医療系で参考になるかも知れない本(順不同) 2024.8.2

 

*医療系に進んだ人は、これだけでは(当然)足りない。もっと専門的に高度な勉強をするし、かつ、医学は日進月歩なので生涯勉強・研鑽を続けることになる。ここでは、医師の原点で頑張った人、現代のトピックスなどをランダムに並べてみた。参考になれば幸いです。

 

鎌田實『がんばらない』『なげださない』『○に近い△を生きる』 (ポプラ新書) :鎌田さんは著書多数。苦労人で、社会的活動を多くしておられる。これらは平たい言葉で書いてあるが読む価値はある。

 

日野原重明『いのちの言葉』『メメント・モリ』:日野原さんは著書多数。聖路加病院名誉院長。

 

・大塚敦子『犬が来る病院 命に向き合う子どもたちが教えてくれたこと』:聖路加病院が舞台。医療従事者にも実に色々な資格の人がいて、医者や看護師だけではないんだなとよくわかる。

 

・大野更紗『困ってる人』:難病体験者の手記。ユーモラスに書いてある。

 

・坂井律子『<いのち>と<がん>』2019年:がん闘病記。東大病院で当時最先端の医療に挑戦するが・・

 

髙谷清『重い障害を生きるということ』(岩波新書):ぜひ御一読を。髙谷先生は小児科医でもある。

 

・河合蘭『出生前診断』2015年:出生前診断も使いようによっては前向きに使える。アメリカの事例を紹介。

 

・増田れい子『看護 ベッドサイドの光景』

 

・望月健『ユマニチュード』:認知症の進行が止まる。医療費ゼロでやれる。

 

・NHK「東海村臨界事故」調査班『朽ちていった命』:大変恐ろしい。

 

岡田尊司『パーソナリティ障害』

 

磯部潮『発達障害かもしれない』2005年:このころからやっと発達障がいについて知見が出回りはじめた。日本はアメリカに比べ30年遅かった。

 

 

石館守三(いしだてもりぞう)についての伝記 蝦名(えびな)賢造『石館守三伝―勇ましい高尚なる生涯』:石館氏はハンセン病の特効薬プロミンを日本で創った人。東大薬学部を創設。他にも業績多数。非常に尊敬されている。

 

シュヴァイツアー『水と原始林のあいだに』

 

中村哲『アフガニスタンの診療所から』『天、共に在り―アフガニスタン三十年の闘い』『人は愛するに足り、真心は信ずるに足る アフガンとの約束』(澤地久枝・聞き手 岩波書店):誰かが「唯一の希望、中村哲」と呼んだ。ノーベル平和賞を謹呈してもよかった。中村哲はパキスタン・アフガンで医師をしていたがやがて井戸を掘り水路を掘った。医者・医療以前の問題というのが確かにある。

 

岩村昇『ネパールの碧い空』:ネパールで医療を行った。非常に尊敬されている。「サンガイ・ジウネ・コラギ」(みんなで生きるためだ)という言葉で有名。

 

山本保博『救急医、世界の災害現場へ』2001年 (ちくまプリマーブックス)

 

丸山千里についての伝記 井口民喜『愚徹のひと 丸山千里』:丸山ワクチンを創った。丸山ワクチンの当否は措くとして、一代の薬学研究者の歩みがわかる。

 

野口英世についての伝記 北篤『野口英世正伝』:小学校の道徳の本に載っていたかも知れないが、この本は詳しい。

 

荻野ぎんについての小説 渡辺淳一『花埋み』:日本の医師免許法以降の最初の女医。

 

楠本イネについての小説 吉村昭『ふぉん・しいほるとの娘』:日本の西洋式医術の最初の女医。

 

神谷美恵子『生きがいについて』:精神科医。ハンセン病療養施設で頑張った。

 

フランクル『夜と霧』『それでも人生にイエスと言う』

 

中村祐輔『がん消滅』2019年:ネオアンチゲン療法という高度な療法を提唱しておられる。その当否は私の判定できることではない。東大名誉教授。ノーベル賞候補とも言われているが・・?

