『らんま1/2・実写版』 | 元祖!ジェイク鈴木回想録

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私の記憶や記録とともに〝あの頃〟にレイドバックしてみませんか?

(2011:NTV)


 原作は水を被ると女の子に変身、お湯を被ると男に戻る、高校1年生の少年武道家、早乙女 乱馬が主人公の(一応)〝格闘系〟のマンガ作品だ。他に、水を被るとパンダに変身する、やはり武道家の父親。やはり水を被ると、アヒルや子ブタに変身するライバル達と武芸を競い合う、奇想天外で破茶滅茶な物語。

 更に、水を被ると猫に変身する珊璞(シャンプー)という女流武道家が使う洗髪香膏指圧拳(サイファツヘンゴウしあつけん)という技は、相手の頭髪を素早く洗髪して頭をスッキリさせて記憶まで失わせてしまう。パンスト太郎という武道家は、相手の顔に素早くパンストを被せて、変な顔になって恥ずかしがっている隙に攻撃を仕掛けるとか、実に下らないの極致だが、下らなければ下らないほど痛快この上ない。
 呪術まで使う〝格闘系〟だけあって、登場人物達は高校の校舎よりも高く飛ばされたり、地面に大穴を空けたり、身長50cmくらいの老人や老婆が実は最強だったりもしていたような・・。

 こんなもん、どうやって実写化するのか!?

『今日から俺は!!』の実写版で観た賀来 賢人のズバ抜けた運動神経から〝格闘系〟の充実を期待した。確かに、その動きの素早さや、ちょこっとした場面でも空転していたり、実写困難の予想は裏切られたような気もしたが・・、あんまし、おもしろくない。
 何故だ? 顔が似てない。可愛くない。

 高橋 留美子作品の魅力は先ず、登場人物1人1人の顔の可愛らしさだろう。『うる星やつら』然り。『めぞん一刻』然り。『犬夜叉』もまた然り。
 となると、実写化は困難どころか、無意味だったような・・。

 賀来 賢人の顔は精悍ではあっても可愛らしくはない。どうしても実写化するなら、主人公のキャスティングは、眼と口の距離が両眼の間の距離に近い丸顔の童顔で、そうだな・・、それこそ『今日から俺は!!』で賀来 賢人と共演していた伊藤 健太郎とか。『勇者ヨシヒコ・シリーズ』の山田 孝之とか。或いは嵐の休業でヒマになった櫻井 翔とか? 水を被っても本人の女装!声だけ林原 めぐみとか!(笑)※1.
 上記の画像で大人顔の新垣 結衣を初めて観た時には、主人公(と、その父親)が居候する天童家3姉妹の長女、かすみが何で真ん中に居るのか?と思っていた。制作当時の新垣 結衣は23歳。かすみの設定は19歳。配役のあかねは16歳!
 しかも、そのあかねが主人公とは原作を壊し過ぎだろ!

 これもまた〝刷り込み〟なのだろう。

 多くの読者や視聴者は、その人が最初に触れた表現媒体でその作品を認識しがちだ。私もまた、歯医者の待合室で初めて観た早乙女 乱馬は、高橋 留美子が描いた可愛らしい絵だったので、賀来 賢人が早乙女 乱馬に〝観られなかった〟。また、自宅の居間で細君と初めて観た『今日から俺は!!』の三橋 貴志は賀来 賢人だった。それで一件落着。
 要するに、絵や画像に左右されがちなだけなんだな。

・①マンガ
・②アニメ
・③実写版

 制作側はまあ大体、①→②→③の順番で展開していくが、その多くの読者や視聴者がその順番通りにその作品に触れられるかどうかは、まちまちだ。

『さくらん』は③を観てから、本屋でコミックスを立ち見(※2.)した。すると、何ぁ〜んてことはない・・。表紙にはちゃんと土屋 アンナが描かれている。エヴァンゲリオンの奥さんが土屋 アンナを想定して描いたのか。或いは、企画当初から土屋 アンナ主演の映画化が計画されていたのか。私が編集者だったら当然、後者で当然、在籍している出版社の利益を先ず考える。それがプロ。(笑)

 ①、②、③にはそれぞれの媒体特性が有る。

 先ず、何と云っても①と②は人が描いた〝絵〟がメインだが、③は人が演じる〝実像〟になる。また②と③は絵や画像が動いて音もする。何よりも登場人物達が実際に喋るから、いちいちページをめくったり、文字を読んだりするテマが省ける。更に親兄弟、恋人、配偶者等と共に観賞出来る利点もある。

 ①は、未だパソコンやスマホ、家庭のAV機器をイジれない児童でも手軽に楽しめる。今でも愛読している名作『巨人の星』や『あしたのジョー』は、①を理解する年齢には早過ぎて②から入ったが、やがて(当時は)唯1回しか観られなかった②よりも、何度でも読み返せた①が重宝して現在に至っていたりスル。

 ②〝化〟は制作の都合上、或いは商業戦略上、多少の画風の変化が生じても、絵そのものはあまり変わらない。否、変えられないため、①→②は割とすんなり受け容れられた読者や視聴者が多いのでは?
 至って個人的な例外で、私にはTVでしょっちゅう放映されているアニメ映画版の『ルパンⅢ世』が『ルパンⅢ世』に観えなくて仕方がない。それは初めて観たモンキー・パンチの汚らしくて粗雑な絵に、不健康な大人のマンガを強烈に感じていたからだ。それは少なくても、親と一緒に楽しめる子供向きではなかった。

 一眼観て根本的なヴィジュアルが異なる③〝化〟こそ最大の難関で、まあ大体はコケている。(笑) それもまた個人的な例外なのかも知れないが、『あしたのジョー』くらいか。あれほど泣けた映画はなかった。それは長年に渡って親しみ続けてきた作品を、実写で創り上げてくれた出演者や制作者達の仕事に対しての賞賛だ。

 次に実写化を期待したいのは、何と云っても『みなしごハッチ』だろう! ミツバチの生態映像を沢山集めてきて、CG加工を加えて編集すれば、決して不可能ではないと思われるが、あのテのストーリーは好きじゃないので、私は観ナイ。(笑)


※本文中敬称略
※1.:アニメ版『らんま1/2』の女らんま役
※2.:出版業界に勤めていたため、私は立ち読みはしないのではなく、出来ない。