2024.10.1

James Setouchi

 

石破内閣の閣僚の学歴、世襲はどうか R6.10.1~ 

       (官房長官もカウントする)(長文)

  敬称略。ご本人のプロフィールや新聞報道などからまとめた。間違っていたらごめんなさい。

 

首相 石破茂   慶応大法           ・2世(父も大臣)

総務 村上誠一郎 東大法            ・曾祖父から3世

法務 牧原秀樹  東大法  ジョージタウン院国際法     父はサラリーマン

外務 岩屋毅   早稻田大政経             父は医者で県議

財務 加藤勝信  東大経            ・加藤六月農水相の娘婿

文科 阿部俊子  アラバマ州立大看護、同院修士 イリノイ州立大院博士 父は社 

                              長だが苦労した

厚労 福岡資麿  慶応大法(政治)       ・祖父が参議院 本人も参議院

農水 小里泰弘  慶応大法(法律)       ・2世(父も大臣)

経産 武藤容治  慶応大商           ・2世(父も大臣)

国交 斉藤鉄夫  東京工大理 東工大院理工       父は村議  公明党

環境 浅尾慶一郎 東大法  スタンフォード院経営      父はイタリア大使  

                               本人は参議院

防衛 中谷元   防衛大理工 自衛隊       ・祖父は衆議院

官房 林芳正   東大法  ハーバード院政治行政 ・4世(高祖父から)

デジタル 平将明 早稻田大法                 父は青果物仲卸 

                                   業経営                

復興 伊藤忠彦  早稻田大法               伯父が県知事

国家公安 坂井学 東大法                     松下政経塾

子ども政策 三原じゅん子 非大卒                タレント出身

経済再生 赤沢亮正 東大法 運輸省からコーネル院経営 ・祖父が大臣

経済安全保障 城内実 東大教養 外務省           父は警察官僚

沖縄北方 伊東良孝 北海道教育大教育              市議・道議か

                               らのたたき上げ

 

以上20人。自民党役員は除く。

 

大卒19人。非大卒はタレント出身の三原じゅん子のみ。

大学院は6人。(うちアメリカ5人。)

2世3世など・・9人が「父が大臣」など。他の人も、「父が高級官僚」「伯父が県知事」などがある。全くそうでない方はわずか。

女性は2人。

 

大学の詳細を見ると、

学部は、法学部11,政経1,経済1,商1、教養1,教育1、理1,理工1、看護1

大学の所在地は 東京16,北海道1,神奈川1,外国1

大学別では・・東大8、慶応4、早稻田3、北海道教育1、東工大1、防衛1、外国1

 

なお、この20人の平均年齢は63.55歳。大人の内閣と言える。

 

 人間の値打ちが学歴(学校歴)で決まるわけではない。が日本の舵取りをする閣僚の学歴を研究してみることは、日本がどれくらい学歴社会かを見るための一つの視座を与える。細川内閣の頃からこの定点観測を続けている。

 首相については、鳩山さん(東大)、菅さん(東工大)以外は全員東京の私大出身。宮澤さんまでは東大法学部の方が結構おられたのだが。なぜこうなるのか? そのことのもたらす意味は?

 今回も浮き彫りになるのが、①東京一極集中だということと、②学歴よりも2世3世の議員が多いと言うことだ。

 もちろん①「東京の大学を出た人を大臣にするのはやめよう」とは言えないし、②「2世3世だからダメ政治家に違いない」とも言えない。全くの私見だが林芳正官房長官は実力があり尊敬もできる(私見です)。学歴や家系がどうであれ、国民を幸せにする政治家がいい政治家なのだ。

 だが、全体の趨勢として、①地方出身者や②世襲でない人の数が減っていることは事実。①東京一極集中と②階層の固定化が進んでいる、とは言えるだろう。では、どうすればいいのか? 

 

 地方出身で東京の大学に進学しようとすれば、学費だけではなく、生活費も高い。ゆえに地方出身者は東京の大学に進学することを断念しがちだ。このハードルを越えるには? 今の奨学金は多くが貸与であって借金と同じになる。地方出身で優秀な人が東大法学部を出てロースクールを終えて法曹になったとき300万円の借金があったらどうなるのか。

 また入試(選抜)の方法も、「実績」なるものを重視したとき、東京の富裕層が有利になるのは明々白々だ。地方の貧しい家庭の子弟が大学の先生の指導を受けながら物理オリンピックで世界大会で金メダルをとることができるだろうか? まして国際会議の参加(東大農学部の場合)など・・!

