James Setouchi
十代を主人公とした小説などいくつか。
ほぼ登場人物の時代順。(*印はノンフィクション)
井伏鱒二『ジョン万次郎漂流記』:幕末。ジョン・マンは十代で漂流。
*福沢諭吉『福翁自伝』:自伝。少年時代だけでも読んでみましょう。
森鴎外『舞姫』:明治前半。主人公の太田豊太郎は二十代だが、エリスは十代だ。
森鴎外『ヰタ・セクスアリス』:鴎外の十代の自伝的作品。
*山本茂美『ああ野麦峠』:諏訪で働いた十代の女工たちのドキュメンタリー。
佐多稲子『キャラメル工場から』:11歳でキャラメル工場で働く。
井上靖『夏草冬濤(なつくさふゆなみ)』『北の海』
:自伝的小説。旧制中学~旧制高校。柔道と文学が出てくる。井上は大器晩成の代
表。
*坂口安吾『石の思い』:坂口安吾の少年時代。新潟時代。自伝風エッセイ。
太宰治『女生徒』:十代の女生徒の語り。
*曽野綾子『生贄(いけにえ)の島』:沖縄戦没女生徒のドキュメンタリー。
(戦争ゆえ悲惨)
*沢木耕太郎『テロルの決算』文春文庫
:1960年(昭和35年)10月、社会党委員長浅沼稲次郎が日比谷公会堂で立
会演説中、公衆の面前で(しかもテレビ中継中!)に刺殺された。犯人は17歳の
高校生。その主人公を追ったノンフィクション。犯人はその場で逮捕された。その
後どうなったかはここでは書かない。
大江健三郎『セブンティーン』『政治少年死す』
:『セブンティーン』は1960年の事件の右翼少年を描く。これは新潮文庫で読
める。『政治少年死す』は雑誌『文学界』に載ったが、長く単行本化されなかっ
た。(性的表現あり)
村上龍『69 sixty nine』
:1969年、学生運動に揺れる日本列島。米軍基地のある佐世保の高校生だった
村上龍を投影していると想像される、高校3年生の主人公ケンを主人公とする小
説。
庄司薫『赤ずきんちゃん気をつけて』
:主人公カオル君は名門・日比谷高校の1969年ころの生徒。
*田澤拓也『延長18回終わらず』
:愛媛の松山商業と青森の三沢高校の1969年の夏の甲子園を描く。主人公たち
は18歳だが、その25年後も描く。
芦原すなお『青春デンデケデケデケ』:やっぱり、ロックでなけりゃいかん! とい
う青春。作者は香川県出身。
敷村良子『がんばっていきまっしょい』
:高校ボート部女子の話。作者は愛媛の松山出身。映画化された。
片山恭一『世界の中心で、愛をさけぶ』『君の知らないところで世界は動く』
:主人公は1970年代と思われる地方都市の高校生。映画やテレビになったベス
トセラー。作者は愛媛の宇和島出身。
村上春樹『海辺のカフカ』:カフカ少年は15歳だ…東京から四国へと旅をする。
(性的描写あり)
村上龍『希望の国のエクソダス』『半島を出よ』
:十代の少年たちが活躍する。(『半島を出よ』は残虐シーンあり)
西村賢太『苦役列車』:北町寛多は十代。さんざんな毎日だ・・(露悪的で下品な表
現あり)
*千原ジュニア『14歳』
:千原ジュニア(芸能人)の自伝なのだろうか? どこまでが虚構かわからない。
長期不登校・引きこもりになる話。(結構つらい話)
綿谷りさ『蹴りたい背中』:作者は19歳で芥川賞。
金原ひとみ『蛇にピアス』
:綿矢りさと同時受賞。大変エグイ小説である。健全な少年少女にはお勧めできな
い・・
時雨沢恵一『キノの旅』
:ラノベ。人から薦められて読んでみたら案外考えるところがあった。キノは様々
な都市国家を旅する。
渡航(わたりわたる)『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』
:ラノベ。モテない「ボッチくん」の男子高校生がなぜか美少女に囲まれて暮らす
ようになる話。しょうもないラノベと言えば言える。舞台が鎌倉で、案外知的要素
が沢山入っている。私はラノベはあまり(ほとんど)読まないのだが、これは人か
ら薦められて読んでみた。案外面白かった。太宰の語りと比べてどうか。
(以下は外国のもの。順不同)
パウロ・コエーリョ『アルケミスト』
:主人公サンチャゴはスペインの羊飼いの少年。少年は試練を経て・・
*ベンジャミン・フランクリン『フランクリン自伝』
:アメリカ草創期の偉人。少年時代の努力について読める。
マーク・トゥエイン『ハックルベリー・フィンの冒険』
:アメリカ。フィンは12歳くらいの男の子。ミシシッピ川を下ってインチキな大人
たちを相手に大冒険。
*シュリーマン『古代への情熱』
:シュリーマンはトロイを発掘した。その自伝。少年時代、働きながら猛勉強をす
る。語学の勉強法は参考になる。
ヘッセ『車輪の下』:主人公ハンスは十代だ。ドイツのエリートの学校に学ぶが…
モンゴメリ『赤毛のアン』シリーズ:十代の話もある。カナダに行きたくなる。
ウェブスター『あしながおじさん』
:主人公は少女から大人へ。英語で読んでもいい。アメリカ。
エルサ・モランテ『アンダルシアの肩掛け』
:イタリア文学。母と息子の愛情の行き違いを描く。
サリンジャー『ライ麦畑でつかまえて』
:アメリカの16歳のホールデン君が主人公。NYでおとなたちのインチキに怒
る。
*パトリシア・マコーミック『マララ』:マララは17歳でノーベル賞。