『赤い薔薇ソースの伝説』(メキシコ・1992年) | Cinéma , Mon Amour.。.:*☆

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わたしの右脳は洋画で
左脳は邦画で出来ておりまする╰(*´︶`*)╯

こんにちは


今日ご紹介する映画は

『赤い薔薇ソースの伝説』
(原題:LIKE WATER for CHOCOLATE)



  *・゜゚・*:.。..。.:*・'あらすじ・*:.。. .。.:*・゜゚・*



時は1895年

革命前夜のメキシコ、


北部の大農場の三女(末娘)として

キッチンテーブルの上で生まれたティタ

ルミ・カヴァソス



ティタの誕生を喜んでくれた父が亡くなり

三女への関心が薄い惣領夫人である母エレナ

レヒーナ・トルネ)ではなく、料理人のナチャ

アダ・カラスコ)に育てられたティタは、

ナチャ直伝の料理も覚えていく


ティタは15の時、マルコ(マルコ・レオナルディ)と

出会い恋に落ち



年頃となって初恋の相手ペドロに求婚されるが、母は


我が家では、子供が皆女の場合は

末娘が一生親の面倒を看る義務があり

ティタとの結婚は認めらないと一蹴。


その代わりに長女ロサウラ

ヤレリ・アレスメンディ)との縁組であれば

認めましょうと言ってのける


唖然とするペドロは、しかしこの先も

愛するティタの側にいられるのならばと

ロサウラとの結婚を承諾


それが僕たち二人のためだと

言い含められたところが納得など出来ないティタ


失意のティタは

母から泣くことを禁じられたばかりか

結婚式のパーティー料理を作れと命令を受け

逆らえずに夜遅くまで、ウエディングケーキの

仕込みをする


彼女の心の支えは乳母のナチャと

いつも彼女の味方になってくれる次女の

ヘルトルーディス(クローデット・メイル)だけだった


結婚式当日、ティタ手製の

ウェディングケーキを食べた全員が

食中毒症状を起こしてしまい、

嫌がらせにお前がケーキに毒を入れたのか?と

怒鳴る母にティタは先程ナチャが死んだと告げる


ナチャを亡くしたティタの悲しみが

愛するペドロと結ばれなかった嘆きが

料理を通して皆に不調を起こさせたのだった


その後母の意向に沿い

ペドロ夫妻と同居することとなるティタ


眠れぬ夜を編み物でやり過ごし幾星霜


彼女の苦悩が尽きる日は、いつか来るのだろうか、、、




前記事にて『バベットの晩餐会』を

ご紹介しました


その『バベットの晩餐会』と

対となって思い出す作品がこちらの

『赤い薔薇ソースの伝説』なんですね


それは、どちらも食い気一辺倒のわたくしの

涎を誘う調理シーンがあって、更にはどちらも

奇譚めいた話となっておるゆえなのですけれども、


ただDVDを購入しようにも

お値段がどえりゃ〜お高くってですな :(;゙゚'ω゚'):

ずっと手をこまねいておりましたのさ


そんなんで定期的に

Amazon primeにてチェックを入れていたところ

ナナナントの条例1598年!!いつの間にやら配信に 

なっていたではあーりませんか!