 

 意欲と能力のある人を発掘して育てるには?

 知恵のいるところだ。

 

 その中で、例えば阿部俊子文部科学大臣の経歴はすごい。ご本人のHPによれば、父上は社長だったが、会社が倒産、阿部俊子さんは働きながら勉強し、アメリカでも働きながら勉強し、御覧の通りのすごい学歴になった。もともと能力の高い人だ、と言ってしまうことも出来るが、大変な努力だったろう。・・そこで次の問題だが、「私もできたのだからあなたも努力しなさい」と一足飛びに言うとすると、大事なことを見落とす。全ての人がそんなに努力できるわけではないのだ。(大山倍達はすごい努力家だが弟子たちに同じことを要求するので弟子たちがムリだと感じて離れていった、という話を聞いたことがある。)大変な努力をして逆境を跳ね返した人は確かにすごいが、そうではない人(逆境を跳ね返せない人、跳ね返す気力自体を奪われている人)の痛みがわからない場合が時折あるようだ。阿部俊子さんは看護師出身なのでそこは大丈夫だとは思うが・・誰もが希望を持ち無理なく努力へとシフトしていけるサポートとは、どういうものであろうか? 相撲でも、いい親方はそれができる親方だ。大横綱必ずしも大親方ではない、と言う。

 

 もう一人、伊東良孝沖縄・北方大臣もすばらしい。釧路の地元の学校を出て北海道教育大学へ。釧路分校だろうか? 釧路市議、北海道議からのたたき上げだ。かつてはこういう方がもっとおられた。野中広務も偉大な政治家だった。最近は減った。こういう方もおられないといけない。詳しい事情は存じあげないが、努力・勉強しておられるはずだ。趣味が読書、座右の銘が「至誠、天に通ず」というのもよい。

 

『中庸』:「誠は天の道なり、之を誠にするは人の道なり。」

『孟子』:「誠は天の道なり、誠を思うは人の道なり。至誠にして動かされざるものは、未だこれ有らざるなり。」

吉田松陰『講孟余話』も孟子を踏まえて議論している。

内田魯庵『社会百面相』:「至誠天に通ず」

中村哲:『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る』

       (「誠」とは何か? は儒学史で論じられてきた、一大テーマだ。)

 

注意! 文鮮明(統一教会)が「至誠感天・・」と言ったそうだが・・!?

 

補足:坂村真民「念ずれば花開く」とはどういう意味か。仏教的ないい意味とも取れるが、受験予備校のキャッチフレーズにしてしまうと、意味が少しおかしくなる。「どんな欲望でも執念深く追求すればいずれ実現する」の意味にもなってしまう。どんなよこしまな欲望でも!?

 では、「至誠」はどうか。一歩間違えれば、「誠心誠意ひたすら追求すれば欲望が実現できる」と歪んで解釈されるかもしれない。実は「至誠」、ここが本当は難しいのだ。「至って誠」なる事態を我が身に実現できるか? それができれば聖人だ。「修己」一つろくにできていないのに、「誠心正意」を実現することなど・・? しかしそれは捨ててはならない高邁な理想だ。ただしそれが「自己のつまらない欲望を念じ続ければ・・」ではなく、「我が心を誠そのものにし、我が意を正す」という、極めて自己に厳しいものであることを、覚えておかなければならない。そうすれば 「天」がこれを嘉(よみ)されるであろう。そのさい、「天」はまずは自己とは別の存在だ。

 念のために付言するが、誠心誠意己の信念を貫いて他者を理解せずテロ行為に走る人がかつて歴史上にいた。それは不可。他者は自己とは別の論理、別の価値観・世界観で生きているかもしれない。異なる他者と対話し理解しようとしたのが中村哲だ。(だから「愛」という言葉が入っている。アガペーの愛は他者と忍耐強く付き合おう。アガパーオという動詞で捉えるとよい。己の愛欲を貫くのではない。)「誠」に他者へのリスペクト、他者理解が入ってるか? 入っていないなら、「誠だけでは足りない、他者理解を」と付け加えなければならない。そうしてはじめて「天」は嘉されるであろう。

 

 キリストの「求めよ、さらば与えられん」「汝の隣人を愛せよ」はどうかな。

 

