怪物
君が自由になろうとした明け方
雨があがると思っていた矢先で
ソファーにばらまいた僕の欠片
それが怖くて
君体中蚯蚓腫れ苦しくて突き刺した
実はただの水 ナイフに見えたのは
君が僕から逃げようとした明け方
それはただ つまり 突然だった
飽和し続ける君の宝物がついに枯れた
それが悲しすぎて
君は君を壊してまで海に溺れてった
僕は枯れた自分を探しに溺れてった
その黒目の中にうつっているだけで
綺麗に飛べるはずだったのに なのに
砂糖漬けにしたベロアがこっちを向いた
きっと君は
血を吹くような陽炎に脅されたんだろう
いつまでたっても眠れなかったんだろう
迸るものはいつまでたっても独りよがりで
君を遮るものはただの一つも美しくはない
雫にもなれずに沸きあがってくるのに
きっと君も
あがっていく雨に負けたんだろう
きっと背中に怪物が憑いてたんだろう
僕の心臓はもうワシヅカミ そうだきっと
気づいたら夜明けはもうこなかった
ことばも 心も からださえもないなら
信じられるたからものなんてありえない
それが苦しいなら
早く気づいて 透けてしまう前に はやく
わかってるんだ 膨張して吐き出しそうなくらい
騒ぎ狂った夜中の妄想すらなかった
海底は静か過ぎてそこには色もなかった
二人は難破したのに海からの返事もない
それが怪物なら
願ってる これは全部つくりばなしだって
全部真っ黒の坩堝 それだけの事だって
何度もみた君の夢 きみはほんもの?
いったりきたりしてるんだ 下半身だけ
メデューサ踊るように上半身が求める
だから僕は
さがっていく体温に負けたんだろう
きっと背中の怪物に負けたんだろう
本当はそれが約束だったんだ
うつむいた人差し指からこぼれるレーザー
緑の線から放たれたのはただ一つ君の声
だから僕も
声に出せないこえばかりだして泣くんだろう
嘘つきな自分に酔いしれて眠るんだろう
君の心臓 ワシヅカミ 助けてやんない
ここは海の底 あたたかいピンクの懐
助けたくても殺してしまいそうで怖い
だから 君は一人で
だから 一人で僕は
あがってしまった雨に手を合わせるんだろう
さがりきった体温にまた体を重ねるんだろう
だってそれが約束だっただろう
声は出ないけどずっと泣いてるんだろう
愛されたくてうそばかりついてるんだろう
全部ぜんぶ二人に憑いた怪物のせいだろう
そんなものもういらない
助けてやんない
殺されたくないから
そんなものもういらない
もういらない
だけど
干上がってしまった海に愛を一滴
愛を一滴 狂いそうなほど 求めてる
060529