『わが青春のフロレンス』(イタリア・1970年) | Cinéma , Mon Amour.。.:*☆

Cinéma , Mon Amour.。.:*☆

わたしの右脳は洋画で
左脳は邦画で出来ておりまする╰(*´︶`*)╯

こんばんは

今宵ご紹介する映画は

『わが青春のフロレンス』(原題『METELLO』)




1880年、イタリア

無政府主義の男が
監獄を出所するシーンで
映画は幕を開ける

夫を迎えにきた妻の腕には
産まれたばかりの男児が抱かれ

男が『名前は? 』と尋ねると

『メテロ』と答えた妻は
夫の出所を喜ぶどころか
表情は暗く、酷くやつれてみえる

それでも男は
そんな様子の妻を残し
またぞろ集会へと出向き

その間に妻は
ひっそりと生き絶えていた

散々苦労をかけた妻に成り代わり
男は懸命に幼いメテロを育てるも
彼もまた、仕事中に不慮の死を遂げ
孤児となったメテロは養父母の元で育つが

ベルギーに移住するという養父母家族と別れ
故郷であるフロレンスに戻る決意する

この時メテロ(マッシモ・ラニエリ)17歳


学も後ろ盾もないメテロ

仕事を探すうちに
亡き父の友人に出会い
煉瓦工の仕事を斡旋されたものの
安過ぎる賃金には閉口するばかり

低賃金を解消するには
社会の変革が必要であると
父と同じアナーキストの友人は
メテロに弁を振るうが若いメテロの心には
イマイチ響かない、、、

ある日

手違いから監獄へ
ブチ込まれてしまったメテロ

牢獄にいた政治犯から
お前の親父を知っている
立派な男だったぞとの賛辞を受け
生まれて初めて身体が熱くなる感覚に見舞われた

直ぐに釈放されたメテロは仕事場の
隣家に住む未亡人のヴィオラ(ルチア・ボゼー)から


庭仕事を頼まれ、そして
ヴィオラはメテロの初体験の相手となる

色香漂う後家のヴィオラに溺れていくメテロ

しかしメテロには兵役が待っている

兵役を終え
心身ともに逞しく成長したメテロは
愛するヴィオラの元へ参じるが
彼女は再婚していた

出来た子供は貴方の子かも知れないと
聞かされたが、今更どうすることも出来ず
別れを選んだ二人

メテロは煉瓦工に復帰するが
労使間で人員整理のゴタゴタが始まり


その最中、一人の男が腐った梯子から
落下する事故が起きてしまう

『娘を呼んでくれ
   俺が死んだら、組合旗と共に葬ってくれ

そう言い残し絶命した男

男の葬式で
男が呼んでくれといった娘
エルシリア(オッタビア・ピッコロ)と出会い


父が世話になったと
一礼するエルシリアに一目惚れするメテロ

組合の赤旗に護られた葬列は


駆けつけた官憲に蹴散らされ
抵抗したメテロと同志たちは投獄されてしまう


メテロの身を案じ
監獄までやってきたエルシリアと
出所後結婚したメテロ

子供にも恵まれ


貧しいながらも慎ましい
暮らしを送る傍ら
組合運動のリーダーとなったメテロ

賃金ペースアップを要求する運動は
フロレンス全域に広がりをみせ
機に乗じたメテロたちはストライキを敢行する

無給となり
毎日街をぶらつくメテロを
内職で支えるエルシリア

彼女もまた労働者階級の生まれであり
闘士だった父を見て育ってきた故
メテロ一番の理解者だったのだ

そんな糟糠之妻を裏切り
メテロはアパートの隣部屋に住む
蠱惑的な若妻イディナ(ティナ・オーモン)と


不倫関係に陥る

夫と、友人イディナの
不適切な関係を知ってしまったエルシリア



対外的には
立派な男と称されたメテロの父

しかし

家庭的には女房を泣かし
死に追いやったメテロの父

メテロもまた
父の二の舞を踏み
エルシリアを泣かせてしまうのか?


それとも、、、



*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*



初めて今作を観た、遠い昔

邦題の『わが青春のフロレンス』と
こちらの日本版ポスターから受ける印象で


フロレンスという名前の
ヒロインの純愛物語だとばかり
思っていたんですが、フロレンスとは
フィレンツェのことで(無知やわ)

メテロ(METELLO)という青年の成長と
彼を取り巻く女性を題材とした作品だったのです

よってポスターはこれが正解かなとは思いますが


これだとわたくし
観る気が起きたかどうか、ギモンです  (*´ー`*)

当時は邦題に、愛だの青春だの
さらに二つを合わせた愛と青春の が
流行りでしたから宜ないのかもしれませんが

ミスリードとも、言えますよねぇ、、、

こちらは記憶の彼方に
しまいこんでいた作品でしたけれど
ツタヤさんの発掘良品コーナーで見つけ
懐かしい思いにかられ再見したところ

ネオレアリズモをベースに
女は口説いてナンボの
アモーレミーヨが飛び交う
イタリアンテイスト満載の
作品だったんだなと気づきました

真面目なわたくしからすれば
思想家は助平ではイカン
しかもアータ、気団でしょ(゙ `-´)/

内職して生計を助ける奥さんに
申し訳ないと思わんのかっっっ

と、激おこぷんぷんですが

そこはほれ
上記したように
イタリアですさかいね
我々とは気質が違うのでしょう

と言いつつも

実はイタリア人と日本人って
似てるところもあるなって思います

それをメテロの妻エルシリアに
感じました

若くして
『内助の功』を発揮するエルシリア

夫の不貞を知りつつ
ことさらコトを荒立てず
静かにオンナを排除するその姿勢は
昔の日本女性に通ずる力量でしたよ

演じるオッタビア・ピッコロ


清楚で誠実な美貌が
昼メロっぽい今作で
唯一リアリティがあったなと思ったら

彼女はこれで
カンヌ国際映画祭の
主演女優賞を獲得したそうです


ピッコロという苗字と

一斉を風靡したアイドル
栗田ひろみさんに似たビジュアルで



わたくしにとりまして
ピッコロさんは印象に残る
女優さんです

正直初見時は
思い込みもあって
期待に違った作品でしたけれど

今回観直してみたら
なかなかどうして

山あり谷ありで

飽きることなく
最後まで視聴することができました

わたくしも
こういったお話が
理解できるくらいには

歳をとったってことかしらね