 さて、例えば石破さんは慶応大だが、小中は鳥取で過ごした。特に田舎の小学校では都会のサラリーマンだけではなく多様な農林水産業もふくめた仕事をしている人の子が同級生としていただろう。石破さんは地元ではいわゆる「いいお家の子」と見なされたかもしれないが、それでも地元の小学校で庶民の生活に触れ、そこで民主主義の練習ができているはずだ。小学校から慶応幼稚舎(附属小学校をそう呼ぶ)に行って田舎の庶民の生活を知らない人とはそこが少し、いや決定的に違う。石破さんも中学は鳥取大教育学部附属中で高校から東京の慶応だが、そこは石破さんは自戒されるだろう。 

 出身大学だけ見れば東京一極集中だが東大や慶応や早稻田を出た人が地方の実情を全く知らないというわけではない、という点で、上の表は不十分だとは言える。(下に高校を補足した。)

 

 三原じゅん子さんは非大卒。田中角栄大先生も非大卒だ。政治家は本当は学歴不問のはずだ。国民のためになるいい政治をしてくれればよい。だが、田中角栄という人は、弱い人困っている人の気持ちが分かり、その味方だった。三原さんはどうかな? タレント出身でも、よく勉強して、いい政治をしてくれるならいいのだ。一つ期待できるのは、若い女性のいのちやくらしや未来について守ろう、という強い気持ちを持っておられる、と報道で見た。ここは必ずやってくれるだろう。期待したい。だが、気をつけたい。往々にして、タレント(俳優)出身政治家は国を滅ぼす。春秋戦国時代を見るとよい。ポピュリズムは不可、ということでもある。三原さんは大いに戒めとするとよいだろう。(有名な「恥を知りなさい!」発言について、その前後の文脈を私はよく知らないのだが、裏金や公文書偽造などでいろいろ嘘をつく人々に対して、三原さんは「恥を知りなさい!」と𠮟咤されるのだろうか・・? それなら一貫しているかもしれない。但し、法然上人なら人に向かってそんな発言はなさらないだろう。一般的には、「己は恥を知る高邁な人間だ」と思い込んだ傲慢な人間の発言だろう。道徳心があって内省する人は、不正や悪をよしとするのではないが、そんな発言はしないのでは・・?)

 

(付記。ここで村上誠一郎氏を擁護。私は村上氏の親戚でも何でもないが、あの「**」発言については、すでに謹慎している。(私に言わせれば本当は謹慎する必要などなかった。後述。)実力も経験もありバランス感覚もある方だ。バランス感覚があるからあえて党内野党をしておられたのだ、と私には見える。そんなに攻撃すべきではない。誰かの過去の失点をあげつらって集団で襲いかかるのは、良識ある人間のすることではない。そもそも安倍応援団か何かしらないが、他の件でも、誰かのミスをあげつらって総攻撃を加える習性があるように見える。その割には自分たちのミスは認めずごまかす。そういうファシスト的体質が、良識派から危惧されているのだ。・・・公文書偽造・隠蔽で、まじめな役人を自死に追い込む、お友達に国有地を破格の値段で売却する、彼がべらべら喋り都合が悪くなると彼を収監する、内閣法制局人事への圧力(「集団的自衛権」のとき)、NHKトップ人事への圧力、検察庁人事への圧力、学術会議への圧力、広島の某候補への1億5千万円問題、統一教会との癒着、裏金、などなど、おかしなことは枚挙にいとまがないが、さらに、拉致問題は進展なし、トランプの歓心を得るために高価な(緊急でもない)武器を国民の血税で大量に買うと約束、プーチンにいい顔をするために北方領土問題は後退。一体何をしておられたのですか? 国民益・国益を随分損なっておられますね。これを「**」と言うのですよ、と言いたくなる。かつて大漢帝国に生口(奴婢?)160人を献上した人がいた。そういう人を「**」と言うのではありませんか? 自分の利権のために国民益・国益を損なう総理を「**」と言うのです。マスコミよ、あなた方は国民の味方であるべきです。R6.10.2)

 

 

