毎月9日はシアターキューブリックメンバーが同じお題でブログを更新します。
今月のテーマは、「引っ越しの思い出」。
引っ越しといえばうちのおばあちゃん。
おばあちゃんは転勤族の家に育って、子どもの頃、長野県の色々な場所を転々としたそうです。
小学校も4つくらい行ったので、どこの思い出だかわからなくなったり、
どこで一緒だった友達だったかわからなくなるんだと言っていました。
そんなおばあちゃんが、わたしが小学4年の時に、長野に帰ることになりました。
家庭を築き、わたしの母を育てた横浜から、
生まれ故郷の長野に帰ることにしたんです。
おうちをまるごと引っ越すので、モノがたくさんありました。
おじいちゃんがイトーヨーカドーからみかん箱をたくさんもらってきて、
そこにどんどん、モノを詰めました。
小学生だった私も手伝って、チラシでお椀やお皿を包んで、
引っ越しの準備をさんざんやったっけ。
トラックに荷物を全部詰めて、おじいちゃんとおばあちゃんは車に乗って、長野に行きました。
わたしは二人を見送りました。
わたしの最初の引っ越しの思い出は、わたしが引っ越したのではなくて、
大事な人が引っ越した思い出でした。
おじいちゃんの家は別の家族が買いました。
しばらくして見に行くと、おじいちゃんが大事にしていた槇の木が、なくなりました。
病気になって切ってしまったのかしら。
おじいちゃんが日曜大工で塗った屋根。
立てつけを直した縁側。ベランダの網戸のレール。
わたしはそういうものを思い出しました。
高校生の時、実家が引っ越しました。
はじめて自分の部屋ができて、新しい生活にわくわくしたけど、
目をつぶっても歩けた前の家の間取りが、
洗面所の昭和レトロな壁紙が、
だんだんとぼやけて思いだせなくなるのが、何だかさみしかった。
生まれた頃から住んでいた家が、自分の家じゃなくなること。
柱につけた私と弟の成長のしるしを、引っ越し前に消しゴムでこすったけど、
鉛筆が食い込んでちっとも消えませんでした。
あのしるしのある家に、今も誰かが住んでいるんだろうか。
実家を出てからの何度かの引っ越しも、
私の空間だったあの場所が、残してきたあの場所が、
誰か知らない人の、その人だけしか知らない空間になっていることを考えると、
さみしいような不思議なような、へんな気持ちになります。
これから、また引っ越しをしても、
私は今の家のことをまたへんな気持ちで思いだすことでしょう。
引っ越しって、へんなの。
劇団メンバーの「引っ越しの思い出」はどんなかな?
こちらからチェック!