【第九戦TOPIC.3】あの伝説の(自称)アイドル降臨!激怒の改革宣言!
かくして
二宮&あがぺるの【ニノトペル】と
銭山&かけるんの【銭洗弁天】というフレッシュなタッグが参戦する事となった第九戦。
第一試合は
初陣の【ニノトペル】と【銭洗弁天】に、いまだ未勝利の【さば】という、どこが勝っても初勝利の対決。
結果は
【銭洗弁天】の初陣勝利。
最強タッグどころかジャムコントの初陣となった銭山は、プレイヤーとしての実力はまだこれからな部分が多いが、その人なつっこさを強力な武器。タッグとしても銭山が技術的に未熟な部分はかけるが絶妙のフォローで対応するという見事なコンビネーションを見せつけた。
対する【ニノトペル】は個々の実力は確かなはずなのだが、やはりここでも二宮の『女性がパートナーだと二枚目になって持ち前の面白変態性が失われる病』が発症。試合後、約束通り一試合だけのタッグで終わってしまった。
続く第二試合。
第一試合勝者【銭洗弁天】が、【ワサブチ】【あまからアベニュー】のオフィシャルタッグに挑む構図。
結果は
【ワサブチ】の勝利。
この日休場していた【セイロンティ】への雪辱に燃える【ワサブチ】がオフィシャルタッグの意地を見せ、【銭洗弁天】もかけるがMVPで1ポイントを獲得し、この日3ポイント獲得という、タッグとして上々の滑り出しを見せた。
試合前に大きな動きはあったものの、舞台上は勝負の12月最初の公式戦らしい熱い戦いが繰り広げられた。
・・・のだが。
ある一人の人物だけは、そうは思っていなかった。
それは終演後のミーティングで起こった。
この日は銭山の初参戦に加えて,二宮あがぺるの復帰参戦。加えてアシスタントを務める池山ユラリも復帰した事もあり、いつになく勝敗を越えた和気あいあいムードが漂っていた。
しかしそれも・・・
???『あらあら、みんな笑って楽しそうな事』
彼女が現れる迄だった。
???『なにがそんなに楽しいんでしょうね~?』
声の方向をみて驚く一同。
そこにいた女性は・・・
一同『ぽ・・・』
一同『ぽるん!』
ジャムコントの永遠のアイドル(自称)大牧ぽるん。
第一回の最強タッグより参加し、
時にプレイヤーとして、
時にアシスタントとして、誰よりもジャムコント、特に最強タッグ戦に愛着を持つ大牧ぽるん。
極めつけは昨年の最強タッグにはプレイヤーとして参加し、
後にそのタッグパートナーを生涯のパートナーとする『ジャム婚』をしてしまったのだから、そのジャムコント愛は筋金入りである。
諸事情により今年四月でジャムコントを一旦卒業していたのだが、最強タッグの時期が来て、いても立ってもいられなくなり、本日多忙を押してお忍び観戦をしていたのだ。
ぽるん『勝者も敗者も仲良しこよしですか~。いつから最強タッグはこんなヌルくなったんですか~?』
かける『ぽるんさん、久しぶりに会ってそんな言い方ないで・・・』
と、突然、
ドスっ!
鈍い音と共にかけるの腹部にぽるんの右足がめり込んだ。
かける『ぐふっ!』
うめき声をあげて尻餅をつくかける。
ひたかつ『ち、ちょっと!』
二宮『な、なにするんですかぽるんちゃん!』
ぽるん『かける、あんたなにやってんのよ』
かける『え?』
ぽるん『あんた、一明さんと組んでトップだったらしいじゃない?なのにこの時期になに解散してんのよ?』
かける『・・・』
ぽるん『あんたは今年、タッグ戦を引っ張って行かなきゃならない立場でしょ?ヌルいことやってんじゃないわよ』
静まり返る一同。
ぽるん『いい、この最強タッグは私達が命をかけて戦って、伝統を作って来たの。その伝統をあなたたちは汚そうとしてるの』
かける『汚す?どこが・・・』
ぽるん『まさかあんた、あの緊張感のない、しょぼい試合を見せておいて、口答えするんじゃないでしょうね?』
かける『・・・』
ぽるん『だから私は私のやり方で、伝統を守らせてもらうわ。最強タッグなんだから、みんな地獄を観てもらわないと』
ぽるん『それじゃあせいぜい今のうちにぬるま湯に浸かっておきなさ~い』
そう言い残し、その場を立ち去るぽるん。
はたしてぽるんの言う『私のやり方』とは何か?
