『オッペンハイマー』(アメリカ・2023年) | Cinéma , Mon Amour.。.:*☆

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こんにちは

本日は、理論物理学者にして

『マンハッタン計画』(第二次世界大戦中

米国で行われた原子爆弾製造プロジェクト)を主導し

後に『原爆の父』と呼ばれたロバート・オッペンハイマー

の半生を描いた、その名も『オッペンハイマー』のご紹介

です。



映画は、

原子爆弾を開発製造しそれを日本へと投下をし

一時は英雄と讃えらたものの、後に糾弾された

オッペンハイマーの視点で描かれております


糾弾されはしましたけれど

それは原爆投下への責によるものではなかった

ことを、先に申し添えておきます


オッペンハイマーの軌跡にあったもの、それは


個としての彼がユダヤ人であったこと

公人としては、稀有な理論物理学者であったこと

ゆえに、ナチスドイツより先に原子爆弾を完成させる

ことは必然であったこと


かような理由によって、彼を

アメリカ合衆国が国の威信をかけ挑んだ

『マンハッタン計画』のリーダーたらしめたこと


しかし開発最中にヒトラーが死に、

ドイツが降伏したことで、地球を破壊しかねない

原子爆弾を作る必要はなくなった、、


にも関わらず、

膨大な予算と時間を費やした計画を

今更断念するわけにはいかず、


結果ドイツに代わる標的として

敵国日本に矛先が向いてしまうのです


全面降伏など絶対にしない日本人に

これ以上アメリカ兵の命を奪わせてはならない


だから原爆を落とすことは

戦争の早期終結に必要不可欠である、、、


この詭弁の下、原爆は

長崎と広島へと落とされました


原爆投下は

仕方なかったのだとする感覚は

ノーラン監督の、と言いますか、大半の欧米人の

認識なのでしょうか


インタビューにおいても

監督がオッペンハイマーを知ったのは

スティングの『ラシアンズ』だったと言っておられ

ましたから、オッペンハイマーと言う名が持つ意味も

そんな程度なのかとね


思うんですけれど

原子爆弾でも何でもそう、

未知の兵器となるものを作ってしまえば

実験したくなるわけで


実験をしたら次は実戦で使いたくなるわけで


実戦したらその結果、評価が求められるわけで


それが、常なんですよね


よって個人の意見など通らんことは分かります


けれどそれでは21万もの犠牲者を、

兵器の成果を測るために人柱となった大勢の

罪のない人たちのことは何と考えるのか?


に対する答えがなかったものですから

オッペンハイマー自身も、原爆を作った

その後のことは自分には関係ないと、後悔もないと

する反面、自分の手が血に塗れてしまったのではとも

申しております


その真意を尋ねることは叶いません


でも人間って

他人の足を踏んだくらいなら

御免なさいって謝ることは出来ても、


本当に酷いことをした自覚がある場合は

制裁や誹りを恐れるあまり、自己保身が作動して

素直に謝罪が出来ないのでななかろうかとの想像は

つくんですよね


オッペンハイマー氏の場合

本当のところはどうだったのか?


今回は映画の感想ではなく

複雑な思いを吐露してしまった感じです


とはいえ

上映時間三時間超えの長丁場も気にならず

弛むことなく観ることは出来ました


それは話自体はわかりやすく

展開がスピーディーであったことと

キャスティングの妙が要因ですね


オッペンハイマーを演じたキリアン・マーフィー

そのトレース力



マット・デイモン

オッペンハイマーに振り回されつつも

最後はアメリカ軍人の仕事キッチリでしたし


オッペンハイマーを取り巻く二人の女性

妻を演じた、発破かけ上手なエミリー・ブラント


妻に選ばれなかった恋人役の

フローレンス・ビューの危うさは

実際もこんな感じだったのではと思わされました


オッペンハイマーを追い詰める

軍部のケイシー・アフレック


同じくディン・デハーン


相手側弁護人を演じた

ジェイソン・クラークの目力三人衆は緊張をはらみ


オロオロしながらも

結構正義の人だった、レミ・マリック



トランプ元大統領のお友達なのでは?な

トルーマン大統領を演じ、地団駄踏んでいた

ゲイリー・オールドマン



アインシュタインに扮したのは

お久しぶりのトム・コンティでしょ


一瞬、ジャン・マイケル・ビンセントと見間違えた

ジョシュ・ハーネット



あの一言にはちょっとだけ

溜飲が下がりましたの、マシュー・モディン



そして


アカデミー賞での態度は非難されましたし

個人的には『アイアンマン』=なキャラクターが

鼻につくけれど、この役は彼にしか出来なかった

くらいに嵌まりっぷりだったロバート・ダウニー・Jr



皆さまさぞや、


役者冥利に尽きたのではなかろうかという


そこは素直に見どころでありました。