James Setouchi
2024.11.6
読んでみよう:十代を主人公とした小説などいくつか。ほぼ時代順。(*印はノンフィクション)
井伏鱒二『ジョン万次郎漂流記』:幕末。ジョン・マンは十代で漂流。
天童荒太『青嵐の旅人』:幕末の姉弟。敵味方の区別なく医療行為を行う。
森鴎外『舞姫』:明治前半。主人公の太田豊太郎は二十代だが、エリスは十代だ。
森鴎外『ヰタ・セクスアリス』:鴎外の十代の自伝的作品。
*山本茂美『ああ野麦峠』:諏訪で働いた十代の女工たちのドキュメンタリー。
林芙美子『放浪記』:小学校時代から行商や露店で働いた。
佐多稲子『キャラメル工場から』:小学校を中退して働いた。
井上靖『夏草冬濤(なつくさふゆなみ)』『北の海』:自伝的小説。旧制中学~旧制高校。主人公は文学と柔道をする。
太宰治『女生徒』:十代の女生徒の語り。
*曽野綾子『生贄(いけにえ)の島』:沖縄戦没女生徒のドキュメンタリー。
*沢木耕太郎『テロルの決算』文春文庫:1960年(昭和35年)10月、社会党委員長浅沼稲次郎が日比谷公会堂で立会演説中、公衆の面前で(しかもテレビ中継中!)に刺殺された。犯人は17歳の高校生。その主人公を追ったノンフィクション。犯人はその場で逮捕された。その後どうなったかはここでは書かない。
大江健三郎『セブンティーン』『政治少年死す』:『セブンティーン』は1960年の事件の右翼少年を描く。これは新潮文庫で読める。『政治少年死す』は雑誌『文学界』に載ったが、単行本化されていない。
村上龍『69 sixty nine』:1969年、学生運動に揺れる日本列島。佐世保の高校生だった村上龍を投影していると想像される、高校3年生の主人公ケンを主人公とする小説。
庄司薫『赤ずきんちゃん気をつけて』:主人公カオル君は名門・日比谷高校の生徒。
*田澤拓也『延長18回終わらず』:松山商業と三沢高校の1969年の夏の甲子園を描く。主人公たちは18歳だが、その25年後も描く。
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』:やっぱり、ロックでなけりゃいかん! という青春。作者は香川県出身。
敷村良子『がんばっていきまっしょい』:高校ボート部女子の話。作者は四国・松山出身。
片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』『君の知らないところで世界は動く』:主人公は1970年代と思われる地方都市の高校生。映画やテレビになったベストセラー。作者は四国・宇和島出身(理系)。
村上春樹『海辺のカフカ』:カフカ少年は15歳だ…
村上龍『希望の国のエクソダス』『半島を出よ』:十代の少年たちが活躍する。
*佐藤優『私のマルクス』:1978年の浦和高校生。
*千原ジュニア『14歳』:自伝? 自伝的小説? 結構イタイ。不登校。
綿谷りさ『蹴りたい背中』:作者は19歳で芥川賞。
(以下は外国のもの。順不同)
ヘッセ『車輪の下』:主人公ハンスは十代だ…
モンゴメリ『赤毛のアン』シリーズ:十代の話もある。
ウェブスター『あしながおじさん』:主人公は少女から大人へ。
サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』:アメリカの16歳が主人公。
パトリシア・マコーミック『マララ』:マララは17歳でノーベル賞。
(参考)沢木耕太郎の他の本:『深夜特急』(アジアからヨーロッパまで彼は旅をする。)、『敗れざる者たち』(スポーツ選手で超一流になれなかったが独自の戦いを続ける者を描く。)