 高校は・・

石破さん慶応高校、村上さん教育大附属高、牧原さん麻布高校、岩屋さんラサール高校、加藤さん都立大泉高校、阿部さん宮城学院高校、福岡さん佐賀西高校、小里さん鶴丸高校、武藤さん慶応高校、斉藤さん修道高校(広島にある私立で、儒学)、浅尾さん栄光高校、中谷さん土佐高校、林さん下関西高校、平さん早稻田実業高校、伊藤さん早稻田高等学院高校、坂井さん都立国立(くにたち)高校、三原さん明大付属中野高校(中退)、赤沢さん教育大付属駒場高校、城内さん開成高校、伊東さん道立釧路江南高校

 

ここから、

東京・神奈川の高校:12人(中退含む)  地方の高校8人

私立の高校:12人(中退含む)、国立大附属の高校:2人、公立の高校6人

となる。

 高校時代から東京にいた(小中は田舎の場合もある。石破さんがそう)人が多い。

 私立・国立の受験進学校が多い。中高一貫校(麻布・開成など)も結構ある。(高校からそこに進んだ人も。)

   私立中高一貫進学校は男子校が多く、彼らが日本のリーダーになったとき(ならなくても)、女性に対して偏見(や、過度の憧れ)なく接することができるか? ここはちょっと気をつけたい。「自分は男子校出身だが高校時代から女子大の学祭に行って遊んでいるから大丈夫」という人もかえって危ない。ちゃらちゃらした挙げ句に歪んだ女性観を持ってしまうからだ。もちろん、共学校出身でも、つまらない女たらしやDV夫になる人はいるわけで、そうならないようにしなけりゃならんのだが。

 私の知っている男子校出身のある人は、妻を大事にして、実にいい夫だ。共学出身でも複数の女性と交際して乱れている人はいる。だから個人によるのだとは思うが・・? 

 

 麻布・開成・栄光などに中学から進むためには、小学校から塾に行き、かつ麻布・開成・栄光時代6年間も私学なので学費が高い。ある程度豊かな家庭でないと行けない。本人の頭も良く(それも本人の努力ではないが)、努力もしていないはずはないが、同時に、出身階層(「親ガチャ」)つまり環境の問題もある。この点、湯浅誠(武蔵高校→東大法)(注1)の言うことが正しい。麻布・開成・栄光・武蔵などから高学歴になった人は、たまたまラッキーだった面もあるのだ。このことに謙虚になり、いわゆる「親ガチャ」に恵まれなかった人も幸せになる方策を懸命に探るべきだ。(Y上事件で明確化したはずだ。)既得権益にしがみついている政権は、支持基盤を失って、遠からず崩壊する。歴史が証明している・・

 

注1 湯浅誠氏は大学院で伊藤東涯の研究をされたとか。これもすばらしい! 伊藤仁斎、東涯父子はすばらしい。「仁は愛なり」「まごころを尽くし、人を思いやって恕(ゆる)す」「世俗の中に聖人の道は生きる」(意訳)と言ったのが伊藤仁斎だ。東涯はその堀川学派の継承者。

 

 

 なお、早稻田実業高校は高卒で実業界に進むのかと思えば、そうではなく、早稻田大学への進学が多い。明大付属中野高校はタレントやスポーツ選手が多い(多かった)。タレントは売れっ子で中退も多い。少年隊の東山君も中卒だと自称していた。運動選手も本当は学歴不問の筈。大横綱北の湖は中卒だ。だが最近は力士も高学歴化してきた・・

 

 ここで注意。中卒でありさえすれば大横綱になれるわけではないし、慶応高校から慶応大学に行きさえすれば総理大臣になれるわけでもない。学歴(学校歴)に強い関心がおありの教育パパ・ママさんたち、勘違いなさらないように!

 しかも今の閣僚は結構な年齢だ。例えば石破さんは67歳なので、慶応高校に進学したときは50年以上前。20人の平均年齢は63.55歳(注2)で、50年前に中学2年。では、今から50年後にどういう方が総理大臣になっているか? というと、ちょっと分からないところがある。だから、今の趨勢を見て、直ちに慶応高校・慶応大学に行かなければ! と思い込むことはない。全然違う。「スカイキャッスル」みたいなことになってはいけない。受験勉強で得られるものもある(和田秀樹参照)が、受験勉強が絶対善ではない。

 スポーツも絶対善ではない。一世風靡した野球の田中将大は高卒(駒大苫小牧高校)でプロに入りガンガンやったが、35歳で振るわず、1軍から登録抹消(R6.10.1のニュースで言っていた)。このあと彼はどうやって生きていくのか? かつて伊良部というすごい投手がいたが、その後どうなったか? 陸上をやりすぎて心身をやられた人の話もよく聞く。勝利至上主義はダメと分かっているのに、大衆は選手を競わせ、娯楽として消費する。マスコミも選手を商品として消費する。政府も大衆の目くらましのためにスポーツを使う。ローマは「パンとサーカス」で愚民化した挙げ句に滅んだ。日本は・・?

