日本人の勲章(アメリカ・1955年) | Cinéma , Mon Amour.。.:*☆

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わたしの右脳は洋画で
左脳は邦画で出来ておりまする╰(*´︶`*)╯

こんにちは


今日 ご紹介する映画は


『日本人の勲章』(原題:Bad Day at Black Rock)



   *・゜゚・*:.。..。.:*・あらすじ'*:.。. .。.:*・゜゚・*


第二次世界大戦終結から2か月後のこと

アメリカ西部の小さな町、ブラックロックの駅に


左腕のない男が降り立った。


車掌は
『この駅で人を降したのは4年ぶりだ』と驚き

駅舎にいた通信係も
『人が来るなんて聞いていない
 スミスさんに知らせなくてはっ!』と大慌て

町民たちは皆、険しい目つきで彼をガン見し


招かれざる客であることが一目瞭然の


男の名は、ジョン・マクリーディ
スペンサー・トレイシー


通信係が口にしたスミス(ロバート・ライアン)は
町のボス


何しにやって来たんだ?と問われ

『日本人のコマコに会いに来た』と答えると

スミスは、コマコは此処にはもう居ないと言う

それでもマクリーディはコマコの住む町外れへと
車を走らせる

そこで一人、
農業を営もうとしていたコマコ

しかしスミスから買ったという土地は
農地に適さないことが人目で分かる荒地で
マクリーディが見たものは焼け崩れた小屋と
潰された井戸だけで、そこにコマコの姿はなかった


町民たちから向けられた敵意と
コマコ宅の惨状から、彼の身に
何か良からぬことが起きたと察したマクリーディ

その帰り道、スミスの手下に
車を煽られ危険な目に遭ったマクリーディ

早くこの町を出なくては危ない、、、


しかし列車は明日の朝まで来ないし
マクリーディに好意的な葬儀屋のドク
ウォルター・ブレナン)が用意してくれた車は
これまたスミスの手下の一人にタイヤを切り刻まれ
使い物にならなくなってしまったのだが、

そもそもマクリーディは
何故コマコに会いに来たのだろうか?

その理由をドクと
ホテルの若いフロント係のポールに
語り始めたマクリーディ



彼はイタリア戦線で二世部隊所属の
コマコの息子と、共に戦っていた

ある時、間一髪のところを
コマコの息子に命を助けられ
そのせいでコマコの息子は命を落とした

マクリーディを救ったことから
死後に勲章を授与されたコマコの息子、
マクリーディは、それを手渡すために
父であるコマコに会いに来たのだと言う。

その話を聞いたドクはポールに
『お前たちがしでかした事を話すんだ』と詰め寄り
ポールは自らも加担した事件について話し始めた

それは4年前のこと、
日本軍による真珠湾攻撃に腹を立てたスミスは
軍入りを志願するも不合格となりその腹いせに
町民たちを唆し、何の罪もないコマコを殺害したのだ

そこにはコマコに売った二束三文の土地から
水が出たというスミスの私憤もあったのだが。

それから今まで
住民は事件の発覚を恐れ
余所者を町に入り込ませないよう
細心の注意を払っていたにも関わらず
そこへあっさりマクリーディが降り立ち
しかも、コマコに会いに来たものだから
今度はマクリーディを亡き者にしようと画策。

果たしてマクリーディは
狡猾で非道なスミスたちの手を逃れ
無事にこの町から逃げ出すことが出来るのだろうか?



*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*


ずぅっと昔に観た作品を
たまたまAmazon primeで見かけ
監督がジョン・スタージェスであることに気づき
再見してみました

『日本人の勲章』って邦題が付いていますが
日本人は一人も出てきませぬ

じゃあどんなお話かってぇと、

彼方、真珠湾攻撃に腹を立てたヤンキーが
軍入りが叶わなかった腹いせに、近場にいた
ジャップを仲間を扇動して惨殺し、

此方、その日本人の息子に戦地で助けられた
隻腕の男が息子の父親に勲章を渡しにきたが故に
巻き起こる騒動を描いた作品です

今ね、
世界中で黒人の命も大切だって
皆さん行進されておりますけれども

でも、それって
黒人さんの命だけじゃないですよね

我々黄色人種だってあちゃらの国へ行けば
差別の対象ですから

なんならコロナの件ではマスク姿のアジア人女性が
若い黒人男性から問答無用で顔を蹴られてましたから

2020年の今ですら、そんなんですから
第二次世界大戦当時の日系アメリカ人の受けた
差別は、相当なものだったと思います

その発端と言いますか
きっかけはやはり真珠湾攻撃で
スミスを演じたロバート・ライアン

 
日本人を殺しそれを4年も隠匿し続けた悪党を
いけしゃあしゃあと演じておりました

やはりこの人の悪役は
外見が爽やかな分、より一層気持ち悪くって好き❤️

でも、一家言持ってらっしゃいましてね

つまり西部は馬鹿にされているってことを
踏まえてですが

スペンサー・トレイシー演じるマクリーディに 

『西武に来る奴は歴史家は古跡を、
 作家はネタを、実業家は開発できる土地を
 探しに来るんだ』って、なるへそなって思いました
もん

そして主役のスペンサー・トレイシー
わたしからすると、キャサリン・ヘップバーン
パートナーとしての意味合いが強い方でしたが


実は役者としてこそ第一級のお方で
アカデミー主演男優賞を二度お獲りになり
今作ではカンヌ主演男優賞をお獲りになっています


言葉にせずとも
コマコに対する贖罪の気持ちを漂わせ
何よりこの方が出ているだけで作品に重厚さが出て
そこがスペンサー・トレイシー
スペンサー・トレイシーたる所以かと存じます

他にもリー・マービン
アーネスト・ボーグナイン
粗野なカーボーイでご登場


二人ともまだ駆け出しの頃ですが
後の活躍に通じる秀でた個性は遺憾無く
発揮されておりました
   (ボーグナインのギョロ目もね)


こちらには紅一点で
アン・フランシスちゃんが出てますのやけれど


普通なら、こんな可愛子ちゃんは
主人公を助ける健気な役どころですわな


然しこれがアータ
とんでもないビッチでございまして

そこらあたりがジョン・スタージェス

一筋縄ではいきませんて!

このアン・フランシスちゃん言うのんは
ハニーフラッシュ!で世の男子をモゾモゾさせた
『キューティーハニー』のモデルなんです

こちらがその元ネタであるテレビドラマ
『ハニーウエスト』(1965年)ざます



55年も前に、
既にこういった作品を作っていたアメリカさん


このポップさを流石アメリカと
拍手したいところだけれど、その一方で
一向に無くならない差別と暴力の連鎖には
どーよと思うのです

因みに『二世部隊』とは
日系アメリカ人によって構成された
第442連隊戦闘団のことなんですが、

今作にあるようにヨーロッパ戦線に投入され
最前線で活躍、その激闘ぶりは述べ死傷率
31.4%(死傷者約9.486人)という数字が表していて
合衆国史上最も多くの勲章を得た部隊です

この部隊が
あのダッハウ強制収容所を解放したことは
1992年まで公表されなかったことも
ここに書き記しておきましょう
(Wikipediaより抜粋)


祖国アメリカのために戦ったにも関わらず
日系人、及び移民は強制収容所送りとなり
財産の殆どを奪われております

だってあの人たちったら、未だに
リメンバーパールハーバーですもん

だからこちらも言わせてもらいます

ノーモア ヒロシマ、ナガサキ

どっちが酷いと思います?