濱嘉之 「プライド2 捜査手法」(講談社文庫)

 

それぞれが世田谷署の駐在員の息子という、同じ境遇で幼馴染として育ち、経緯は違えども同じ警察官としての道を歩み始めた、

高卒ながら夜学に通い優秀な成績を収め現在は警視にまで昇進した高杉隆一・大学ではゴルフに興じながらも結局は警官となり現場一筋を標榜する巡査部長の本城清四郎・東大法学部→キャリア入庁し海外勤務を終えて公安勤務となった警視正の大石和彦

彼らは階級や方面は違うが、お互いの長所を活かしながら協力して捜査を進めていく

時は’04 組織対策課に身を置く清四郎は、コールドケース・所謂「迷宮入り」してしまった事件の洗い直しを命じられるが、調べを進める内に、背後の闇に隠れあらゆる犯罪に手を染め、暴虐謀略の限りを尽くす、とある集団に目を付けた

ヤクザとその企業舎弟・宗教団体・そして国会議員たちに正義の鉄槌揮うッパンチ!

悪を許さない、最強のトリオが犯罪者に挑むシリーズの第2弾ピリピリ

 

 

シリーズが始まったのは一作年のコトで、モチロンその時に読了してUpしている

好きな作家の新シリーズって・・・いつも期待大ッ! | みかんjamのブログ (ameblo.jp)

作者の濱も忙しいのか(てへぺろ)、例年だとシリーズ物は少なくとも年一に書き下ろしていたし、ナンならノンシリーズものもあったりしたのだが、ココのトコ、刊行自体が「年1冊」と少し落ち気味となっているのは、ファンとしてはかなり物悲しいトコ

で、今作なのだが世田谷駐在の息子として育った幼馴染の3人が、長じて警察官となり、それぞれの立場で捜査に・組織に奮闘する内容となっている

コレ迄の作品・シリーズは主に公安部門が舞台となっていたのだが、コチラは趣向を変えて、3人が違った部門・階級・立場で活躍する姿を描いているのが相違点

その為、扱う事件もそれぞれだったり、今回のサブタイトルである「捜査手法」も異なっているのが面白く興味深い

特に、私の様なミステリ好き・マニアには、捜査アプローチが異なっていて、ソノ結果辿り着く到着点もが、それぞれで少々異なるのがまた

今作では舞台が少し古いのだが・・・ソレでも現在の事件や事象とかなりLinkする・というかソレを意識した内容となっており、アノ当時の事件や登場人物が思い出され、そして現在にこ~して繋がっている・というのが認識されて更に興味深く読めたグッ

 

 

「警視庁情報官 ブラックドナー」(講談社文庫)

警視庁公安部の・黒田純一は、休暇で訪れたハワイで偶然、極盛会の組長である宝田を見かける

入国が禁止されている筈の宝田が何故、ハワイにいるのか!?

体調不良が噂されていただけに、秘かに臓器移植手術を受けていたのではないかッはてなマーク

そして背後には、秘密のパイプが・組織が・臓器密売ルートの存在が伺えた

帰国した黒田は早速チームを始動させ、各メンバーに調査を命じながら、自身はマニラへと飛び、他にもロスアンジェルス・アモイへと潜入を始めたッDASH!

国際色も豊かに、スケールアップしたインテリジェンスミステリのシリーズ4

 

刊行は’12で書き下ろされた作品 そしてこのシリーズは濱が作家デビューを果たした作品となっている

タイトルは情報官となっていて、ソノ名の通り、公安部に籍を置き、キャリアや日本のスパイの元締めでもある公安部のTopからの信頼も厚い、黒田純一率いるチームの活躍・というか暗闘を描いている

で、今作のテーマは「臓器移植」で、コノ時点では既に古めのモノで、表で裏でかなり進められていて、国際的な問題化されていた

問題はソレが「裏取引」されているコトで、ソノ犠牲になる貧国の弱者たちと、ソレを商売の道具にし、汚れた巨万の$を手中にしている連中が、我も我もと先を争って参加してきている点だ

ソノ辺りの闇をスパっと斬りさく黒田の捜査と、周辺事情を説明・解説してくれる内容と展開に喝采を送りたくなる拍手

 

濱の作品は、常に現実世界と物語が密接にLinkしていて、普段ニュースなどでは表向きにしか流れない・知らされない【事実】を、私達に知らせ警告してくれている秘密

そ~いった面で、国家や国際といった大きすぎて実感が湧かずに把握できない闇・葬られた真実の欠片を知るコトが出来るし、逆に知らない・知らされないコトによる恐怖も感じさせてくれる感じがするのだが・・・ゲッソリ