 

注2 かつては大臣の平均年齢が高く「若返りを」と言ったこともあった。今回の平均年齢がそれらと比べて高いかどうかはワカラナイ。印象としては「大人の内閣」の印象がある。高齢者だというのではない。落ち着きがあっていいかも。

 

 

党の役員も見ておくと

 

最高顧問 麻生太郎   学習院大政経  吉田茂首相の孫。閨閥がすごい。

副総裁  菅 義偉   法政大法(政治)工場で働いて大学へ進学した。国会議員秘書・市議から。 

幹事長  森山 裕   非大卒(鹿児島の日進高校=鶴丸高校の夜間)市議からのたたき上げ。

総務会長 鈴木俊一   早稻田大教育  鈴木善幸首相の子

政調会長 小野寺五典  東京水産大(今の海洋大) 東大院(法・政治) 松下政経塾

選対委員長 小泉進次郎 関東学院大経済 コロンビア院(政治) 小泉首相の子

国対委員長 坂本哲志  中央大法(政治)県議から。

組織運動本部長 小渕優子成城大経済 早稻田大院 小渕首相の子

 

ここでも、2世3世が大勢おられる。

大学はすべて東京(関東学院も東京にカウント)、学部は法・政経・経済系統が多いが水産・教育もおられた。

非大卒の苦労人は森山さん。私は森山さんが好きだな。(よく存じあげないけど。)菅さんもどうやら苦労人。

院は3人(うちアメリカ1)。女性は1。

 

 ここまで中立を保とうとしつつ結局石破さんの応援団のようなことを言ってきてしまったが、「解散はすぐにはしない」と言っていたのに、「解散します」と急に変わった(R6.10.1)のは、なぜか。これはおかしい。「閣僚の失言などでボロが出ないうちに」とマスコミで言っていたが、小泉さんを選対に据えるために解散を急いだのか。野党の準備が整わないうちに(自民党内部の反石破が結束しないうちに? )総選挙すれば、大勝、または敗れても傷が小さくてすみ、裏金・統一教会議員の問題をごまかせる、もし大勝すれば向こう4年間安定的に政権運営できる、と考えたのか。私は今までこの人がいいと思った時はたいてい裏切られている。今回はどうかな・・・

 

(付言。10月半ばに靖国神社秋大祭があり、高市さんたちが大挙して参拝に行こうとしているのを察知して、そうならないように解散総選挙に持っていった、という、うがった記事を見た。そうかもしれない。高市さん、中国から大勢やってきてももめないようにしてくださいね! と言っておきたい。何回か書いたが、靖国は(長州の連中が)明治以降に作ったもので、日本人の伝統でも何でもない。国民を兵士にして死なせるための装置なのだ。そこに参拝に行く政治家の気が知れない。それを支持する人たちの気も知れない。あなたが前線で戦うのですか? と聞きたい。自分が前線に行きもしないで他人に行かせよう、とするのは無責任で卑怯で自分勝手なエゴイストというものだ。勿論信教の自由があるので、休みの日に電車やタクシーに乗って私的に参拝するのは可。お賽銭もポケットマネーから出す。公費は不可。・・但し政治家大勢がぞろぞろ参拝に行ったら、中国どころか韓国(せっかく仲良くなりかけている)の人まで怒らせることになりかねない。そこも首相になろうかという人なら、考えるべきだろう。「国益」を損ねないように。R6.10.2付記)

(もう一つ。高市さんtと高市さんを担ぐ方々に苦言。派利派略で敗れたとのみ考えるべきではない。右ネジのかかりすぎた高市さんでは将来が危ない、と党員・党友も、国会議員も、考えたのではありませんか? そこは考えてほしい。これから本当に将来を嘱望されておられるのであれば。過激なネタニエフを担いだイスラエルの民が今どんな思いを本当はしているか? R6.10.2)

 

 

 アメリカの二軍はいやだというのは、一軍になって対等の立場で同じように前面に出ようという意味ではない。アメリカの犠牲・捨て石になって前線で人が沢山死ぬのはいやだ、という意味だ。従来は自衛隊が専守防衛のタテ、米軍がイザというときのホコだった。タテとホコがあるから誰も攻めてこられない。それでいいのでは? 自衛隊もホコになって前面に出ると危険が増すのでは? それどころか、前面に出るホコとしての米軍のさらに前面のタテ・捨て石としてやられる役、というのはいかにもまずい。いや、そもそも紛争も戦争も起こさないのがよい。そのためには?