まさか、現役復帰?
謎を解明するため、取材班は後を追いかけて大牧ぽるんに直撃取材を敢行。
以下がその映像である。
一部で囁かれている『大牧ぽるんは表向きはジャムコントを卒業したが、フロント入りして裏側からジャムコントを意のままに操っている』という【大牧ぽるん=ジャムコントフィクサー説】を裏付ける様なこのコメント。
一体ぽるんは何をしようというのか?
【第九戦TOPIC.2】ニューフェイス銭山伊織登場!かけるに灯る希望の光!
あがぺるが二宮とストーカータッグを組もうとしていた頃、
かけるにもターニングポイントとなる出会いが訪れようとしていた。
それは劇場の休憩所にある自動販売機前。
日課である本番前のモーニングコーヒーを買おうとしていた時である。
《今日も【1×1】で戦うしかないのか…しかしボクも一明さんも【1×1】をオフィシャルにして戦うつもりはない…でももう12月…このままズルズル組み続けたら一明さんにも迷惑をかけてしまう…今日こそ新しいプレイヤーと…と言ってもボクと組んでくれるプレイヤーなんて他に誰も…》
今まで何度も心の中で反芻している想いに耽りながら、自動販売機のボタンを押そうとしたその時、
もう一本の指が同じボタンを押した。
かける『え?』
???『え?』
かけるの隣にいたのは、見覚えのない男。
???『ごめんなさい。考え事をしていたもので』
かける『こちらこそすみません。ボクこそ最強タッグのパートナーの事でオフィシャルを組めるパートナーが見つからないなあなんて考え事してたから…』
???『え?』
???『あなた、ジャムコントプレイヤーなんですか?』
かける『そうですけど…』
手を差し出す謎の男。
???『じゃあ今日から仲間っすね』
かける『仲間?』
銭山『今日からジャムコントに参戦する銭山伊織です』
そう。この男こそ最強タッグ最後の隠し球、
銭山伊織。
実はこの頃、最終戦まで参戦予定だったジャムコントきってのイケメン、山咲和也が、諸事情により最強タッグおよび年内のジャムコントをすべて休場する旨の連絡が山咲より入っていた。
事態を重く見た最強タッグ実行委員会がリザーバーとして急遽招聘したのがこの銭山であった。
かける『あ、ああ。そうなんだ。よろしく』
そう言って銭谷の差し出した右手を握ろうとしたかけるだが…
なぜかその手を引っ込めてしまう。
銭山『…え?』
かける『いや、悪気があってじゃないんだ。いまはタッグ戦の最中だからさ』
銭山『ああ、なるほど。仲間になるか敵になるかはまだ分からないって事ですか』
かける『うん。そんなところ』
口ではそう言ったものの、かけるの本心は違った。
《どうせすぐボクなんかと仲良くしたくはないと思うだろう…》
そう思ってしまうほどまでに、かけるの心は病んでいた。
かける『ごめんね』
銭山『いえ、そこまで本気の戦いなんすね。勉強になりました。じゃあ』
そう言い残し、その場を去ろうとする銭山。
しかし、
銭山『あ、でもせっかくっすから、他にもいろいろ教えてもらえませんか?袖触れ合うもなんとやらってね』
かける『え…』
銭山『あと舞台上でも教えてもらえると嬉しいんすけど』
かける『それは…』
銭山『もちろん敵としてじゃなく、仲間として』
かける『・・・え?』
屈託のない笑顔の銭山。
銭山『行こうぜ!かける!』
初対面なのに唐突すぎる銭山のフレンドリーさ。
しかし、その強引さがかけるの心を囲む硬い壁にヒビを入れた。
《こいつとなら、戦えるかもしれない!》
かける『うん!』
弾ける様な笑顔で銭山と駆け出したかける。
かくして第九戦にしてついに【1×1】は事実上の解散。
かけるは第九戦を銭山とのタッグ【銭洗弁天】として戦う事となった。
インディーズタッグとはいえ、首位を独走していたタッグを解散するという、暴挙としか考えられない行為であったが、かけるの顔は久方ぶりの晴れやかさに包まれていた。
だが、しかし
第九戦終演後、このかけるの決断を発端に、
ある人物の逆鱗に触れる事になろうとは、その時は誰ひとり予想だにしていなかった。
【第九戦TOPIC.1】ついにあがぺるが参戦!二宮のストーキングは実るのか?
