宮島明道 「刑事の境界線」(宝島社文庫)

 

小金井中央署の刑事・馬場みどりは、日々起きる小さな事件に翻弄忙殺されていた

ケチな掏摸の取り調べの最中に、ゲームセンターでの金庫窃盗事件が発生し臨場する

一方、同署の組織犯罪対策課の刑事・為井忠之は、ガサ入れの為に違法風俗店を張り込んでいたが、肝心のホセを逃す為の方策を練っており、下っ端のみの逮捕に成功する

正義感に燃える若手女性刑事と、ふとしたコトがら堕落した中年刑事は、同じ署に勤務していながら、正反対の立場・方向にいたッアセアセ

そして遂に事件は重なり合い・・・対照的な二人の刑事をメインに据えた警察小説の誕生キラキラ

 

 

本作は第24回(’25)の『このミステリがすごい!大賞』の≪文庫グランプリ≫を受賞作で、今作でデビューしているのだが、前歴がナンとでも屈指のDJだと言うから驚きだガーン

ナンでも奥田英朗や吉田修一にハマって感化され小説を買いたという・・・

ソレで(文庫化に際しては)改正・改訂・加筆したとは言え、受賞→デビューに漕ぎつけたのだから大したモノだ花

ストーリー的には小金井市にある所轄の対照的な二人の刑事をメインに据え、交互のソノ活動行動を描き、それぞれが別の事件を追いかけながらも次第に関連性が・・・という、マルチストーリーというかモジュール型の警察モノとなっている

所轄の刑事課なので1~3課迄の仕事をこなす何でも屋の若手女性刑事の馬場は、30を超え若干将来的な・特に結婚なども視野に入れつつも、今は刑事としての使命の燃えている熱血刑事で、普段はケチな事件&犯人を相手にしている

一方、専門性が高い組対課の為井は、一時は本庁にもいたのだが「黒い影」があり、今は所轄に追い出された「ゴンゾウ」(仕事ができない・やるきがない・ど~しようもないお荷物警官のコトを指す隠語)で、現在もヤクザに搦めとられ暗に情報を流したりしている

この二人が同じ所轄にいながら、共に事件捜査に奔走しながらもナカナカ巡り合わないのだが、やがて・・・という点が面白く、ドコでド~繋がって・というのを楽しみ(!)ながら読み進めていけて、そ~した構成力とか展開力などは、とても新人とは思えぬ出来であった

また周囲の刑事警官たちや、関わり合う他の登場人物たちなども良く書かれていてグッであった

宝島社文庫の「このミス!」シリーズは、個人的に合う合わないが比較的ハッキリしているのだが、ビタッバチッと来る作品があり、また世間一般的には話題になる作品も多いので、今後も益々注目したい・せねばならないレーベル・大賞となってきている拍手

 

 

森村誠一 「深海の迷路」(角川文庫)

 

静岡県の東部に位置する沼津市で、近頃、夜間独りで行動している女性を刃物1本で脅し、暴行を加える事件が頻発していたが、事件そのものが発覚したのは遂に殺人事件となったからであったが、「夜の狼」と呼ばれた卑劣な犯人の存在は掴めなかった・・・

一方、少し離れた県庁所在地である静岡市内では家族3人(長男は外出中で難を逃れたが)を殺害した後、放火するという非道な事件が発生したメラメラ

しかし、両事件とも証拠が少なく、1年後には捜査本部は解散となった

・・・その1年後、駅のホームで具合が悪くなっていた女性・夕貴を助けた保科は、やがて交際・同棲を始めるのだが、彼女には忌まわしい記憶があった

2つの事件と二組の男女が織りなす、複雑に交錯した真相が隠されていたッ!?

社会派推理界の巨星・森村が放つ書下ろしミステリ

 

本書は↑の帯にもある通り、【角川文庫40周年記念】の中の1作として依頼・書き下ろされていて、終わりには森村の「あとがき」も載っているH1の作品

コノ帯裏や巻末の新刊案内にも、当時の角川が誇る精鋭執筆陣の錚々たる名前がラインナップされ、それぞれの新作が並んでいる乙女のトキメキ

で帯が残っているので御分かりの様に、当時は新刊で購入している

H1なので大学生の時、きっと書店で見かけて「おぉ~出てるらッ飛び出すハート」と喜び勇んで購入し、講義の合間に広げて、2コマ(計180分)掛けて読了した記憶がある

ストーリー的には森村お得意のマルチストーリー方式がとられ、離れた(今作ではシゾーカの東部と中部なのでソレ程ではないが・・・)地域で起きた別々の事件が徐々に関係性が浮かび上がり、意外な容疑者・犯人が・というモノで、また登場人物もそれぞれの事件に関係があるが秘匿され、偶然の出会いによって結ばれた男女のペアーが思いもよらぬ形で忌まわしい記憶体験が思い起こされ・・・Edで非情な・悲劇的or幸福な今後が明らかになる

という感じだが、基本的に森村の場合はBad Endなモノが多い

コレは森村自身の性格によるモノかもしれない 少年時代から鬱屈したモノを抱え、就職してからも「鉄筋の畜舎に繋がれた歯車」的な怨念を抱えて過ごしてきたので、今作発表当時は押しも押されぬ第一人者となっていたにも関わらず、小青年期に於けるタールの様な屈辱は晴らされていなかったのかもしれない真顔

またそ~したある種の「暗さ」が、森村が描き続けてきた時代にはMatchしたのだろうと思ったりしている

 

今回はチョッと苦しいが「マルチ・モジュール型の警察ミステリ」というコトでUpしてみた

コレもいつも書いているが、他にも関連として相応しいのもあるし持ってはいるが、容易に用意できない収納をしているので、手軽でまだストックがたくさんある森村に頼ってしまっているのだ

自分で好きでやってるのに「億劫」になってちゃ、しょ~がにゃ~らッ笑い泣きて気はしますが・・・(と森村のがシゾーカが舞台の作品なんで思わず自然にシゾーカ弁がッ爆  笑