『嘆きのテレーズ』(おフランス・1952年) | Cinéma , Mon Amour.。.:*☆

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左脳は邦画で出来ておりまする╰(*´︶`*)╯

こんにちら


今日 ご紹介する映画は


『嘆きのテレーズ』(Therese Raquin)



      *・゜゚・*:.。..。.:*・'あらすじ'・*:.。. .。.:*・゜゚・*


ヒロインは、
フランス、リヨンで夫と姑と暮らす
テレーズ・ラカン(シモーヌ・シニョレ


夫カミイユは病弱で、
寝ている時が一番幸せだと言い
でも17年間毎週木曜日に年嵩の友人を呼んで
競馬ゲームをして、それも勝たないと機嫌が悪くなる

そんな夫を母親(シルヴィー)は溺愛し
テレーズは二人の世話に明け暮れる傍ら、
稼業である『ラカン生地店』の店番及び経理も
押し付けられていた

ある日のこと
珍しく夫が同僚を家に連れて帰って来た

酒に酔い潰れた夫を軽々と抱き上げた同僚は

ローラン(ラフ・ヴァローネ)という名の
外国人だった


人目見たその日に
テレーズは逞しいローランに惹かれ
ローランもまた、美しいテレーズに魅了され
瞬く間に不貞関係へと陥っていく二人


人目を気にしながらの逢瀬に業を煮やしたことと
婚家での粗末な扱いを受けるテレーズを救うため
『駆け落ちしよう』と持ちかけるローラン

でも『ウィ』とは返せないテレーズ

テレーズは天涯孤独の身であり
そんな彼女を養育してくれたのが姑である
叔母だったのだ

だから従兄弟であるカミイユに
妻とは名ばかりの世話役として充てがわれても
恩を仇では返せないと、嘆くテレーズ

しかしせっかちなローランはカミイユに
二人の関係を暴露してしまい、怒ったカミイユは
『裏切り者!』とテレーズを責めるが

それでもカミイユは
『僕を一人にしないでくれ』と縋り付き
彼女の機嫌を取るためパリを旅しようと
話をすげ替えてきた

『わたしを置いて行くなんて』とご立腹の
姑を置いて、寝台列車の旅に出た二人を追った
ローランが、列車に乗車していた

次の駅で降りて一緒に逃げようと
急かすローランを押し留めるテレーズ

しかし二人でいるところをカミイユに見つかり
まるで所有物のようにテレーズを扱うカミイユに

怒りが心頭したローランは掴みかかり

そのせいでカミイユは列車から落ちてしまった

我に返り、自首すると言うローランに
『貴方は次の駅で降りて、後はわたしに任せて』
とテレーズ

自分の席に戻り車掌に
居眠りをしている間に主人が居なくなったと告げると

車掌は向かいに座る水兵に
何か見なかったか?と尋ね、水兵は
『俺も寝てたから何も知らない』と答えた

翌日、変わり果てた姿でカミイユは発見され
被害者は列車から突き落とされたとする警察は
真っ先にテレーズを疑い


知らせを聞いた姑はショックで発作を起こし
車椅子生活となってしまう

連日警察の事情聴取が続く中
姑の介護もこなさなければならないテレーズには

ローランだけが心の支えだったが
警察が目を光らせているため彼と会うことも
ままならならない

そんな中事態は一変する

カミイユが死んだのは列車の扉が
ちゃんとしまっていなかったせいで
それは鉄道会社の落ち度となり
晴れて無罪放免となったテレーズ

彼女には慰謝料も支払われるという

一件落着と思われた矢先のこと

テレーズの元に訪問者があった


男は事件当夜
テレーズ夫妻と相席の
『俺は眠っていて何も見ていない』と
車掌に証言した水兵であり、皆さまご察しのとおり
彼女を強請に来たのだが、、、


*・゜゚・*:.。..。.:*・・*:.。. .。.:*・゜゚・*


映画の冒頭
リヨンの街の川縁を
テレーズとカミイユ、
そして姑の3人が散策しています

それはどうも休日毎の日課と思われ
親子は二人してゲームに興じる人々を囃し立て
一人だけ、反対方向の川を見つめるテレーズを
協調性がないって詰るような感じで

つまり、3人はいつも2対1となるわけで


まぁ3という数字は割り切れませんから

家庭内においても
その図式が崩れることはなく
37度台の熱が出ると医者を呼ぶ旦那と
湯たんぽの用意が遅いっ!と、騒ぐ姑

彼らに尽くしながらも
蔑ろにされ続けてきたテレーズ

だから初めて観た中学の時は
気の毒なテレーズを応援したりしてね


でも、この歳(つまりいい歳)になって
改めて観てみるとそりゃカミイユ親子の所業も
あんまりだけれど、テレーズも結構なタマってことに
気付きます

だってローランを夫婦の寝室に招き入れたのは
テレーズですから、、、それも、別室には姑が
いるにも関わらずで、案の定見つかりそうになり
ローラン冷や冷や



所詮二人は不倫の関係ですから

そればかりか、夫を殺めたわけですから
テレーズの身上を気の毒には思うものの
だからといって罪が帳消しになるはずもなく
彼らに待ち受けるものは、定番の破滅です


とはいえ、

一度は罪を免れそうになりながら
脅迫者が現れたりして、プロットは二転三転、
原作者エミール・ゾラらしい捻りはありましたが
でも、やはり犯した罪は償わなければならない、、、

そういうお話でした

しかし
実のところ今回は
テレーズとローランの
道を外れた恋とその成り行きよりも
テレーズと姑との関係の方が気になってですね

下世話は百も承知ですが
今のわたしにはそちらの方が
断然オモロイわけですわ

姪であるテレーズを引き取った理由

それは決して美談で済まされる話ではなく
体が弱く内弁慶、けれどプライドは
エッフェル塔より高い一人息子と結婚させ
面倒を看させるためというね

要は自分たちのためなんです

だからテレーズが出て行かないように
彼女の貯金を奪い、それを元手に生地店を
開店させたりと、この婆さんなかなかのワルよのう

ただこういった従兄弟婚は
日本でも昔はあったようで
おフランスもかい?って思いましたが

で、姑は息子を殺めたのは
テレーズだと気づいてます

そら、普段から虐めてますもんね

息子は息子でパリへ行って
大伯母の家にテレーズを軟禁して懲らしめる、、、
そういう計画を立てているのを姑も知っていたから
だから二人のフランス行きを許したわけで
それがそうはならなったってことでテレーズに
疑惑の目を向けるわけです

けれど息子の死のショックで
失語症になっちゃってますから

ゆえの、テレーズを見るこの目


テレーズがご飯を食べさせるシーンで
盛大な結婚式だったけど、誰もわたしに
おめでとうとは言ってくれなかったって
キレながら、スプーンを口に運ぶんですが

瞬きもせずテレーズを
見つめるシーンはガクブル:(;゙゚'ω゚'):

姑を演じたのはシルヴィーさんという名の
女優さんで名字はなく、ローラシェリーちゃん
たちの先輩みたいだなって思いました

とにかく今回は
女優としては強面の
シモーヌ・シニョレ姐御と
これぞ『ザ・姑』といった風貌の
シルヴィーさんの対決をもっと観たかったって
気持ちが大きかったです


なんならスピンオフでも構わんが、、、





でも、この時代のフランスは
決して裕福とは言えなかったのね


脅迫者の水兵さんも
軍隊では苦労したみたいだし


あ、
因みにローラン役のラフ・ヴァローネより
水兵さん役の男優さんの方がハンサムでした





でも主を張るのはラフ・ヴァローネ







確かに押し出しは立派です