死を覚悟できず…単に生を諦めただけの地球連邦軍北米奪回部隊の前衛部隊の生き残り部隊員達は指揮能力も実戦経験も不足しているクリスティーナ・マッケンジー中尉をこの時だけは心強く思いクリスの意を無駄にせぬ為に敗走を始めた。
クリスはジムの中で呼吸を整え、噂に聞いていたジオンの騎士…その部隊である事を示す縁取られたザクを…基本色は量産タイプの深みがかったグリーンながらに銀で縁取られたザクを睨み付けた。
勝てないながらも皆が逃げるだけの足止めぐらいは…その決意がひしひしと伝わって来る…。
『あの隊長機…女か?この気概…女にしておくのは勿体無いな…』
不意になり始めた警告音にカズは幾つかの確認を始めた。
『ガス欠だと?ヘビートレラーまでが関の山か…』
ジリジリと注意深く近付くクリス機に向けてクラッカーを投げつけた。
クリスは投げられたクラッカーに細心の注意で注目…突然それは強烈な発光をし視界を完全に塞がれてしまった…僅かの間だったが視力が回復した時にはザクの姿は無く戦闘は甚大なる被害だけで一方的に終了した。
北米大陸旧カナダ地域での戦闘でガスはたった1機のザクでビックトレーを1台は大破、1台は中破せしめ、MS7機を大破、戦車を23台、航空機を38機を破壊という1機のザクとは思えぬ戦果を挙げた。

一方、カズの居ないF・H隊はジオン公国地球方面軍旧カナダ地域制圧部隊本隊と共に北上し敵北米奪回部隊本部を目指していた。
カズがマッケンジー隊に攻撃を開始した頃…
本部キャンプから少し南下した辺りで新兵器MSの実戦シュミレーションをしていた部隊がいた。
『よしベイト良いぞビックリマークモンシアとアデルはもう少し…ん?アデルビックリマークお前の後ろに何かの反応が出ているぞ?』
『はい…隊長、自分もさっき気付いたのですがこの辺りなら味方ではないでしょうか?』
『いや…コレは…敵だビックリマーク気取られる前に奇襲するぞビックリマーク
サウス・バニング中尉はすぐさま本隊に連絡を入れ奇襲攻撃を仕掛けた。
北の連邦軍本部へ向かうジオン軍本隊は敵の急襲を受けながらも…
『落ち着きなさいビックリマーク既に敵エリアですビックリマーク襲撃ぐらいで狼狽えないのビックリマークナーガス頼んだわよビックリマーク
『リ、リカ中佐ビックリマークどうなさるおつもりか?』
『落ち着いて下さいキリング中佐…ウチの子達に応戦させますビックリマーク中佐は本隊を率いて北へ向かって増援部隊を迎え撃って頂けませんか?』
リカの機転に因り混乱を避けたジオン軍の反撃はF・H隊のみで始まった。
カズはたった一度のハイジャンプでアテネ機、ライラ機、ビスケツ機を墜とし、ビックトレーをも中破、撤退させた。
『隊長ビックリマークマッケンジー隊長ビックリマーク
『ビ、ビーツ…?』
『そうです…しっかりして下さい隊長ビックリマーク
ビーツの声で我に返ったクリスは残った中で最高位である事に気付き指示を出す。
『全隊ビックリマーク撤退ビックリマーク北の本部まで…逃げ延びなさいビックリマーク
ジムの右手に負傷したライラを抱え近くの61式戦車まで運びながらの命令にビーツが応える。
『自分が足を止めますビックリマーク
『ビーツビックリマーク私も直ぐに戻ります…無理はしないで…』
ビーツのジムはシールドを前に突き出した姿勢でザクに近づく…ビーツには考えがあった、この距離からのビームスプレーガンに依る射撃では間違い無く回避されるであろう…ならば接近しての格闘戦…ビームサーベルを大きく振り回していたらやはりかわされてしまう…小さなモーションからの突きビックリマークそれも連続した突きならば…ビックリマーク
そんなビーツ機の動きからカズは連続突きを狙っているであろう事を読み取りバズーカを拾い上げるが残弾0…すぐさまマシンガンに持ち替えると残弾6…。
『使いすぎたか…』
カズは敵MSのシールドへ向けて6発の弾を横一線に撃ち込む。
