櫛木理宇 「執着者」(創元推理文庫)
至って平凡は普通のOL・大学院生に突如襲い掛かかった、老人による付きまとうストーカー行為は、常識を超えた執拗さで、恐怖に陥れられたッ
影があり過去を隠している恋人・相談には一応乗るモノの一向に真剣に捉えない警察・エスカレートしていくストーカー行為には殺意までもが滲むようになる・・・
一方で、荻久保署管内で若い夫婦が老人に襲撃され、夫は死亡し妻は拉致される事件が発生する
共に表に裏にと見え隠れする老人の正体とは一体
捜査を担当する佐坂には、今も払しょくできない辛く哀しい過去の事件があったが、ソノ苦しみを乗り越えようと、真相が見えないコノ事件に傾注する
戦慄のサスペンスの恐怖がアナタを襲う、サイコスリラー
作者の櫛木と言えば、ナンと言っても映画化もされた話題作「死刑にいたる病」があり、以前にUpしている
恐ろしくて怖い・・・芯に来るホラミス! | みかんjamのブログ (ameblo.jp)
で今作は、以来3冊目となるのだが・・・やはり「怖さ」は変わって居なかった・というか、否 更にPower Upしてきている印象がある
今回のテーマはすばり「ストーカー」だ しかも犯人は老人で、色情症なのか、若い女性ばかりを執拗に追い回し付きまとい、更には殺害予告めいた脅迫をもしてくる
そ~した恐怖を描いておいて、次の章では別の事件が発生するのだが、モチロン()ストーカー老人との繋がりも見え、徐々にじわりとじっとりとLinkしていき、最後には衝撃の真相が明らかにッ
というサイコサスペンスであり、見事なミステリともなっている
また主人公である刑事の佐坂にも、かなり重いキツメのトラウマを抱かせており、ソレがストーリーや展開に大いに関係してくるし、盛り上げるスパイスにもなっている
そして本庁の刑事であり佐坂の相棒となった北野谷も面白いキャラをしていて、今後別のお話しで、彼メインのが出来上がっても面白そうだ
そしてもう一人、コノ二人に協力する形で登場する、千葉県警の老刑事・今道もまた
彼は過去作の「ゆるくぬるやかに流れる川」に登場しており、偶然ではあるがコレも以前に読了してUpしている
常人には分からない・・・ | みかんjamのブログ (ameblo.jp)
コレら3作に共通しているのは、過去の事件と現在が繋がっており、ソコにシリアルキラーが存在し、一般人には理解しがたい『自分の中でのみ通じる信念』に妄執し異常行為を起こしていると言うコトと・・・そして、【真の恐怖】とはこ~ゆ~モノなのではないのかと問うてきている点だと思う
ホラー系は読まないし、霊がどうの・に乗っ取られてとか・に憑りつかれて・などと言う設定は、個人的に怖くないし(だってんなコトは現実世界にはないしネ)、物語として面白味を感じず触手は伸びない
だが・・・こ~いった精神世界が崩壊した、所謂「テンパっちゃってる人」というのは、本当に怖いし、ナンならそ~いった人は、アナタの直ぐ傍で普通の顔をして生活しているかもしれないからだ
清水潔 「桶川ストーカー殺人事件 遺言」(新潮文庫)
埼玉県桶川市の駅前で1人の女子大生が殺害される事件が発生した
白昼の犯行だったのだが、証拠も容疑者も浮上せず迷宮入りも囁き始められていた中、ひとりの週刊誌記者が殺人犯を特定し、事件そのものを起こさせてしまったと言っても過言ではない警察の腐敗を暴きだしたッ
彼女の悲痛な叫びであり、結果的に『遺言』となってしまった一連の訴えた声は、警察とマスコミにより歪められ、封殺されようともしていた
しかし、その遺言を信じ、真相を・真実を執念で追及し続けた記者の【捜査】は、遂に陽の目を見るコトに そしてその先にあった問題とは
後に「記者の教科書」との称されるようになった事件ノンフィクションの傑作
コノ事件が表面化されるまで、『ストーカー』という言葉自体が認識されていなかったし、その意味というか内容も曖昧模糊としていた
しかし、現実世界で、小説の様な展開・犯人により発生したコトにより、一気に広まり理解されるコトとなったのが、この「桶川ストーカー殺人事件」といえる
衝撃的な内容だったし、展開もそうだし、ナンと言っても捜査を担当する上尾署の面々による怠惰な・冗漫な・噴飯モノの態度や言動が、かなり問題視されたので記憶にある方もいるだろうと思う
そして「ストーカー」というモノの怖さも・・・
↑の「常人では分からない・・・」の関連でも清水潔のも1冊の渾身のノンフィクション・通称「足利事件」についてUpしているが、共通しているのが警察の怠慢であり、マスコミによる思い込みと傲慢な報道姿勢というモノがある
昨今の・というか昔っから自らを『第4権力』等と嘯き、権力の腐敗は許さない・などとほざながら、自分らがソチラ側にどっぷりと首まで浸かっているソノ様は、も~ナンとも・・・
そ~したのが積み重なっての現在の凋落っぷりと不信任があり、マスコミ・報道への信頼は、とうの昔に散り散りになってしまっているのではないだろうか
そ~した風潮・現状に一石を投じたのが今作だと思う
今尚、改めて読み直すべき1冊なのではないのかッ