宇宙要塞ソロモン周辺でティアンム艦隊がドズル・ザビ麾下ジオン公国宇宙攻撃軍の猛攻撃に晒されていた頃、月面基地グラナダにはキシリア・ザビ麾下の突撃機動軍が姿を現していた。
グラナダの護衛艦隊だったワイアット艦隊が壊滅させられたのはギレンの宣戦布告から1時間程しかたっておらず、ティアンム艦隊の壊滅より早く陥落、ジオンはそのままの勢いでサイド1、2、4を襲撃サイド2宙域を航行中だったゴップ艦隊を壊滅せしめた。
『どういう事なのだ!?宣戦布告から僅か6時間足らずで我々はソロモンとグラナダを失い3艦隊をも失ったと云うのか』
『将軍…お気を確かに…』
『あぁアキ少佐…此処に居るエルラン中将とコーウェン少将を呼んでくれんか…』
『わ、解りました…』
3将軍は2時間に亘り協議した末に出撃が決定した。
『少尉…どうなるんですか』
質問をしたサユリにも解答は解っていた…。
『恐らくこのままサイド3…いやジオンと戦争になるだろ…』
【ルナツー内の全将兵に告げる…私はレビルだ…そのまま聞いて欲しい…諸君ビックリマーク我々はこれ以上ジオンの暴挙を黙って見過ごす訳にはいかないビックリマークだが諸君も解っているだろうが残された宇宙軍は半数足らずだ…が、我々は決して諦めてはいない…否ビックリマーク諦めてはいけないビックリマークこれよりジオン殲滅の作戦を説明するビックリマーク諸君等の勇気と正義が我々を勝利へと導くだろうビックリマーク
先ず本作戦の作戦参謀としてアキがレビルより紹介され、レビルに代わり作戦概要の説明がなされた。
『…と、なります。要はレビル、エルラン両艦隊はソロモンを経由してア・バオア・クーからサイド3へ、ソロモンへの攻撃の際に同時刻でグラナダへの攻撃を仕掛ける為コーウェン艦隊は先にルナツーを出てグラナダ攻略後はサイド3へ急行します…尚、各艦隊内での作戦は出撃後に各個確認して下さい。』
短期決戦を見越した強硬策はエルラン艦隊所属のバスク・オム中佐の提案であり、ジャミトフ・ハイマン大佐の後押しだった。
未だ馴れないルナツー内を移動し漸く司令部に到着した時には既に俺以外の士官達は集結し終えていた。
『ピロービックリマーク何やってたのビックリマークアンタは軍属だけど私が無理にここへ呼んだんだよビックリマーク恥はかかせないでビックリマーク早く座るビックリマーク
アキは一睨みするとすぐに視線を戻した。
『閣下ビックリマーク揃いましたビックリマーク』アキの言葉を受けて奥に座っていた将軍が立ち上がった。
『諸君、私がレビルだ…楽に聞いて欲しい。』
地球圏航宙図が映し出されている正面のスクリーンを背にレビルは静かに話し始めた。
『実はほんの数十分前の噺なのだが、カリフォルニアで行われていたサイド3の独立協議に於いて…交渉が決裂した。』
場内にざわめきが起こるがレビルは続けた。
『今後サイド3の動向を探る意味でもここルナツーの艦隊を…』
『閣下ビックリマークお話しの途中ですが…』
『何事か閣下が大事な御話しなのだぞ!?
『じ、実はサイド3から全人類に向けた放送がビックリマーク
『アキ少佐、メイトスクリーンを受信チャンネルに切り替えてくれんか…』
レビルの指示にアキが素早くチャンネルを切り替えると…スクリーンには軍服姿の男が映し出されており、静かに語り始めた。
『地球連邦政府並びに地球に棲む全ての者達よ、私はジオン公国軍総帥ギレン・ザビであるビックリマーク地球連邦政府は我々を宇宙へと追いやり、一握りのエリート達の為に地球から我々を支配してきたビックリマークだがその屈辱の歴史も終わりを迎えるビックリマーク迫害され続けた総てのスペースノイド達の自由と権利を取り戻す為に我々ジオン公国は地球連邦に対し宣戦を布告するビックリマーク
短すぎる宣戦布告の直後、ジオンの攻勢は始まった。
サイド3に程近いア・バオア・クーへの中継地点ソロモンを抑えるべく向かっていたティアンム艦隊の壊滅が開戦の狼煙となった。
最後にカズと連絡を取ったのはクリスマス前だった…。
明日には…いや既にもう年も明けたが俺は今、地球連邦軍宇宙基地ルナツーの宙域で新型航宙戦闘機セイバーフィッシュのテスト中だった。
『隊長、今日は俺がトップで行かせて貰いますよ音符
部下の一人でテストパイロットの【ブルース・アッシュビー】伍長が言うと、もう一人の部下【タダシ・トノマ】曹長が割って入る。
『アッシュビックリマークテメェは昨日もトップだっただろうが!?今日は俺だビックリマーク
二人の機体が近付くのを見て間をすり抜けつつ諭す。
『お前等じゃあ喧嘩になるビックリマーク俺が行く音符
3機でじゃれ合う様に飛んでいると部隊の指揮官【アキ・マツイ】少佐から怒声が飛ぶ。
『遊びじゃないのビックリマーク真面目にビックリマーク
トップスピードでの通過テストも3日目になるとトップスピード自体よりも誰がトップで行くのか以外に楽しみも無く、俺達の興味は3日後に控えた中距離ミサイルの試射テストぐらいだった。
内外に対し極秘裏に行われているテストであり、ルナツーのスタッフ達の九割が眠る深夜の時間帯に行われている…そんなテストも明日からの新年休暇後までは一時中止となる…それだけに俺達にも楽しみぐらい有っても良いだろう…と、俺は思っている。
終了後には案の定アキ少佐からこってりと絞られる事になったが、シャワーを浴びれば正月休みとなっていた…。
軍の機密上、故郷に連絡すら取れない俺達【レビル直属第13特殊部隊】の4人が隊の任務のみならず少佐という階級から別の仕事も成さねばならないアキ少佐を余所に我が隊専用のミーティングルームで今夜から再開されるテストに備えている時だった。
ビィービックリマークビビィービックリマーク
【緊急指令ビックリマーク緊急指令ビックリマーク尉官以上は司令部に集合して下さいビックリマーク繰り返します…尉官以上は司令部に集合して下さいビックリマーク
『少尉!?
2つ年下の【サユリ・ミチナカ】曹長が此方に視線を飛ばす。
『あぁ…行ってくるよサユリ…』
未だ正規兵では無くとも一応は少尉であり、俺はミーティングルームを跡にした。