『万引き家族』(日本・2018年) | Cinéma , Mon Amour.。.:*☆

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わたしの右脳は洋画で
左脳は邦画で出来ておりまする╰(*´︶`*)╯

こんにちは


今日ご紹介する映画は


『万引き家族』




東京の下町に 
ひっそりと佇む
崩れそうな平屋、、

家主は初枝(樹木希林
という名の老婆で、初枝はそこで

息子の治(リリー・フランキー)と
治の妻の信代(安藤サクラ)と
二人の息子の祥太(城かいり)と
信代の妹、亜紀(松岡茉優)と
生活を一にしております

一家は家計を
初枝の年金と、治の日雇いの賃金
信代のパート代で賄っておりますが
不足分は万引きで補うという、

しかも治が(万引きの)レクチャーをして
息子の祥太に実行させるという、、


さらに祥太を学校に
行かせていないという、、、

祥太の戸籍はどうなっとんねんという、、、、

それなのに

少しも悪びれた様子がないという、、、、、

なんならそういった生活を
エンジョイしてるという、、、、、、

どーしようもない家族です

ある冬の日の夕刻

いつものように
ショッピング(万引き)をして
帰途に着く途中、治と祥太は


アパートの廊下で震える少女
佐々木みゆ)を見かけます

治はこの子が
親から虐待を受けていることに
以前より気づいておりました


だから
そのまま捨て置けず
少女を自宅へと連れ帰ったのです

少女を見て妻の信代は

『もっと金の匂いのするものを盗ってきなよ』と
冷酷なことを言いつつも、夕飯を食べさせます

少女のか細い腕についた、傷や痣

それらを転んで出来たモノと
話す少女

だからといって
少女をずっと此処に
置いていくわけにはいかず
アパートに帰そうとして 

そうして盗み聞いてしまった

『産みたくて産んだんじゃない』という

少女の母親の、叫び声

その声を聞いて信代は
金の匂いなど微塵もしない
それどころか
一文の得にもならない少女を
このまま自分たちの娘として
育てることを決めます

少女は名を ゆりと言いましたが
信代から りん て名はどう?と聞かれ

りんという
新しい名前を選んだ ゆり

りんの失踪は
騒ぎになる気配もなく初めから
実の家族であったかのような
穏やかな毎日が過ぎていきますが



祥太が治たち大人の行いに
ギモンを抱いたことで

それまで彼らが
ひた隠しにしていた秘密が
白日の下に晒される日が、

やってきたのです


*・゜゚・*:.。..。.:*・''・*:.。. .。.:*・゜゚・*


評判作のせいか
劇場はわたくしを含むジジババ(笑)で
ほぼほぼ8割方埋め尽くされ
(こんなこと、こちらでは滅多にない)

暗い中、杖をついて
危なっかしく通路を歩くご婦人やら

座席を間違えて
それを指摘されても
シレッとしたお顔で
居座り続けていなすった御仁やら

団体さんでお越しになられ
パンバカぱんつ君が
『お喋りはやめてね!』と
注意喚起してるにも関わらず

『ネーちゃんはHの7番に座りっ!
   わたいはトイレ近いから端の8番に座るさかい』と

まるで自分ちの茶の間のような大声が
観客の顰蹙を買う御一行様等々で
場内は異様な熱気に包まれておりました

前席のお姉様(多分70代)などは
佐々木みゆちゃん扮するりんが
万引きをするシーンで

『こんな小さな子に(万引き)させてからに』だの

はたまた城かいり君扮する祥太が
決死の覚悟を決めるシーンでは

『あれっ、えらいことになってしもたがな
いちいち寸評を述べられて

それを隣のおじさんが

『アンタラはっ、
   黙って観れんのかっ   』と嗜める

ちょっとしたカオス状態で、、、

話に集中できんじゃないか!!
といったような今作は、

監督が言わんとすることを
役者様方が完ぺきに理解し
隅々まで行き届いた演技を
披露されておりました

つーか監督は初めから
このキャスティング有りきで
脚本を書かれましたん?

例えば治役のリリー・フランキーさん


リリーさんが醸し出す
『こすっからさ』『卑しさ』『幼稚さ』が
治にピタっとハマってましたし

信代を演じた安藤サクラさんに至っては


自然体とか、
ナチュラルというワードを
使うことさえバカらしくなるほど

もう信代以外の何者でもなくて

(パート先の同僚との おたふく談義などね)

いつもながらこの人独特の
場面場面への溶け込み具合といったら
一体全体何ざますか?

だってお舅さんも一緒に出てるんですよ?



きっと江本パパも
息子の嫁のあのシーンを
ご覧になると思いますが、、、以下省略

『寺内貫太郎一家』のばーちゃんを
彷彿とさせた、樹木希林さんも


ハイリスクな役に
挑戦しなすった松岡茉優さんも

そして二人の子役ちゃんたちも 

それぞれがまるで本物の人物のようで
こちとらグググイーーっと惹きつけられ

中でも信代がりんに

『(親は子供を)可愛いから殴るのはウソ』
『可愛かったら、こうやって
  ぎゅうーっと(抱きしめるの)』という台詞が


胸に突き刺さりました


ラスト

わたくしの前に座っていた
お喋りなオネーサマ方が

『えっ?アラ?』と
宣っておられましたが

恐らくはストレートに
涙を誘う感動作だと
お思いだったのでしょうねぇ

しかし是枝さんは
『結』が『解決』とは
いかない類の監督さんです


観客は、
今観たものについて
自分なりに精査しなきゃなりません

と、言うことで

今作に対する
わたしの感想ですが

それもこのお話が現実にも
起こり得るかもしれないと、
しての感想ですが

『万引き家族』による
りんの連れ去り行為に
彼女を救いたいという
彼らなりの優しさは感じました

あのまま
放っておいたら
りんはどうなっていたのか?

という思いもありましたから、、、

ただ問題は

その優しさが
真摯にりんを想っての
優しさであったかどうかと
いうことなんです

自分たちの
満たされない何かを
埋めるための代替え行為では
なかったかってことなんです

彼らがりんに与えてしまった
束の間の家族ごっこが



りんが成長していく上で

『糧』となるのか?

或いは

『枷』となってしまうのか?

そこら辺りに想いを馳せると

結局は 

そういった星の下に生まれた子は
大人や、行政に頼るだけでなく
自らで逞しさや知恵を身につけなくては 

世間の荒波を乗り越えて
いけないのだろうという
理不尽な結論に至ってしまうのです

大人が最後まで正しさや優しさを
貫く覚悟がなければ、犠牲となるのは子供です



大人よりも

大人にならなければ

生きていけない子供たちが存在する

この日本という国




エンドクレジットが流れる中
どうすればそういった現状を
変えられるのであろうかと
考えあぐねてたら

いつのまにか


場内はわたしだけだったという、、、