James Setouchi
2025.2.27
井原西鶴 読書案内 読書会はR7年5月に考えている。テキスト未定。
1 井原西鶴(いはらさいかく)(最も簡単に)
1642~1693。江戸時代、元禄頃、大坂の俳諧師(はいかいし)・小説家。
まずは談林(だんりん)派の俳諧師として大成功を収めた。その後小説家に転身した。
代表作は(ほかにもある。とにかく多作)
(好色物)『好色一代男』『好色五人女』『好色一代女』
(武家物)『男色大鑑』『武道伝来記』『武家義理物語』
(町人物)『日本永代蔵』『世間胸算用』
(その他)『西鶴諸国ばなし』『本朝二十不孝』
没後に門人たちが刊行したのが『西鶴置土産(おきみやげ)』『西鶴織留(おりどめ)』『万(よろず)の文反古(ふみほうぐ)』などなど。
辞世の句は「浮世の月 見過ごしにけり 末二年」
2 どれから読めばいいか? もちろん、出会った本、たまたま手元にあった本から読んで構わない。好きなように読んで構わない。全部面白いので、一度はまったら、いはまる。ここでは一案を示す。
(1)『好色一代男』:代表作なので通読する。性愛の話が出てくるので十代の純情な女子などには紹介しにくいが、NHK大河ドラマ『べらぼう』でも吉原を扱っているので、今の時代、大丈夫かな・・? 一カ所とりあげるなら、冒頭。同性愛が普通だったとよく分かる。
(2)『西鶴諸国ばなし』から1-3「大晦日(おほつごもり)はあはぬ算用」を。『諸国ばなし』は短篇が沢山載っている。その中から、これを。高校の教科書に載ることも。「武士とは何か?」を考える一つの材料を提供する。『諸国ばなし』の他のハナシは気持ちが悪い。
(3)『男色大鑑(なんしょくおほかがみ)』から、1-1「色はふたつの物あらそひ」。異性愛より男色がいい、と書いている。純情な中学生には無理かな。20才以上。1-3「垣の内は松楓柳は腰付」。どれでもいいのだが、1-2が失敗作と言うから、これ。
(4)『世間胸算用』から5-2「才覚(さいかく)の軸すだれ」。町人の子の知恵才覚とまっとうな生き方とは? が描かれる。実は結構まっとうな倫理観が描かれる。東大入試で出たことも。2-4「門柱も皆かりの世」は、冒頭の、年末に集金係を撃退する方法が衝撃(大爆笑)だ。ここだけでも読む。
(5)『日本永代蔵』から1-3「浪風(なみかぜ)静かに神通丸」は大坂の北浜の米市場が出てくる。日本史の時間に文言としては学習するが、当時の雰囲気に触れることができる。
(6)『本朝二十不孝』は、中国の『二十四孝』と比較できる。
(まだ途中)
(参考)大阪関連の作家など
井原西鶴:大坂生まれ。『好色一代男』『武家義理物語』『世間胸算用』『日本永代蔵』
松尾芭蕉:伊賀生まれ。江戸で暮らし、諸国を旅し、最後は大坂で死んだ。
上田秋成:大坂生まれ。『雨月物語』『春雨物語』(本居宣長と同時代)
福沢諭吉:大坂生まれ。啓蒙家(けいもうか)。『学問ノススメ』『福翁(ふくおう)自伝』など。
与謝野晶子(よさのあきこ):1878堺の商家の娘。与謝野鉄幹と結婚し明星派を作った。明星派からは、石川啄木や北原白秋も出た。晶子の歌集は『乱れ髪』。『源氏物語』の訳も。子どもが十人以上居た。学校も作った。スーパー・ウーマンだ。
谷崎潤一郎:1886東京生まれ。関西に移住し『春琴抄(しゅんきんしょう)』『細雪(ささめゆき)』などを書いた。
川端康成:1899大阪生まれ、一高から東京帝大へ。ノーベル文学賞。『伊豆の踊子』『雪国』『古都』ほか。
三好達治:1900大阪生まれ。詩人。詩集『測量船』
梶井基次郎:1901大阪生まれ、京都の三高から東京帝大へ。『檸檬』ほか。
丸山真男:1914大阪生まれ。政治学者、思想家。『日本の思想』『日本政治思想史研究』
司馬遼太郎:1923大阪生まれ。『燃えよ剣』『竜馬伝』『坂の上の雲』ほか。
山崎豊子:1924大阪生まれ。『白い巨塔』『大地の子』『沈まぬ太陽』
田辺聖子:1928大阪生まれ。『むかし、あけぼの』は『枕草子』を小説化した。『新源氏物語』もある。
手塚治虫(おさむ):1928豊中生まれ。マンガ家。『鉄腕アトム』『ジャングル大帝』『ブラック・ジャック』
開高(かいこう)健:1930大阪生まれ。『裸の王様』など。
小松左京:1931大阪生まれ。『日本沈没』
小田実(まこと):1932大阪生まれ。反戦運動家。旅行記『何でも見てやろう』
筒井康隆:1834大阪生まれ。『時をかける少女』『文学部唯野(ただの)教授』
眉村卓:1934大阪生まれ。『なぞの転校生』
梁石日(ヤンソギル):1936大阪生まれ。『血と骨』など。
宮本輝(てる):1947神戸生まれ。大阪にもいた。『泥の川』『道頓堀川』など。
髙村薫:1953大阪生まれ。『レディー・ジョーカー』『太陽を曳く馬』『土の記』
東野圭吾:1958大阪の生まれ。『天空の蜂』『流星の絆』