James Setouchi
2024.9.16
白石優生『タガヤセ! 日本 「農水省の白石さん」が農業の魅力教えます』
河出書房新社2022年7月
・中高生向けに農業の魅力その他を伝えようとする本。平たくわかりやすい言葉で書いてあるが、内容は重要。著者は農林水産省の若手職員で、BUZZ MAFFという動画をyou tubeで発信している。鹿児島の出身で、周囲に農家、農業関係者がいた。頑張る農家を応援しようと農水省に入った。
・第1章「日本の農業ってこんないすごい!―日本の農業の特徴と魅力」では、日本の農業には地域特性があり多様な農作物がある、品種改良のレベルが高くておししい、単位面積あたりの生産量が高い、農薬を含めて農業技術のレベルも高い、ぜひ「推しの農家さん」を見つけて欲しい、などと記す。
・第2章「その農業のイメージ、古いかも!?―変わりゆく農業と農家さんの仕事」では、大規模化・機械化が進んでいる、「半農半X」の人が増えている、売るまでが仕事に、SNSで情報発信などと記す。例として、北海道の倉田さんは機械化によって東京ドーム12個分の農地の作業の8割を一人で行う。和歌山県の秋竹さんはみかん農家の法人化で90名を雇用し六字産品化。阿蘇の佐藤さん(女性)は二十代で経営権を持ち高菜でマスタードを作った。北海道の土屋さんは東京ドーム60個分の農地を持ちポテチの材料となるジャガイモを栽培などなど。
・第3章「日本で食べるものは日本で作ろう!―日本の農業が抱える課題」では、食料自給率(カロリーベースで37%)、食品ロス、人手不足と耕作放棄地問題を挙げる。国産食材を食べて欲しい、店では「てまえどり」を、農水省の取り組み(農地バンク、農地集積、農泊など)の紹介などを記す。
・第4章「国民の食と命を支えています!―農林水産省の仕事」では、農林水産省の仕事の中身を紹介する。
→農薬についてはどうかなと思ったが、農薬を撒かないと人手で除草などをすることになり大変だ。では、どうするか。生態系の生物間の相互作用の力を生かすなどの方策があるだろうか。別ページの『昆虫の惑星』も併読したい。食料自給率問題は深刻。誰でも毎日食事をするのだから、みんなで読みたい。
(食と農業についてはこんな本も)
中村靖彦『日本の食糧が危ない』、神門善久『日本農業への正しい絶望法』、鈴木宣弘『食の戦争』、中野剛志『TPP亡国論』、山田正彦『売り渡される食の安全』、原剛『農から環境を考える』、井上恭介他『里海資本論』、藻谷浩介他『里山資本主義』など
(その他理工系)
広中平祐『生きること 学ぶこと』、藤原正彦『若き数学者のアメリカ』『遥かなるケンブリッジ』『祖国とは国語』、湯川秀樹『旅人』、五神真『大学の未来地図』、福井謙一『学問の創造』、渡辺佑基『ペンギンが教えてくれた物理のはなし』、長沼毅『生命とは何だろう?』、福岡伸一『生物と無生物のあいだ』、ティーゲソン『昆虫の惑星』、池田清彦『やぶにらみ科学論』『正直者ばかりバカを見る』『やがて消えゆく我が身なら』『環境問題の嘘 令和版』、更科功『絶滅の人類史』、山極寿一『スマホを捨てたい子どもたち』、本川達雄『ゾウの時間ネズミの時間』『生物学的文明論』、村上和雄『生命の暗号』、桜井邦明『眠りにつく太陽 地球は寒冷化する』、村山斉『宇宙は何でできているのか』、佐藤勝彦『眠れなくなる宇宙のはなし』、今野浩『工学部ヒラノ教授』、中村修二『怒りのブレイクスルー』『夢と壁 夢をかなえる8つの力』、植松努『NASAより宇宙に近い町工場 僕らのロケットが飛んだ』、大西康之『ロケット・ササキ』、石井幹子『光が照らす未来』、小林雅一『AIの衝撃』、益川敏英『科学者は戦争で何をしたか』、広瀬隆・明石昇二郎『原発の闇を歩く』、河野太郎『原発と日本はこうなる』、武田邦彦『原発と日本の核武装』、養老孟司他『本質を見抜く力』、梅原淳『鉄道の未来学』、近藤正高『新幹線と日本の半世紀』、加賀乙彦『科学と宗教と死』、村上陽一郎『科学者とは何か』などなど