ポスター貼りの一日目は、ベテランのボラスタ(ボランティア・スタッフの略)のTくんと一緒に街に繰り出した。

 

ベテランと言っても彼はまだ22歳の大学生。少し前からポスター貼りや内勤を初めて、卒業と共に地球一周へ行く予定。

 

そんな彼と東大阪の街へ電車を乗り継いで降り立った。

 

全くこの大阪の地理には疎いが、あらかじめ貼るエリアは決まっていて、前回貼って回った人の記録も下調べしたし、地図もある。※ちなみにエリアを外れるとオフサイドというペナルティもある。

 

この町は商店街が二つあり、そこに大半のポスタ貼りができて国道沿いにポツポツ貼れるという情報。商店街は閉まるのが早いということで、国道沿いのすでに前のポスターが貼ってある所を貼り替えたり、新聞屋さんに貼ったり、ここは絶対と行けとチェックのある美容院に貼らせてもらいながら商店街に向かった。

 

 

この町は既にポスター貼りの実践場になっているので、貼られているお店が多い分、入ってすぐに拒否される事も多い。

 

初の数件はベテランのTくんがやるのを見て、その後数件を見てもらいながら貼って、その後は別行動。

 

お店があったら、とりあえず入って交渉。それは飲食店や美容院だけでなく、車屋さん、鍼灸院、放課後デイサービスにスナック、歯医者に不動産、とにかく商売をしているところに入り込む。

 

シャッターも多い商店街だが、ポスターを貼るところと考えれば沢山ある。とりあえず何処にでも入るのは地球一周と並ぶくらいの意味冒険でもあり、まだ見ぬ世界を切り開く行為である。

 

例えばスナックなんて初めて入った。昼間っから暗い店内でおじいさんおばあさんがカラオケで盛り上がっている。そんな所に入り込み、曲が落ち着くのを待って、ママにポスターの説明をする。貼るのは了承してもらえたが、許可をもらった証拠に社判かサインをもらうのだが、それは断られ、貼るのもやめてしまったが、後でサインを断られたと報告すれば貼って良いらしく、1店舗逃してしまった。次に入ったスナックのママはピースボートを知ってくれていて、貼らせてもらえた。彼女自身も色々な国に行ったことがあるらしく、パンフレットを渡した。

 

このパンフレットは最近始まった企画で、ポスターを貼っているお店が張り替えのたびに、そのパンフレットにシールをもらえる仕組みで、ある枚数貯まると応募ができて、世界一周チケットが当たるかもしれないというもの。

 

ともかくそんなディープな所に入り込むのは面白い体験で、たくさんの国を一日や二日だけ滞在して世界一周をするピースボートクルーズのミクロ版とも言える。

 

さて、貼らせてもらえるのは気持ちいいものだが、断られるというのは、あくまでポスターに対してであるが、あからさまポスターを見せるや否や断られたり、それが連続して続くと、まるで自分の存在を否定されているようにもとれて、精神的に来るもんだ。

 

そして再び貼らせてもらえる店舗に出会うと「神様ー!ありがとう!」となるわけだ。

 

これって「ヒッチハイクに似てない?」とふと思った。

 

高校生から23歳くらいまで年に一度はヒッチハイクをして関西や遠くは九州まで行った。

 

始めのうちは、行き先を書いたスケッチブック持ち、親指を立てた拳を掲げて立ち、乗せてくれる車を待った。

 

案外乗せてくれる人もいるもんだが、タイミングや場所を間違えると、途端に誰も乗せてくれなくなる。人気(ひとけ)の少ないパーキングエリアに降ろされたら、数も少ない上に無視して通り過ぎる車たち。

 

「俺の風貌がいけないんだろうか」「やっぱり辿り着けないんだろうか」

 

どんどん氣持ちはマイナスになり

 

「どうしたら乗れるんだ?」「笑顔か?」「いやもう暗くて顔なんか見えないだろう」

 

と自問自答

 

でもなんとかたどり着いていた。そんなある時ルートの下調べをおこたり、京都を目指していたが、既に四日市から下の方へ来てしまった。

 

ルートを間違えると、自分が行きたい方角へ行く車はグンと減る。

 

幸い下から遠回りして大阪方面に行く人はいるようで、大阪ナンバーをちらほら見かけた。

 

もう話しかけるしか手は無い。この時は勇氣を出して「大阪方面に行かれるんですか?」と何度か声をかけ「そうですよ」と言われても乗せてくれるとも限らず、断られまた次の大阪ナンバーに近づく。

 

やっと乗せてくれる人を見つけた時は感極まりない。「ありがとうございます!」

 

それからというもの早く目的地に近づきたいのなら、声をかけることにした。黙って立っているより、話しかけてなんとなく人柄を感じてもらう方が、向こうも乗せやすい。運転手にはヒッチハイカーを選ぶ権利がある。

 

さてポスター貼りの話に戻ると、その車に乗せてもらえるのと、ポスターを貼らせてもらえるのが似ているって話で、断られるときももちろん、その心持ちが同じなんだ。

 

積極性が問われるし、あたらしい世界も開拓できる。ある意味目的地(夢)に向かっているわけだし、出会いと別れ?もある。

 

なのでポスター貼りはガンガン行けた。のが正直なところ。にしても少し迷惑かかっているよな~と思いつつ、張り替えは半年に一回くらいなので許して、と心で呟く。

 

この町には面白い家や開発途上国の裏路地みたいな通り、植物盛り盛りな玄関。

 

これは小さなトリップ。このスナップショット(良いなって思って撮る行為)活動も楽しい。ポスター貼るまでの旅路をまとめてもいいな。