雑感 | 谷口礼子オフィシャルブログ「じゃこのおもしろいこと」
じゃこです。

公演はもうすぐ。
そんな今朝見た夢は、お芝居を作っている夢でした。
他の劇団は違うかも知れませんが、私たちの劇団では、「うごきつけ」という時間があります。
照明さんや音響さんのきっかけが多いお芝居を作るので、毎回、ほぼ同じ場所で同じセリフを言えるように、
そして、観ているお客さんにお話が分かりやすいように、登場人物たちの動きを決めていくのですけど、
今日見た夢は、その「うごきつけ」の夢でした。

「うごきつけ」の時には、演出家は全体のバランスと、ストーリーの分かりやすさ、役者はそれぞれの役の心の動きと、お互いの関係性に注目して、確認しながらゆっくりお芝居をしたりします。(と、勝手に私は思ってます)

こんな風に思ってこんな風に動くかもしれない
こんな風に動いたらこう見えるかもしれない
この人と実はこんな関係があるかもしれない
このストーリー、実はこんな要素があるんだ!
こうやって動くと、あたらしい気持ちの動きがある!

発見がたくさんある時間です。

夢をみて、ふと目覚めてすぐに、考えました。
というか、考えながら目覚めました。

私にとって、この「うごきつけ」の作業は、正解を探す作業ではなく、可能性を探す作業なんだな、と思いました。
ひとつの動きに決めるけれど、決めるまでも、決めた後も、どうしてその人たちがそうやって動くのか、
他に可能性はないのかな、こう思っていてもそう動けるんじゃないだろうか、そう動くことで感じる気持ちは他にないのかな、と、ずっと可能性を探すことを、続けています。


お芝居を始めて、そろそろ10年になります。
いろいろ悩むことも多いけれど、私がお芝居をどうしても始めたいと思い、どうしても続けたいと思ってきたのは、お芝居自体が、「可能性を探す」旅だからなのかもしれません。

それはもちろん、わたしにとって。
今まで私のそばを通り過ぎたたくさんの人たちのことを思い返すと、お芝居を「競争」だといった人もいたし、やっぱり「正解を探す」ものだと思っている人もいました。
それで、とても成功している人もいるし、辞めていった人もいました。

何事もバランスで、お芝居のことを「競争」だと思うことでがんばれる、そんな自分でずっといられる人もいれば、そんな自分がくるしくなってしまう人もいる。
私の中のバランスはいったいどこなのか、そう考えた時に、
私は、お芝居だけでなく、すべてのことに対して、「可能性を探す」ということを、したいのだと思いました。

学生時代。テストで正解を書くために、正解を探すでしょう?
私は、母が怒らないように、祖母が心配しないように、自分の行動を「何が正解か」で決めてきました。
失敗したら、「不正解だった」と思って、とてもつらくくるしくなりました。
だから、お芝居をすることで、すこし癒されているのかもしれないな。
それは、私がお芝居のことを「可能性を探していいんだ」と、思えるようになったからかもしれないのです。


もちろん私はお芝居を自分の満足だけのためにしているわけではないし、観ている人に満足してもらいたい。
でも、そのためには、少しでも自分が満足して、納得していることじゃなきゃ、目標は達成できないと思うのです。


お芝居を観たり触れたりした人たちに、「可能性を探していいんだ」と、私はそう思ってもらいたい。
「すてき」と思ってもいいし、「ひどい」と思ってもいい。
評価はひとつではないし、評価はすべてではない。

あ、なんか哲学的なこと言っちゃった?


何を考えても人生のことに行き着いてしまいますね。
お芝居を始めてよかったです。



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