6/3(土)~4(日) インプロライブ『メニメリデイズ11』に出演します! | 谷口礼子オフィシャルブログ「じゃこのおもしろいこと」
私が26歳くらいの時、最初に所属していた劇団をやめて、演劇を続けるかどうかを迷っていたことがある。
そんな時に、たまたま出会ったのが、インプロ(即興演劇)だった。
(出会わせてくれたのはシアターキューブリックの千田さんだった)
 
「Yes and」という考えに触れて、その時行き詰まっていた私はすごく、救われたような気がした。
 
奇抜なことや、面白いことをやれなくては、人前に出てはいけないと思っていたし、それができない自分をつまらないと思ってさげすんでいた。
でも、インプロの仲間は、そうじゃないと言ってくれた。誰かの話を聞いて、自分の中から何かひとつでもしぼりだしたら、それをまた誰かが膨らませてくれた。
 
苦手なことを克服して、すべてができるようにならなきゃと焦っていたけど、人には、得意なことと不得意なことがあって、お互いに補い合うことができると知った。
初めに出て行って最初の一言を言うのが得意な人もいるし、誰かが作った世界に乗っかるのが得意な人もいるし、それはどっちも素敵なことだとわかった。
 
その頃、お世話になっていたインプロの団体のみんなで、特別支援学校に通う小学生の前で、インプロショーをしにいった。
「みんなで手を繋いで1人の人になって、1人の人としてお話しします」という、「ワンボイス」というプログラムをやって、児童の皆さんから自由な質問をもらってそれに答えたとき、
すごーく頭の回転が早くて、オリジナルの面白い漫画を何冊も書けるけど、コミュニケーションが苦手で普通のクラスに通えない男の子がいた。
彼が、みんなで顔を見合わせながら1人の人として質問に答える私たちを見て、
「なんで、そんなに、1人の人に、なれるんですか?」
と質問した。
私たちは、顔を見合わせながら、考えて、こう答えた。
 
「それは、みんなが、みんなのことを、…すき、だからです!」
 
そしたら、彼は、座ってたマット(そこは体育館だった)の上にゴロンゴロン転げ回りはじめた。
そして、こう叫んだ!
 
「図星を!つかれた!!!!」
 
彼の中のどの図星をついたのかは、わからない。
けど、コミュニケーションがどうしてもうまくとれなくて、もしかして普段から疎外感を感じてたかも知れない、彼の心に、
私たちが間違いながらもお互いの言いたいことを汲み合う姿が、なにかしら響いたのかなと思うと、なんか、本番をやりながらも涙が出そうだった。
 
そんなこともあって、演劇を新しい面から見ることができたおかげで、私は演劇をやめなかった。
インプロはその時の初心者のままで止まってしまったけど、インプロの精神はずっと、とても、好き。
 
だから、たまに、きちんとしたトレーニングをしないで、即興で雑な何かをすることを「インプロ」と呼んでしまったり、それを台本演劇の中に適当に入れてしまったりする演劇の公演があるのを見ると、悲しい気持ちになることがある。
 
演劇の世界で「インプロ」というと、そういう雑なもののことを指して言っている人もいて、その時点で言葉が通じてない。話しているうちに、あ、違うもののことを言っているからだ、と残念になる。
 
「Yes and」に集約されるインプロの精神は、例えば高校演劇の生徒さんにも、すごく響く。
彼らは大人よりももっと素直で、ピュアで、でもすごく失敗したくなくて、面白いものに敏感で、ある子はすごく自分に自信があるけど独りよがりで、ある子はとても自信がなくて人の顔色を窺っている。
そのでこぼこが、人間らしくてとても可愛らしいのだけど、ひとつの座組として作品を作ろうとすると、どうしてもぶつかっちゃう。
そんな時に、「Yes and」をやると、自信のあった子は「……?」という顔になって、自分を客観的に見るようになる。
自信がなかった子は、なんか、生き生きして、自分に集中できるようになる。
不思議。
 
正しい「インプロ」が、
正しい「Yes and」が、世界にもっと広まってほしい。
 
そんなふうに思っていて、このたび、とてもしばらくぶりに、インプロの公演に参加させていただくことにしました。
へぇ、こんな世界もあるんだ、と思っていただければ嬉しいですし、
私自身、見たことのない世界を、ここで、見たいと思っています。
 
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即興劇の祭典『メニメリデイズ11』
🌟以下の日程に出演します!
 
6/3(土)
14:00/18:00
 
6/4(日)
13:00/17:00
 
@三栄町LIVESTAGE
 
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