我われは
この女性を
知っている!
いや!
この勝利に飢えた眼差しと不適な笑みを知っている!
戦闘女神あがぺる、ついに帰還!
それは去年の最強タッグ決定戦。
結果こそ一明一人とのタッグ『ジャム★プリ』で準決勝に終わったものの、誰よりもどん欲に勝利を欲するが故に様々な愛憎劇を繰り広げた、大会を通しての強烈なインパクトは凄まじく、
『2016年の最強タッグはあがぺるのため大会』
と言っても過言ではない活躍をしたプレイヤーである。
今年は諸事情により参戦が危ぶまれていたが、この第九戦より参戦が決定したのだ。
しかし、あがぺるにとっての最強タッグの初陣となる第九戦。劇場に向かうあがぺるの表情は険しかった。
というのも・・・
《12月からの参戦…ポイント的に厳しいのは覚悟している。しかし、それ以上に問題なのは…タッグパートナーがいないこと…有力なプレイヤーは既にタッグを組んでいる。いま残っているプレイヤーで優勝を狙えそうな人材がはたしているのか…》
そう。去年最強タッグを戦い抜き、酸いも甘いも経験したあがぺるだからこそ、この時期からの参戦の厳しさを痛感していた。
と、
そんなあがぺるに
遠くから熱視線を送る一人の男。
二宮正晃。
二宮と言えば開幕戦で成瀬サキに哀願してタッグ【道頓堀美術部】を結成したものの、女性パートナーでは実力が発揮出来ないという悪癖が発症し惨敗。サキにタッグ解消を言い渡され、傷心のままタッグ戦線から離脱していた。
二宮『あがぺるちゃん』
満面の笑みで声をかける二宮。
しかし
あがぺる『あ、ニノさんおはよ~』
口では挨拶したものの一瞥くれただけでそのまま素通りするあがぺる。
二宮『あ、あの・・・』
あがぺるは分かっていた。
《ニノさんには悪いけど、タッグパートナーとしては興味はないわ》
女性パートナーでは実力が発揮出来ないのに、女性と組みたがる二宮の習性を、あがぺるは去年の最強タッグから学んでいた。
しかし
サキに捨てられ、諸事情で休場しているうちに、めぼしいタッグパートナーがいなくなり焦っているのは二宮も一緒であった。
???『お願いがあるんだけど』
驚くあがぺる。
それもそのはず。声の方には
さっき目の前を通り過ぎたはずの二宮が。
二宮『出来れば僕とタッグを…』
あがぺる『それは無理。ごめんなさい』
毅然とした態度で相手にしない姿勢。
手慣れたストーカー対策の腕前を駆使して二宮をやり過ごし、そのまま足早に通り過るあがぺる。
《どうしていつも私は、私が望まない男ばかりにしつこく追い回されるのだろう…》
そんな疑問を考えながら、背後から二宮の視線を感じつつ劇場のドアを開けた
その時。
あがぺる『ひぃっっ!!!!』
ドアの向こうには、
さっき置き去りにしたはずの二宮。
二宮『一度だけ。ね?一度だけ試して』
軽い狂気すら伺わせて懇願する二宮。
あがぺるの胸に去来するのは恐怖か?怒りか?
あがぺる『・・・本当に一度だけ?』
二宮『う、うん!』
あがぺる『それでダメだったら諦める?』
二宮『ああ。でも後悔させないよ』
あがぺる『じゃあ…一度だけだよ』
二宮『あ、ありがとう!』
あがぺるは自分で気付いていなかった。
たとえ興味がなくとも一生懸命な相手にはつい情にほだされてしまう自分の性に。
たとえそれがストーカーもどきの男であっても。
かくして最強タッグを知り尽くした二人による強力タッグ【ニノトペル】が誕生。
もし勝てばオフィシャルタッグも視野に入れる条件で初戦に挑む事となった。
そして時をほぼ同じくして、
孤独を深めていたかけるにも、待ちに待った出会いが訪れていた。

















































