 

  戦争というものは一体何を攻撃し何を守るのか? 「国体」を守り続け国民生活がすっかり破壊されたのが先の敗戦だ。この場合軍部(だけではない軍産複合体)に退場して貰って国民生活を守った方がよかった。あの独裁国家でもこの独裁国家でも同じことが言える。国民生活が優先だ。近代国民国家は歴史上の産物だ。ハワイ王国はアメリカの50番目の州になった。琉球と蝦夷(北海道)は大日本帝国の一部になった。スコットランドやアンダルシアは独立の動きもある。フランスとドイツはEUで一体化しようとしている。アメリカ(USA)は合「州」国と言える。すると・・・?

 

 

孔子曰く、「政は正なり。子帥(ひき)いるに正をもってすれば、たれか敢えて正しからざらん」と。(『論語』顔淵12-27)・・まず為政者が自らを正せ、と孔子は教えた。

 

孔子曰く、「政治の要諦は、食糧と軍備と民の信頼だ。このうち優先順位は、第一に民の信頼、第二に食糧、第三に軍備だ。第一の、民の為政者への信頼がなければ国家はなりたたない」(『論語』顔淵12-8)(大意)・・最後の一文は複数の説がある。「民は相互信頼がないと成り立たない」「民の為政者への信頼がないと政治は成り立たない」など。「信頼」がキーワードではある。

 

孟子曰く、 

先王(いにしえの偉大な政治家たち)にも「人に忍びざるの心(人のつらい部分を見過ごすことのできない、優しい心)」ありて、すなわち「人に忍びざるの政」あり。(『孟子』、公孫丑29)

 

孟子は言った、

「民が最も重い。国家(民に直結する土地の神と穀物の神)はその次だ。天子は最も軽い。民に望まれてはじめて天子となる。天子が諸侯を、諸侯が大夫を選出する。為政者が国家(民に直結する土地の神と穀物の神)を危うくすれば為政者は交代させられる。為政者が国家(民に直結する土地の神と穀物の神)に対してしっかり尽力しているのに災害が起きたならば、国家(民に直結する土地の神と穀物の神)自体を変えてしまう。・・」(『孟子』尽心14-14)(大意)・・「民が、国家よりも天子よりも、最も重い」とする点がポイント。

 なお、「社稷」の解釈は諸説あるかも知れない。簡単な解説には「土地の神と穀物の神、国家」などとある。ここでは「社稷」=国家(民に直結する土地の神と穀物の神)、としてみた。為政者が国家(民に直結する土地の神と穀物の神)に対してしっかり尽力しているのに、災害(天災を最小限にとどめ得ず人災によって拡大する)が起きるなら、国家(民に直結する土地の神と穀物の神)自体を変えてしまう」とは、現代風に言い換えれば、「為政者なりに裏金作りなどをせず誠心誠意民のためによかれと思って力を尽しているがそれでも災禍が起き、自然災害が最小にとどめられず、人災によって拡大するのならば、それは国家のシステム自体に問題があるのだから、国家のシステム(納税システムを含む)自体を改変する。」とでもなろうか? 大前提は、為政者なりに「誠心正意」尽力していることだ。そこがまず問われる。・・・どうですか?

 

 

 イスラエルのレバノン侵攻を止めさせるには?

 

 ヤコブは神と相撲を取り「神と争う者」という称号をもらったかもしれないが、その後神はモーゼを通じて「殺すな」と啓示した。「私だけを主とせよ、他を崇拝してはならない」とも。富や国家や領土や武器や科学技術を拝むのは偶像崇拝だ、と神は言うであろう。イスラエルの中の良識派が気付いてほしい。

 ネタニエフさんは、一度静かに鏡を見て、落ち着いて内省してみて下さい。

 

 かつてバビロン捕囚から救い出してくれたのはペルシア人(キュロス2世)だったはず。神は殺し合いを望んではいない。私はそう考えるのだが・・?