『6発?6発だけだと…弾切れかビックリマークやれるビックリマークやれるぞビックリマーク
ビーツは勝機を掴んだと確信しジムの進行は更に勢いを増し、素早く連続的な突きを繰り出す為に貯めを作る…ビームサーベルを持つ右腕を大きく後ろに引いた。
ザクはこのタイミングを待っていたかの如くダッシュを駆けシールドへ向けて水平にヒートホークを振るう。
『バカめビックリマーク特殊コーキングされたセラミックシールドがそんな攻げ…な、なにいビックリマーク
横一線に撃ち込んだマシンガンの跡をそのままに打ち込まれたヒートホークの一撃は切れぬ筈のシールドを伐り裂いてビーツ機ごと真横に斬って棄てた。
ライラを託したクリスは振り向き様にその光景をジムの中で目に叫んだ。
『ビ~~ツビックリマーク
『た、隊長ビックリマークコ、コイツは…コイツは駄目です…に、逃げて下さ…』
火球と化す直前の最期の通信がそれであった。
『ち、中尉…駄目です…あんな悪魔のような奴から逃げるなんて…』
『何を言ってるのビックリマーク行きなさいビックリマークそして生き残るのビックリマーク諦めたらその場で負けてしまうのよ?逃げて生き残るのビックリマーク私が…私がきっとアイツの足を止めてみせますビックリマーク
恐怖を押し殺し落胆する部隊に叱咤しつつクリスは最後の迎撃態勢を取った。
バズーカとマシンガンを持ったザクの隙を突いて正面で低い姿勢からビームサーベルを抜こうとしたライアンのジムは逆に不意を突いた蹴りで頭部を吹き飛ばされたビックリマーク
『ライアンビックリマーク
『行けますビックリマークカメラがやられただけですビックリマーク
それでも果敢に下から切り上げるライアンだったがカズのザクは既にバックステップをしておりビームサーベルは届かない。
『違うのビックリマークライアンビックリマーク逃げてビックリマーク
クリスが叫んだ時にはライアン機は切り上げる動作から完全に無防備な体勢で伸び上がっており、カズは晒し出されていたコックピトへマシンガンを撃ち込んだ。
『ラ、ライアンビックリマーク
ライアン機が火球と化す直前にライアン機を跳び越すと着地点近くに居たアテネ機がビームサーベルを抜き水平に薙払った。
『判断が悪いな…』
カズはブーストを更に吹き上げ着地のタイミングをズラすとバズーカを支点にもう一度跳ね上がる。
『チッビックリマークよく跳ねるビックリマーク
アテネ機は再びビームサーベルを振り、今度は真上に突き上げた。
ビームサーベルを真下から突き上げる右腕をマシンガンで押し止めたザクはアテネ機の頭部に足を置いた…重みに耐えきれず頭部がボディにめり込み、踏み台の如く踏み切るとアテネごとコックピトを踏み潰した。
『ア、アテネ~ビックリマーク
ビスケツの声が響く中で高く舞い上がったザクは2機の敵MSを挟んで向こうに居たビックトレーにバズーカを2発を発した、ビックトレーは大破こそ免れたものの後退を余儀無くされた。
空中で無防備となったザクにはビスケツ機が待ち構える。
『よくもアテネをビックリマーク
『ビスケツビックリマーク一人で行くんじゃないよビックリマーク
咄嗟にライラ機がカバーに入ろうとするが、カズは茫然としているクリス機を見逃さなかった。
『あの呆気ているのが隊長機だったな…』
動かないクリス機にバズーカを撃った。
『クリスビックリマーク動きなビックリマーク
ライラの声に意識を呼び戻されたクリスティーナ・マッケンジー中尉は鳴り響く警告音を耳にし動揺して硬直する。
『クリ~~スビックリマーク
ライラ機が軌道を逸れクリス機に飛び付くとバズーカの弾はライラ機のシールドに直撃し、ライラ機の左半身が破損、壊れたコックピトキャノピーからは負傷したライラ・ミラ・ライラ曹長が零れ落ちた。
僅か1秒弱…ビスケツはその光景に意識を奪われたが、カズには十分な時間でありバズーカとマシンガンを手放したザクはヒートホークを握り締め落下に任せてビスケツ機を真っ二つに切り裂いた。