 

近藤 誠『医者の大罪』:近藤先生はがんの専門だが、「がんを早期に発見して切ったらかえって危ない」など、いわゆる常識と反対のことを言われる。医学部の人に聞いたら「エビデンスに乏しいから信用できないと教授から言われた」とのことだったが、どうなのか? 近藤先生の言っておられることはあっているような気もするが・・? 少なくとも思考訓練にはなる。惜しくも亡くなられた。

 

帯津良一『ホリスティック医学私論』:帯津先生はがんの専門だが気功など東洋医学を併用しておられる。北関東に系列の病院がある。

 

 

・幕内秀夫『粗食で生き返る』:幕内さんは管理栄養士。皆が食事に気をつけて「健康」になり医者に行かなくてすむ社会になればそれで上等だろう。自衛官とおまわりさんとお医者さんはおられるが開店休業、という社会が、いい社会なのでは? 私見だが、病院の駐車場係のおじさんだって、みなさまの医療と健康に貢献しておられる。医療と健康にはいろんなアプローチがあるのだ。

 

北杜夫『どくとるマンボウ航海記』:小説。北杜夫はマグロ船の船医としてインド洋からヨーロッパへ。

 

加藤周一『羊の歌』:加藤周一の自伝。東大医学部に学ぶが、医者にならなかった。

 

・魯迅『藤野先生』:魯迅は仙台で医学を学ぶが、医者にならなかった。

 

帚木蓬生『白い夏の墓標』『沙林』(小説):独ガスや生物・ウイルス兵器を扱う。著者は精神科医。

 

加賀乙彦『不幸な国の幸福論』2009年:加賀氏は精神科医。死刑囚・無期懲役刑囚のカウンセリングをしていた。

 

森鴎外『ヰタ・セクスアリス』:学生時代の自伝。鴎外は軍医。

 

・森鴎外『渋江抽斎(しぶえちゅうさい)』:江戸末期の町医者についての史伝。鴎外の最高傑作かも。

 

・大江健三郎『ヒロシマ・ノート』:ヒロシマの重藤文夫医師が凄い。

 

・永井隆『長崎の鐘』:永井隆もナガサキの被爆者にして医師、科学者。

 

・詫摩佳代『人類と病』2020年:国際政治学。感染症にどう対抗してきたか。

 

・堤 未果『ルポ貧困大国アメリカ』シリーズ:日本は国民皆保険制度を守るべきだとよくわかる。

 

・ブレイディみかこ『ワイルドサイドをほっつき歩け』2020年:同上。

 

森 昭『歯はみがいてはいけない』2016年:デンタルフロスと予防のための定期的デンタルケアを提唱。森さんは歯医者さん。

 

・有吉佐和子『華岡青洲の妻』:華岡青洲は江戸時代に全身麻酔を研究した医師。

 

・吉村昭『冬の鷹』:前野良沢の伝記。蘭学を学び『ターヘル・アナトミア』を訳すが、杉田玄白と違い、医者ではなく翻訳家になった。世俗的名声に遠く、孤高の人と言うべきか。

 

 

ドラマ(あくまでドラマです)

『ドクターX』:米倉涼子の大門未知子はキューバで修行した。キューバは医療の普及がすごく、世界の無医村に医師を派遣している。(最先端ではアメリカに及ばないが。)なお、最も富裕な国の中ではアメリカは案外長寿でない。最も貧しい国の中ではキューバは非常に長寿で、最も富裕な国々と並ぶ。『ファクトフルネス』に書いてある。

『ヨンパリ』韓流ドラマ。例によって富裕層向け高度医療と権力争いの世界。

『ドクター異邦人』韓流ドラマ。主役のパク先生はピョンヤンで修行した。序盤は大変「えぐい」。

『ブラック・ペアン』:高度な外科手術の「神の手」と権力争いが『ドクター・X』よりもさらにグレードアップしている。

 

マンガ

手塚治虫『ブラック・ジャック』:医学部の先生が勧めて下さったとか。なお手塚は厳密には阪大医学部出身ではない。

手塚治虫『きりひと讃歌』:主人公は医者。社会派マンガ。きわめておもしろい。

 

*だが、私(たち)にとって最も大切なのは、近所のお医者さんだ。心身共に疲労困憊しホルモン異常にうつ病で200歩あるくのが精一杯、という人にとって、家から200歩のところにおられる信頼できる近所のお医者さんが、一番大切なのだ。そこで点滴を打てば何とかその日は生きていける。500歩はもう遠い。まして車や電車で行かないといけない大病院、そこで長い時間待たされるなど、それに耐えられないのだから。