デザインが秀逸なビンテージオーブンですが、断熱材にアスベストが使われているそうな
では分解して内部を検証してみましょう できれば無毒化に挑戦
前面ドアはマイナスのステンレスビスが使われてます。当時は相当な高級品だったのでしょう。ここは簡単に外れます
マイナスドライバーを3~4種類駆使して作業を進めます
底板の取り外し完了 これは旧車乗りにとっては「さび」のうちに入りません。グッドコンディションです
↓ついに天火オーブンの内部が現る。 アスベスト板は3枚使われています。石綿が詰まった構造ではなくて、石綿を樹脂で固めたプレートです。このタイプは一応「非飛散性」とされていますが、それは新品のときの話。すでに何十年も経過してるわけですから、必ず劣化しています。天火オーブンは80年代の後半までアスベストが使われていたようです。
↓ここです。かなり劣化してます。これでは熱対流によってオーブン内に飛散するのは確実です。一部のブログに、「樹脂で固めたアスベストプレートは安全」との記事がありますけど、それはどうかなあ。851あたりまで同じプレートを使っているはず。後期型は大丈夫という話もデータがないんだよなあ。年代的に見て、含有率が下がってるだけだと思う。アスベストはいきなり使用禁止になったわけではありません。代替え技術が確立するまで、段階的に使用率が下がっていった経緯があります
危険物の撤去開始 リベットを内側で切断して外側で抜き取ります。ニッパの後ろに見えるのが背面アスベストプレート
背面板の撤去 2mm厚 268mm×244mm
左右の断熱材も撤去して袋に密封 触れるだけでポロポロ崩壊します。
オーブン内の洗浄と錆取り 重曹を使いました
ゆっくり乾燥 なかなか良い黒さびです 黒さびは鉄の味方です
構成パーツは極めてシンプル
錆取りは重曹を使用 人体に安全なものだけを使います 耐熱ブラックも塗りたいところですが、あれは異臭と白煙を出すのでここには使えません。
断熱材にはセラミックプレートを選びました。6mm厚 カットはノコギリでOK 1枚550円(最安値は440円だった) 詳細はエッセイで紹介しようかなあ。本は次号のキュリアス
セラミックプレートはリベットで固定 最大の問題はここでした。果たしてセラミックはリベットの圧力に耐えられるか
使用したリベット ホームセンターで普通に買えます
OH!割れてない! これなら大丈夫。現物合わせでまんべんなく貼り換え。耐熱1400℃。これが日本の最新技術。しかもアスベストゼロです
側面もOK リベットは共締めが多いので、組み立てに時は再確認が大事ですが、案外楽しい作業です
軽く錆取りをしてから「必殺錆封じ」を塗っておきます。この防錆剤はイイねえ。
底板の組付け ペンチの下に見えるリベットは今回の再生で打ち込んだものです。バッチリ決まってますね
そしてオールペンの準備は完了
塗装はプロに依頼します。入間の板金屋へ出発 完成は別途公開
*参考資料* 天火オーブンはこういう野外料理が楽しめます
↓これは同じ型式のピースオーブンです
↓鶏の丸焼き
↓これも同じピース 今回はこの色でオールペンすることにしました。安全性を考えたら絶対にアスベストの撤去は不可欠だと思います。
↓ルビーオーブン 中は同じ作りだろうなあ
あとは、再生したオーブンにどれくらい耐久性があるか。ボディは普通の車の塗装をしてるところですが、それが熱に耐えられるか。耐熱塗装も検討したんですが、耐熱用の専用窯が必要なので今回は使いません。