアン両機が左右から同時に迫り、クリス機が正面にプレッシャーを掛ける。
『甘いな…』
対するザクはバズーカを左手に持ち替え、右手にはマシンガンを握ると右側のライラ機から正面のクリス機までをマシンガンで連射した。
弾幕を前にライラ機、クリス機が距離を取るとライアン機だけが突出した形になった。
『ライアンビックリマーク退きなビックリマーク
しかし既にバズーカはライアン機に向かっており、ライアンもそれに反応し正面へ回り込み出していた。
『ライラ曹長ビックリマークやってみますビックリマーク
ライアンのジムはマシンガンを警戒しスムーズな動きで姿勢を低くし弾道を避けると…メインカメラにはザクの爪先が迫っていた。
『悪いな…ザクには稲妻キックもあるんだよ音符
翌、早朝…
ジオン公国軍旧カナダ地域攻略特別編成部隊は3台のギャロップと1台のダブテを中枢とした大規模な北伐部隊となり北上を開始した。
F・H隊も当然この大部隊に編入されたが、カズは独りで前線基地から東…僅かに北上する東北東へ向けて自機たる銀の縁取りを施されたザク1機を積んだヘビートレーラーで向かう。
情報では目的地には連邦軍の前哨キャンプがあり、車両7、航空機5、テント大2小4…程度の規模らしく離れた場所での雑務であり罰当番には相応しい任務と言えた…。半日も過ぎぬ内に目的地付近まで来たカズは敵キャンプを偵察…戦闘車両30、航空機40内半数は爆撃機、テント大小含め40、MS8、指揮車両ビックトレー2…一個大隊とも呼べるレベルの戦力がそこにはあった。
『いつの情報だったんだ…?』
愚痴りながらもカズはザクを起動させた。
新兵器MSジムの起動テストをしてクリスティーナ・マッケンジー中尉以下の地球連邦軍北米奪回部隊のMS中隊はキャンプのすぐ近くに熱源反応をキャッチしたビックリマーク
『中隊長ビックリマークMS規模の熱源反応が現れましたビックリマーク
『クリスビックリマークバニング隊からは何か言ってきてるのかい?』
『いいえ…何も…』
『なら敵だね…ライラ隊ビックリマーク迎撃態勢を…』
『ナーガスから貰った新兵器のテストには打って付けか…』
銀色のラインで縁取られたカズのザクは林の中からバズーカを撃った。
立て続けに3発の弾丸が航空機の待機場所を直撃し爆撃機フライマンタはそのほとんどが大破、空爆の恐怖が無くなったキャンプ地にはたった1機のザクが姿を現す。
『1機ビックリマークたった1機だけだとビックリマーク舐めやがってビックリマーク
怒り血気に走ったライラ隊のジムが3機だけで飛び出す。
『待ちなビックリマーク距離を…』
ライラ曹長の言葉は虚しく空を走り抜け2機のジムが火球と化す…。
『やはりな音符
未だに新兵器たるMSに馴れない連邦のパイロットなどヨーロッパから激戦地を進んで来たカズの敵ではなかった。
カズのザクが3機目の敵MSに向けてヒートホークを振り下ろす。
『やらせやしないよビックリマーク』敵MSに直撃寸前でもう1機のMSがビームサーベルでヒートホークを受け止めた。
『できる奴もいる…』
改めて攻撃にでようとしたが他の4機が接近してくるのを受けて距離を取った。
『煩いのから始末しておくか…』
ヒートホークを収め再びバズーカを握った。
『カズビックリマーク何をしている?』
『別に…』
怒り狂ったジオン兵の1人が怒鳴りながら迫り来るのを無視してナーガスに返す。
『ナーガス…ジオンは本当に騎士の軍団なのか?』
『あぁビックリマーク勿論だビックリマーク
『ならば何故に平気な顔で俺達を侮蔑する?』
返事を見い出せないナーガスの前で遅いかかるジオン兵をカズは掴んで投げ捨てた。
『止めなさいカズビックリマーク
投げ捨てたジオン兵を踏みつけて更なる加撃を放ちつつ応える。
『如何にリカ様の命令でも聞けませんよビックリマークコイツはレイラを侮辱したビックリマーク
振り上げた足をぶつける前にレイラが飛び込んだ。
『ダメビックリマークカズさんビックリマークそれ以上はビックリマーク
慌てて止めようしたが足は止まらず辛うじて軌道を逸らした。
好機を得たデミトリー曹長が反撃に出ようと態勢を立て直したが待ったが掛かった。
『デミトリー曹長ビックリマーク中佐殿が止めろと仰られておいでだぞビックリマーク
デミトリーが振り返ると直接の上官たるトクワン少尉が立っていた。
『そっちの若いのも…中佐殿の御命令だ…』
ここでトクワンはリカに一礼をしてから提案を口にした。
『中佐殿ビックリマークこれはMS乗り同士の揉め事です、喧嘩ではなく実弾を使わない模擬戦で決着を着けさせようと思います…勿論、怪我などせぬように自分が見張りますが…宜しいでしょうか?』
『解りました…ではトクワン少尉アナタに任せましょう…ナーガスビックリマーク私は指令本部に挨拶に行ってきます、アナタは模擬戦を見ていなさい…それからカズビックリマーク勝敗には関係無くペナルティーは覚悟なさいビックリマーク
直ぐに準備がなされデミトリーのザクとカズのザクが対峙する…周囲からはカズとF・H隊への心無い罵詈雑言が飛び交いナーガスまでもが畏縮してしまう状態だった…が、僅か2分後には静まり返ってしまった。
模擬戦開始直後からデミトリーの猛攻が続いたが、カズはこの全てを難無くかわし掠らせもしない…約1分程が経過した処で模擬弾は使わずにデミトリー機の両腕、両脚をヘシ折った。
『模擬戦で善かったな音符
カズの棄て台詞に旧カナダ前線基地の全兵が言葉も出なくなってしまった。
カズへのペナルティーは連邦軍の前線キャンプを単独での攻略となった。
北方の連邦軍本隊とは別に偵察の為に東へ出てきている小隊をザク単機での攻略である。