Gracias Dios✝️


原題『LIKE WATER for CHOCOLAE』

直訳、チョコレートのための水のように は

水を沸かしたお湯にミルクチョコレートを入れると

ホットチョコレートになる、その沸騰する様を情熱的

引いては性的興奮を示唆するとするメキシコの慣用句

なのだそうで、


では邦題の『赤い薔薇ソースの伝説』が

どういった意味なのかと申せば、、、、


ティタが実家の料理を担当し始めて

一周年の記念にとペドロから赤い薔薇の花束をプレゼント

されるのですけれど


その赤い薔薇で作ったソースをかけたうずら料理


これを食べたものは皆興奮を覚え

中でも顕著にソレが現れたのが次女の

ヘルトルーディスで、彼女は熱を覚ますため

野外のシャワー室に駆け込みます


すると彼女の身体から香る

薔薇の匂いに釣られてやってきた革命軍のリーダーに

裸ん坊のまま連れ去られてしまったっていう、、、


つまりはティタのペドロに対する

飽くなき熱情が側にいる人々にも伝染するという、、、


不思議な現象はその後も続きます


姉が男児を産むのですが

産後の肥立ちの悪い姉に代わり

母から甥っ子の面倒を看るよう命じられたティタ


姉の子はペドロの子でもあるわけで

愛しさが募り子供の口に乳房を加えさせると

ティタから母乳が出たという、、、


更にはペドロと閨を共にできないようにと

姉を太らせるわ、きつい口臭を撒き散らかさせるわと

どれも料理の錬金術師、ティタになら出来ること


まぁ実際にはありえへん話ですけれど

こういったお話をマジックリアリズムと呼ぶそうで


ペドロとティタが結ばれていれば、

なんら問題など起きなかったのでしょうけれど

彼女の前に立ちはだかる怖えおっかさんの存在がねぇ

(●´ω`●)


『バベットの晩餐会』でも

娘に献身を求めるおとっつぁんがおりましたけれど

やってることに大差はないけどもあちらはまだまだ

柔かったかな、うん。


こちらはこう、、いっつも眉間に皺を寄せてらして


特にティタへの仕打ちが酷くって


そもそも好きな相手を姉にあてがうことからして

考えられんし(それを嬉しそうにする姉も姉だし)

失恋して泣いていると『泣くんじゃない💢』と

叱咤するわ、一つ屋根の下で暮らすことを強要するわ

暇があると『ティター!ティターーッッ!』て

呼びつけるわと、ホント毒親もいいところ


ティタちゃんもさあ

育てたように子は育つ、言いますか

小さい時からアンタは独身のまま死ぬまでアタシの

面倒を看るんだとインプリンティングされてるせいか

母親に逆らえなくってね、途中で精神を病んでしまいます


己が諸悪の根源だっちゅーに

頭のおかしな子は出てけーってティタを疎んじた母


このお家にはアメリカ人の主治医がおりまして

彼の病院があるテキサスまでティタは静養に行くことと

なりました


馬車に乗って旅立つのですけれど

その時ティタを包む彼女が編んだ毛糸のストールがね



陽が落ちても尚、

どこまでもどこまでも

果てしなくなく続いていくのです



ペドロと姉の夫婦生活を想像し

何千日と眠れぬ夜を過ごしたティタの

その長さが忍ばれる、このシーンには泣けました


家の家訓とやらで

人生を蹂躙された女性の非業に、泣けました


どうやらおっかさんにはおっかさんの

悲恋もあってその証拠に明らかに次女だけ毛色が

違います


このおっかさんも容貌からして

おそらくスペイン人で、つまりは根っからの支配者

なのでしょう


歴史で習ったかももはや曖昧だけど、、、


しかしうずらって

わたしゃ八宝菜くらいでしか

食したことがおまへんけども

『バベットの晩餐会』にも出てきていたし

結構ポピュラーな食材なんだなーー



監督は俳優でもある

メキシカンのアルフォンソ・アラウ


どっかでみた顔や思うたら

『ワイルドパンチ』でマパッチ将軍の側近役だった

方でしたわ


あらまっ『エル・トポ』にも出てらしたのね


監督としてはキアヌ・リーブス主演の

『雲の中の散歩』も撮ってらしてお顔の割に(失礼!)

ロマンス映画もお上手とお見受けした


ペドロだけはようわからんかったけど

因みにペドロ役のマルコ・レオナルディ

『ニューシネマ・パラダイス』で、青年時代の

トトを演じた役者さんでした


トリビアの泉的ネタとして上梓。


最後に

こちらのラストは

メリバ、、、メリーバッドエンドです


けれど

それがこの物語にはお似合いな気がしました


メキシコの

乾いた紅い地の下ではね、、、







そうそう

バレエの演目にもなっているみたいで



それもちょっと気になるぅ